「相続した空き家は古いから、放っておくのはちょっと心配…」
年数の経った空き家を所有していると、管理が大変ですし困りますよね?
空き家は老朽化するスピードが速く、様々なトラブルを引き起こします。
そのため、空き家であっても防災対策が欠かせません。
そこで、今回は空き家の防災について、放置空き家が引き起こす問題や防災対策を中心に説明します。
管理を怠ってはいけない…空き家がもたらす三大リスクとは
空き家を放置していると、老朽化が早まり草木も伸び放題になってしまいます。
建物や草木の管理が行き届かないと、防災上様々な問題を引き起こしかねません。
そして、ご近所にまで被害が拡大すると、トラブルや損害賠償にまで発展するケースも考えられます。
ですので、まずは空き家にどんなリスクがあるのかを確認しましょう。
【リスクその1】建物がもろくなり地震や強風に耐えられなくなる
最も直接的な被害を引き起こしやすいのは、大地震や台風などの自然災害です。
建物の老朽化は、自然災害による被害を拡大させる要因になってしまいます。
ちょっとした地震でも…建物が崩れて近隣を巻き込む
建物は耐震基準を満たすように建築されます。
耐震基準は、大地震に備えて何度も見直しが行われてきました。
そのため、築年数が古い建物、特に1981(昭和56年)年5月31日以前に建築されたものは、現在の耐震基準に当てはめると耐震性が低めです。
よって、古い建物については、柱や天井等の老朽化が進むと中規模程度の地震でも倒壊しかねません。
強風に注意!! 屋根や外壁が飛ばされる危険性
建物の老朽化に伴い、屋根や外壁の一部が剥がれ落ちやすくなっている場合があります。
そのため、空き家が台風などの強風に遭った場合、屋根などが飛ばされて通行人にケガを負わせる危険が考えられます。
万が一、建物の倒壊や一部の剥落が発生した際に近隣住民を巻き込んだら、何千万円以上もの損害賠償が生じる可能性があります。
【リスクその2】人目に付きにくく様々な犯罪の温床となる
人目を避けやすい空き家は、犯罪者の好む環境が整っています。
不届き者は誰にも見られない場所を探している…不法投棄の被害
管理されてない空き家は、外観だけで誰も住んでいないと判断できます。
特に、郵便ポストが郵便物であふれ返っていれば、一目で空き家だと分かりますよね。
誰も見ていない空き家は、不法投棄をするのに最適の場所です。
加えて、一個不法投棄されると、多くの場合はその後も不法投棄が連鎖します。
なお、不法投棄されたゴミは、犯人が見つからなければ土地の所有者等が自分で処理するように求められます。(廃棄物処理法 第5条)
そのため、多額のゴミ処理費用を負担しなければならなくなる危険があります。
不審者の出入りが容易に…犯罪に利用される被害
人目を避けられる環境なら、窓ガラスを割って建物内部に忍び込むのも容易です。
さらに、いったん誰かが侵入に成功すれば、以降は誰でも簡単に出入りできてしまいます。
そうなると、空き家を犯罪に利用される危険が高まります。
犯罪者の隠れ家や溜まり場になるばかりか、事件の現場にされてしまうケースすらあります。
なお、建物周辺の治安が悪化すると人が寄り付かなくなり、土地の資産価値の下落も招きます。
【リスクその3】放火による火災が起きやすくなる
空き家は以下の特徴をもっている場合がほとんどです。
- 木造建築物である
- 草木が生い茂っている
- ポストに郵便物が溜まっている
つまり、空き家の敷地内は可燃物で満たされているといえます。
加えて、人目もなく犯行を行いやすい状態なので、空き家は放火のターゲットになりやすいのです。
事実、統計でも火災原因の第2位に放火(3,528件)、第5位に放火の疑い(2,305件)がランクインしています。
順位 | 火災原因 | 火災件数(件) |
---|---|---|
1位 | たばこ | 3,712 |
2位 | 放火 | 3,528 |
3位 | こんろ | 3,032 |
4位 | たき火 | 2,857 |
5位 | 放火の疑い | 2,305 |
さらに、人が見ていない空き家は放火されると発見が遅れ、被害が拡大してしまう危険があります。
近隣への延焼について責任を問われる可能性がある
通常、空き家から出火しても失火責任は問われません。(失火責任法)
そのため、ご近所まで延焼してしまっても責任を負わなくて済むのが一般的です。
ただし、明らかにゴミの処分や除草などを怠っていた場合、「重大なる過失」があるとして責任を問われる可能性があります。
もし、責任があると認められると、多額の損害賠償を請求されてしまいます。
また、火災ゴミの処理費用は高額になりやすく、失火責任を問われなかったとしてもご近所への謝罪は必要です。
後始末の負担も決して軽くはありません。
このように、空き家は三大リスクを中心にさまざまな問題を引き起こします。
そのため、空き家であっても防災対策が不可欠なのです。
どんな防災対策が利用できるのかを把握し、事前に手を打っておきましょう。
どんな方法がある? 空き家の防災に利用できるサービスとは
空き家の防災を万全しておくためには、こまめに空き家を見に行く必要があります。
とはいえ、現在の住まいから少しでも離れていると、自分で空き家を管理するのは大変ですよね?
