交通の便が良く、近くに商業施設が存在するような新築物件は大体高額です。
憧れはあっても、値段を見て購入を諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。
一方、空き家なら好立地であっても格安で購入できる場合があります。
手に入れた空き家に最近話題のリノベーションを活用すれば、空き家が新築に負けない魅力的な物件に変貌するかもしれません。
そこで、今回は新築に引けを取らない物件を安く手に入れる方法として、魅力的な空き家が存在する理由、空き家の探し方、購入前の注意点、空き家を蘇らせる手段について解説します。
もくじ
宝石の原石がいっぱい? 空き家物件の隠れた魅力とは
好立地で美しい街並みのなか、古びた空き家がポツンとあると、少し不思議な光景に見えるかもしれません。
しかし、いろいろな街をよく見ながら歩いてみると、意外なほど空き家が多いことに気付かされます。
実は、目立つほど空き家が増えてきたのには理由があります。
なぜ世の中に空き家があふれているのか?
空き家の増加には、複雑な社会的背景が存在します。
ただ、大きな理由としては以下が考えられます。
- 住宅市場における需要と供給のバランスが悪い
- 新築住宅に対する消費者ニーズと企業の思惑が合致している
住宅市場における需要と供給のバランスが悪い
住宅市場においては、次の社会的問題による影響を強く受けています。
- 人口減少
- 少子高齢化
- 不景気
上記の理由により、住宅の買い手が減少し続けています。
つまり、国全体で需要が減っているのです。
一方で、長年新築を後押ししてきた国の政策には、いまだに大きな転換が見られません。
空き家問題を考慮しなければ、高額で取引される新築住宅の方が、中古住宅と比べて企業の利益が出やすく国の経済にとってはプラスになります。
ですから、中古住宅重視の政策へ転換すると、景気を悪化させるリスクが生じると考えられます。
ただ、新築住宅重視の政策は、今では不動産業界・建築業界による住宅の過剰な供給を招いています。
そのため、需要減少・供給増加による住宅余りが起こっているのです。
新築住宅に対する消費者ニーズと企業の思惑が合致している
それでも、新築住宅が造られ、かつ売れる理由は、日本人が新築を好むからだと考えられます。
戦後の日本では、新築マイホームを持つのが一つのステータスとされてきました。
現代では多様な価値観が認められつつあるとはいえ、新築マイホームへの憧れはやはり根強いものです。
ちなみに、日本人が新築を好む理由に関しては、SUUMOジャーナルが新築住宅購入者に対してアンケートにより調査しています。
結果は、7割以上が選んだ「新築の方が気持ち良いから」が圧倒的1位でした。
新築住宅購入者に聞く、中古住宅にしなかった理由(複数回答式)
順位 | 理由 | 回答した方の割合 |
---|---|---|
1位 | 新築の方が気持ち良いから | 73.2% |
2位 | リフォーム費用などが割高になる | 38.2% |
3位 | 隠れた不具合が心配だったから | 26.3% |
4位 | 耐震性や耐熱性など品質が低そうだから | 23.7% |
5位 | 給排水管などの老朽化が懸念された | 20.7% |
6位 | 価格が妥当なのか判断できなかったから | 14.3% |
7位 | 間取りや台所浴室等の設備、広さに不満だったから | 13.9% |
8位 | 見た目が汚いなど不満だったから | 12.3% |
9位 | 保証やアフターサービスが無いと思った | 7.6% |
10位 | その他 | 6.3% |
11位 | 無回答 | 1.8% |
すでに触れた通り、中古住宅より新築住宅の方が企業にとって利益が出ます。
加えて、新築の需要が見込める以上、不動産業者・建築業者にとって新築住宅の建設を止める理由はありません。
つまり、新築住宅に対する消費者の購買意欲と企業の利益追求の相乗効果によって、いまだに住宅戸数は増え続けているのです。
新築住宅が好まれるがゆえに魅力ある空き家物件が存在する
需要減少・供給増加による住宅余りと、新築住宅に対する消費者ニーズと企業の思惑の合致。
2つの理由により、空き家は増加の一途をたどっています。
しかし、だからこそ見向きもされない空き家のなかに、宝石の原石を見出せる場合があります。
実は、築20~30年程度の物件でも、解体前提の古屋付き土地として売り出されているのが現状です。
解体前提なので、土地代から空き家の解体費用分を差し引いた金額で市場に出回っています。
ところが、なかには解体せずとも再利用が可能な空き家も存在します。
つまり、空き家と土地が格安で購入できる可能性があるのです。
空き家を探すには? 空き家検索サイトを活用しよう
魅力的な空き家を見つけたいと思ったなら、どうやって探せばよいのでしょうか?
