空き家をリフォームしたり、解体工事を行う際には、多くの場合金融機関から融資が利用できます。
「空き家を活用したいけど費用がない……」とリフォームや解体に迷っている方には嬉しい制度ですね。
今回は、空き家に関する融資の貸出条件や金利など、詳しい内容を一緒に見ていきましょう。
1 空き家活用のための融資制度とは
空き家を活用する場合、多くは金融機関から融資を受ける事が出来ます。
ちなみに融資とは、銀行や信用金庫などの金融機関が法人・個人に対し、特定の目的のための資金を貸し出すことを言います。
借金との違いは「明確な使用用途」があるかどうかです。
借金の場合、資金の使用目的は問われないので「返済出来るか」のみを重要視しますが、融資は使用目的と返済計画が重視され、審査も厳正です。
とは言え、もちろんどちらも返済義務はあるので注意してください。
どうして貸してくれるの?
現在、日本に空き家は820万戸あると言われています。(2018年 国土交通省調べ)
年々増加する空き家問題に伴って、全国の地域で対策が講じられてきました。
例えば、空き家の所有者と利用希望者をマッチングさせる「空き家バンク」の設置や、空き家を改修して地域の発展に貢献する「空き家プロジェクト」の実施などです。

上記のような空き家対策の一環として、空き家を活用してもらうために定められたのが「融資制度」です。
融資を受けるメリットとは?
空き家の活用が楽になるのは大前提として、空き家に関する融資を受けるメリットは主に2つあります。
- 低金利での借り入れが期待できる
- 利用条件のハードルが低い
低金利での借り入れが期待できる
通常、融資でも借金でもお金を借りる場合は金融機関で定められた金利が発生します。
例えば100万円の融資を受けて、1年の金利が2%の場合、翌年の返済では102万円返す義務が生じます。
金利のタイプは、金利が一定期間毎に変動する「変動金利型」や、完済まで金利が一定の「固定金利型」などがあります。
金利額の設定は、金融機関毎に異なりますが、空き家に関する融資では金利が優遇される場合があります。
市町村が積極的に空き家対策を行っている場合、市町村と提携することで金利を低くする事も出来ます。
提携と言っても、ほとんどは指定都市に空き家を持っている事が条件になるので、借り入れ主から何かする事はあまりありません。
利用条件のハードルが低い
空き家対策の一環として出来た制度のため、借り入れの条件は通常の融資と比べてもかなり緩くなっています。
例えば、融資でも借金でも、お金を借りる際は「連帯保証人」を付ける必要があるのですが、空き家関係の融資では必要ない場合がほとんどです。
ちなみに、連帯保証人は保証人よりも返済義務が高く、債務者に返済能力が無くなった場合は、全額を拒否権無く支払わなくてはなりません。
また、担保の設定も必要ない場合がほとんどです。
主に「人的担保」と「物的担保」があり、返済能力のある人間(連帯保証人)や土地、財産を担保にします。
審査の基準が緩く、連帯保証人や担保なしで融資を受けられるのはありがたいですね。
2 実際の融資内容を見てみよう!
それでは、実際に金融機関が定めている融資制度を確認していきましょう。
金融機関によって、融資の対象が異なりますので注意してください。
日本政策金融公庫「空き家対策融資制度」
引用:日本政策金融公庫HP
日本政策金融公庫の「空き家対策融資制度」では、入居者の確保を目的とした不動産賃貸業を営む方への融資を行っています。
空き家・空き店舗等や入居率の低い賃貸物件の改修を行う不動産賃貸業者に対して、改修費用等を融資することで空き家対策を推進します。
引用元:国土交通省 | 日本政策金融公庫の空き家対策融資制度(企業活力強化資金)について
利用条件
融資を受ける条件は以下の通りです。
(2)物件が耐用年数の1/2を経過していること
(3)物件が空家等対策計画を策定した市町村の区域内にあること
(4)一定の空室が生じていること(入居率が75%以下の月が、最近6ヶ月のうち3ヶ月以上)
築年数が長く、建物自体にガタが来ているために、入居率が著しく下がってしまっている事が条件ですね。
本当に必要な人に融資を行っている事が分かります。
金利・貸付金額
貸付金額の上限は7,200万円です。
金利は、日本政策金融公庫の基本利率に基づきます。
空き家改修の場合、特別利率Bが適用されるので、金利は1.51%~1.70%になります。
埼玉縣信用金庫「さいしん空き家活用ローン」
引用:埼玉縣信用金庫HP
埼玉縣信用金庫の「さいしん空き家活用ローン」では、空き家の改修や解体、防犯など幅広い活用への融資を行っています。
※縣……「県」の旧字体。そのまま「けん」と読む。
当金庫では、「空き家対策」を積極的に取り組む地方公共団体と連携して、空き家問題の解決を支援しております。
利用条件
融資を受ける条件は以下の通りです。
(2)保証会社((株)ジャックス)の保証が受けられる方
(3)当該物件が本人または同居の家族(配偶者、親または子)の所有物件であること
(4)当該物件の所有者が申込本人以外の場合は、その所有者に同意を得ていること