空き家の周辺に親族がいないうえ、頼れるご近所もいないなんてケースも多いのではないでしょうか。
そこで、現実的な防災対策について一緒に考えてみましょう。
空き家を賃貸して居住者に日常的な管理をお任せする
一般的に居住者がいる住宅は、日常的に手入れしてもらえるため長持ちします。
ですから、自分で住まないなら他人に賃貸して管理をお願いする方法がオススメです。
賃貸するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 換気や清掃が害虫・害獣・カビ対策になり、建物が傷みにくい
- 水道などの設備が日常的に使用され、劣化しにくい
- 雨漏り等がすぐに発見されるため、建物の傷みが拡大する前に修繕できる
- 賃貸収入が入るので、固定資産税等の金銭負担を軽減できる
デメリット
- 賃貸前にリフォームが必要な場合がある
- 建物のメンテナンス費用はすべて所有者持ち
- 入居者を探すのが難しい
- 家賃滞納等のトラブルが起きる可能性がある
でも、「古い空き家だから借り手がいないのでは?」と考えてしまうかもしれません。
確かに、需要の少ない老朽化した空き家は、不動産会社に取り扱ってもらいにくいのが現状です。
そこで、オススメなのが空き家バンクです。
日本全国の空き家の所有者と空き家の利用希望者をマッチングさせます。
空き家バンクは自治体ごとに別々に運営されています。
ただ、一括して物件情報をまとめているサイトもあるので、参考にしてみてください。
引用元:全国版 空き家・空き地バンク
また、空き家バンクに関しては以下の記事で詳細に説明しています。
地方の空き家を再生・活用へ!地域ごとの取り組みを紹介空き家管理サービスを利用して建物の老朽化を防止する
賃料による収入を考えれば、できれば賃貸したいと思うかもしれません。
でも、借り手が見つからないケースも多いのが事実です。
その場合は、空き家管理サービスを利用するのがオススメです。
空き家管理サービスによるメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 人に貸し出すのに抵抗がある人でも利用しやすい
- 自分の希望に合ったプランが選べる
- 清掃サービスが使える場合がある
デメリット
- 収入が無い一方、定期的な支出は続く
- 常に人が住んでいるわけではないので、日常の管理には限界がある
日常的な管理ができていれば、すでに触れた空き家の三大リスクを回避できる場合があります。
なお、オススメはNPO法人 空家・空地管理センターが行っている空き家管理サービスです。
空家・空地管理センターは、主に100円管理サービスとしっかり管理サービスを提供しています。
100円管理サービス
引用元: NPO法人 空家・空地管理センター|100円管理サービス
- 月額100円でサービスを受けられる
- 玄関周辺を中心に目視でチェックし、巡回報告を写真付きで送ってもらえる
- 管理センターの管理看板により、犯罪抑止効果が期待できる
- 近隣住民からのクレームを一時対応してもらえる
月額100円と一番手軽なサービスで、防犯効果が期待できます。
建物外部からの目視で、不審者が侵入した形跡はないか等をチェックします。
建物の手入れは行いませんが、オプションを付ければ草刈りやゴミの処分等をしてもらえます。(別途料金がかかります)
しっかり管理サービス
引用元: NPO法人 空家・空地管理センター|しっかり管理サービス
- ポスト・庭のゴミを廃棄処分してもらえる
- 通気・通水により建物の老朽化を防げる
- 建物外部・内部の傷み、雨漏りを点検してもらえる
- 侵入者等の有無を確認してもらえる
- 巡回報告を写真付きで送ってもらえる
- 管理センターの管理看板により、犯罪抑止効果が期待できる
- 近隣住民からのクレームを一時対応してもらえる