一般的な探し方は、インターネットによる検索です。
Google等で「空き家」と検索すると、行政が運営する空き家バンクを始め、複数の空き家検索サイトが見つかります。
自治体などが中心となって運営しています。
そこで、代表的な空き家検索サイトを4つほど紹介します。
LIFULL HOME’S 空き家バンク
・全国にある空き家バンクの情報をまとめている
全国版 空き家・空き地バンク
引用元:全国版 空き家・空き地バンク
・全国にある空き家バンクの情報をまとめている
※LIFULL HOME’S 空き家バンクと載っている情報に差異があるので、2つとも確認するのがオススメ
家いちば
引用元:家いちば
・空き家を売りたい人が気軽に掲載できるので、価格が安い物件や築年数が極端に古い物件などがある
※家いちば株式会社は、不動産コンサルティング業の株式会社エアリーフローの関連会社
ジモティー
引用元:ジモティー|全国の「空き家」
・不動産に特化したサイトではないので、少々見づらい可能性あり
・自分から物件を探すのではなく、売主の募集も可能
空き家を購入する際に気を付けるべきポイントとは
一見傷みの少ない空き家なら、すぐに買っても問題ないと思うかもしれません。
しかし、空き家のなかには、内部の老朽化などの問題で再利用できないものが存在します。
そのため、空き家の購入には入念なチェックが必要です。
建物内部の劣化具合をチェックする
長い間、人が住んでいない空き家は、建物内部の至る所に傷みが発生しがちです。
なので、柱・天井など建物主要部分の状態確認が欠かせません。
物件探しの段階では、自身で簡単に空き家の状態をチェックします。
チェックポイントは下記サイトに載っています。
さらに、購入の検討段階に入ったら、専門家に住宅診断を実施してもらいましょう。
住宅診断を依頼すれば、再利用できる空き家かどうかをしっかり判別できます。
例として以下の2社を挙げます。
参考にしてみてください。
引用元:さくら事務所
引用元:アネスト
耐震性に注意…建築された年をチェックする
日本は地震が多いため、たびたび耐震基準が見直されてきました。
ですから、建築年月日が古い建物ほど耐震性が弱い可能性が高くなります。
特に、1981年(昭和56年)5月31日以前の建築された建物は、旧耐震基準で建てられているので要注意です。
あまりに耐震性が低いと、空き家の購入後に大規模な耐震工事が必要になってしまう可能性があります。
ただし、古いから耐震性がないとは限りません。
ですから、購入を検討している空き家があれば、専門家に耐震診断を依頼するのがオススメです。
なお、住宅診断で紹介した2社(さくら事務所・アネスト)は耐震診断もあわせて行っています。
住宅診断(老朽化の度合いと対策助言)と耐震診断(耐震性の計算)は補完関係にあるので、セットで依頼するのがオススメです。
空き家の魅力に欠かせない立地条件
近年は人口の東京一極集中が進んでいます。
そのため、東京から離れた場所にある土地はなかなか売れないのが現状です。
売却ができないと、ずっと固定資産税等を払い続けなければなりません。
一方、都内の土地や東京へのアクセスが良い土地ほど売れやすい傾向があります。
万が一土地を手放さなければならなくなった場合でも、売却先がスムーズに見つかりやすいので安心です。
このように、立地に恵まれない不動産は将来負の遺産になる危険があるので、なるべく好立地にある空き家の購入を検討するのがオススメです。
売買契約では保証内容に注意が必要
不動産の売買となると、契約内容が非常に重要です。
なかでも、瑕疵担保責任については絶対に知っておかなければなりません。
不動産の場合は、主に柱や天井など建物の主要部分や雨水防止部分に関する重大な欠陥が瑕疵にあたります。
不動産取引に関しては、民法と宅建業法が適用されます。
瑕疵担保による損害賠償請求権の時効は通常10年間です。
ただ、個人間の売買では、売主の負担を考慮して特約により建物の引き渡しから2~3ヶ月に短縮されるケースが多く、免除される場合もあります。(不動産会社から購入した場合は、最低でも建物の引き渡しから2年以上が設定される)
だから、購入後に問題が発覚したときに備えて契約内容を確認しなければならないのです。
なお、瑕疵担保責任の期間が短い契約の場合には、住宅診断等を実施する検査事業者に既存住宅瑕疵保険へ加入してもらいます。
既存住宅瑕疵保険は、買主が自分で加入するものではありません。
ただ、どんな仕組みなのか知りたい場合は、以下のサイトを参考にしてください。
○個人間で売買する場合
引用元:一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会|既存住宅売買かし保険(個人間売買タイプ)
○不動産会社から購入する場合
引用元:一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会|既存住宅売買かし保険(宅建業者販売タイプ)
せっかく住むなら快適に!! 空き家を新築のように蘇らせよう
繰り返しになりますが、長い間人が住んでいない空き家は、建物内部の至る所に傷みが発生している場合がほとんどです。
当然、そのままの状態で住みたいとは思いませんよね?