(5)当金庫の会員または会員となる資格を有する方
(6)本人または家族が所有する空き家の有効活用を目的としていること(解体、改築、改装、防災、防犯、駐車場造成)
金利・貸付金額
貸付金額は10万円以上500万円以内です。
さいしん空き家活用ローンは、変動金利型ですが店頭表示では2.975%となっています。
また、指定の地方公共団体に空き家がある場合は金利を0.2%下げる優遇制度もあります。
空き家に関する融資を行っている他の銀行一覧
空き家に関する融資を行っている銀行は、他にも全国各地に存在します。
自分の所有する空き家の地域の銀行が、融資を行っているか調べてみましょう。
利率が割引される地域に自分の空き家が該当すれば、より有効です。
以下は、融資を行っている銀行の一部をまとめたものです。
地域を選択すると、該当金融機関のHPが読めますので、参考にしてみてください。
空き家融資を行っている他の銀行一覧 | ||||
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北海道銀行(北海道) | 青森銀行(青森) | 岩手銀行(岩手) | 福島銀行(福島) | |
足利銀行(栃木) | 東京ベイ信用金庫(東京) | 神奈川県JAバンク(神奈川) | 長野信用金庫(長野) | |
スルガ銀行(静岡) | 南都銀行(奈良) | 紀陽銀行(和歌山) | 広島銀行(広島) | |
山口銀行(山口) | 四国銀行(高知) | 北九州金庫(福岡) | 佐賀銀行(佐賀) |
3 リフォーム、解体工事なら補助金制度も合わせて確認!
さて、空き家に関する融資の内容を見てきましたが、融資を申請する前に、是非知っておいて頂きたい制度があります。
「補助金、助成金制度」です。
空き家の解体工事やリフォームの際に、条件を満たせば補助金が支給されます。
金額は地域によって異なりますが、最大で100万円以上支払われる場合もあります。
支給条件や金額は?
支給条件や金額は地方自治体によって異なります。
しかし、どの自治体にも共通しているのは「地域を活性化させる」目的意識を持っている事です。
例えば、神奈川県海老名市では支給条件を以下のように定めています。
2.海老名市内にある空き家の所有者・購入者であること(所有者・購入者は市外在住でもOK)
3.税金を滞納していないこと
4.過去に同じ補助金を受け取っていないこと
5.リフォーム後、所有者ないし親族が居住するか、賃貸・売却を行うこと
6.着手前の工事であること(工事中・工事後の申請は不可)
7.工事費が10万円以上であること
空き家が海老名市内にあって、今後しっかりと活用していく事が条件です。
リフォームをしたいと思う時点で、今後居住や売却の意思もあるはずなので、条件としては優しいですね。
一方で、地方自治体としても海老名市内の人口が増えて、税収の増加や地域の発展が見込めるので、両者にとって理想的な制度です。
また、支給金額はリフォーム工事の総額の50%を支給します。(上限50万円)
仮に工事費が100万円を超えてても支給されるのは50万円なので注意してください。
補助金制度を施行している地域一覧
補助金、助成金制度は全国の地方自治体で行われています。
まずは、融資と同様に空き家のある地域の制度を調べてみましょう。
解体工事に関する補助金、助成金制度
以下は、解体工事に関する補助金、助成金制度の一部をまとめたものです。
地域を選択すると、詳しいサイト内記事が読めますので、参考にしてみてください。
解体工事への補助金、助成金制度例 | ||||
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東京都(港区) | 神奈川県(横浜市) | 大阪府(大阪市) | 愛知県(豊橋市) | 埼玉県(飯能市) |
千葉県(鴨川市) | 兵庫県(神戸市) | 北海道(函館市) | 福岡県(福岡市) | 静岡県(伊東市) |
茨城県(笠間市) | 広島県(尾道市) | 福島県(喜多方市) | 宮城県(大崎市) | 新潟県(上越市) |
リフォームに関する補助金、助成金制度
以下は、リフォームに関する補助金、助成金制度の一部をまとめたものです。
地域を選択すると、該当する市のHPが読めますので、参考にしてみてください。
リフォームへの補助金、助成金制度例 | ||||
---|---|---|---|---|
恵那市(岐阜県) | 京都市(京都府) | 前橋市(群馬県) | さぬき市(香川県) | 荒川区(東京都) |
静岡市(静岡県) | 奈良市(奈良県) | 神戸市(兵庫県) | 新潟市(新潟県) | 富山市(富山県) |
4 まとめ
空き家の解体工事やリフォームを行う際は、条件を満たせば金融機関から融資を受ける事が出来ます。
資金の工面が上手くいけば、空き家を活用する一歩目が踏み出しやすいですよね、
しかし、融資を受ける前に一度、地域の補助金、助成金制度を確認してみてください。
制度をよく確認した上で融資を受けるのか、補助金を支給してもらうのか、はたまた併用するのかをよく比較して決める事が大切です。