100円管理サービスは防犯が主目的なので、建物の老朽化対策にはなりません。
もし、空き家の状態を保って防災対策を万全にしておきたいなら、しっかり管理サービスを選択しましょう。
ただし、室内の清掃サービスはオプションです。
月1回の管理サービスの場合は月額4000円~、オプションで屋内の清掃サービスを付けた場合は月額6000円~です。
保険を見直して災害が起きたときの金銭的被害を防ぐ
定期的な管理を行っていても、災害リスクをゼロに抑えるのは不可能です。
そのため、万が一災害等が発生した場合に備えて、火災保険に加入しておくのがオススメです。
メリット
- 被災した空き家の解体費用等を軽減できる場合がある
- 火災が延焼した際、ご近所への謝罪にかかる費用等の負担を軽減できる場合がある
デメリット
- 収入が無い一方、定期的な支出は続く
- 災害が起きる確率自体は軽減できない
被災した場合には大きな金銭的負担が生じる可能性があるため、保険も重要な防災対策といえます。
ただし、空き家でも利用できる火災保険は、一般的な火災保険や特約とは異なるので注意が必要です。
火災保険に関する詳細は、以下の記事をご覧ください。
空き家でも保険加入が必要!おすすめのサービスはどこ?また、損害賠償に備えて火災保険の特約として付けるケースが多い個人賠償責任保険は、一般的に空き家には適用されません。
個人賠償責任保険は、日常的な管理が行き届いている家屋でないと保険の対象にはならないからです。
そのため、空き家が崩れた場合の損害賠償に備えるには、施設賠償責任保険に加入する必要があります。
施設賠償責任保険なら、空き家が通行人を傷つけてしまった場合などにも保険が下ります。
施設賠償責任保険は、空き家向け火災保険と一緒に探すのがオススメです。
火災保険を提供している保険会社に確認してみてください。
防災対策を終えて一息ついたら…空き家の将来を考えよう
防災対策を万全にしておけば、空き家リスクは軽減できます。
しかし、防災対策は重要とはいえ、結局はその場しのぎに過ぎません。
ですから、防災対策が一通り整ったら、空き家を将来どうするかについても考えておきましょう。
究極の防災は空き家を手放してしまうこと
防災対策をしても、税金や管理費用、保険代はずっとかかり続けます。
その一方で、時間とともに空き家の老朽化は確実に進行していきます。
手入れをしていても、完全には老朽化を止められません。
なので、根本解決を図るには、空き家の処分を検討する必要があります。
特に、使う予定のない土地なら空き家と一緒に手放したいところです。
でも、近年は日本全国で土地が余っている状態なので、なかなか買い手が現れにくい現実があります。
そのため、空き家を解体撤去して土地を売りやすくするのも一つの手です。
なお、解体に関するご相談でしたら、弊社あんしん解体業者認定協会で承っています。
よろしければご利用ください。
まとめ
今回は、空き家の防災対策について説明しました。
放置空き家は、防災上もっとも好ましくない状態です。
まずは、以下の防災対策を検討しましょう。
- 空き家バンク等を利用して賃貸する
- 空き家の管理サービスを利用する
- 火災保険を見直し、施設賠償責任保険へ加入する
ただ、究極の防災対策は空き家の処分です。
利用できない空き家をいつまでも所有しておくと、金銭的な負担のみならず心理的な負担も大きくなってしまいます。
もし、土地を手放すために空き家を解体したい場合は、弊社あんしん解体業者認定協会がお力添えできます。
ご利用いただければ幸いです。
ともあれ、まずは空き家に防災対策をしておくのは大事ですよね。
空き家を良い状態に保ち、ご近所にも空き家の防災に協力してもらえる環境を整えておきましょう!!
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