そこで、空き家を新築並みに蘇らせてしまいましょう。
リノベなら新築に引けを取らない物件にできる
近年話題になっているのがリノベです。
建物を大規模に改修し、さらに新しい価値を付け加えます。
なお、リフォームは一般的に修繕などの小規模な改修を指す場合が多いです。
小規模リフォームなら、出費を抑えて建物を元の住める状態にまで戻せるかもしれません。
ただ、当然ながら新築に比べたら大きく見劣りしてしまいます。
そこで、空き家を格安で購入し、浮いたお金でリノベするのがオススメです。
リノベは設備などの多くを取り替えます。
ですから、新築物件と変わらない快適な生活空間が実現できるのです。
リノベを手掛ける代表的な会社としては、「リノベる。」が挙げられます。
「リノベる。」は中古マンションの施工実績が多めですが、戸建ても扱っています。
引用元:リノベる。
ただし、あまりに大規模なリノベをしようとすると、新築並みの費用がかかるケースもあるので注意しましょう。
また、リノベやリフォームの詳細については、以下の記事でまとめています。
ご覧いただければ幸いです。

好立地の空き家でも老朽化が激しい場合は…
リノベは建物の内装を丸ごと変えてしまうような工事です。
とはいえ、建物自体があまりにボロボロだと、さすがに再利用はできません。
しかし、空き家が建っている場所が好立地なら、いったん解体してから新築建て替えをしてしまうのも手です。
というのも、好立地の新築物件は人気が高いので、価格が高額に設定される割には、すぐに売れてしまいます。
その点、空き家が建っている土地なら買い手が付かずに格安で手に入る場合があります。
古屋付きの土地は、解体費用分も差し引かれて金額が設定される場合が多いです。
そのため、格安で土地を購入し、解体費用をなるべく抑え、浮いたお金を新築費用に回せば、単に好立地の新築物件を購入するより安く済む場合があります。
もし、空き家を新築建て替えする場合には、以下の記事が参考になります。
参考 LIFULL HOME'S「古家付き土地」を購入するメリットとデメリットは?なお、解体工事の費用を抑えたい場合は、弊社あんしん解体業者認定協会にご連絡ください。
無料で優良業者3社を紹介していますので、適正価格で工事費用を安くできます。
まとめ
今回は、空き家を利用して新築に負けない物件を安く手に入れる方法について説明しました。
今、世の中には空き家が次々増加し続けているので、好立地の空き家が格安で購入できる場合があります。
長年利用されていない空き家は、修繕しないと住めない場合が多いです。
しかし、リノベを行えば新築に勝るとも劣らないマイホームに大変貌する可能性があります。
リノベについては、下記の記事で詳しく解説しています。

しかし、空き家の柱・屋根などの主要部分の傷みがあまりに激しい場合は、リノベでも再生が困難です。
そこで、もし好立地にある空き家の再利用が困難な場合は、空き家の解体と新築を検討してみましょう。
格安で古屋付き土地を購入して解体費用を抑えられれば、好立地の新築物件を購入するより安く済ませられる場合があります。
空き家をいったん解体して新築するケースについては、下記の記事をご覧ください。
なお、解体して新築建て替えをするなら、いかに無理なく解体費用を抑えるかがポイントです。
その場合は、弊社あんしん解体業者認定協会が助力できます。
無料サービスの優良業者3社紹介のほか、解体工事そのものに関するご相談も承っています。
ぜひ、お気軽にご連絡ください。
新築が次々建てられるなか、空き家の魅力に気付ける方はまだまだ少ないのでチャンスです。
加えて、古い家屋が好立地に建っているのは珍しくありません。
なぜなら、好立地な場所から順に建物は建てられるからです。
ぜひ、空き家のなかから宝石の原石を見出して、素敵なマイホームを手に入れましょう!!

