「あなたの所有する空き家が、特定空家等に指定されました。
つきましては、速やかに適切な処置をしてください」
突然こんな連絡が行政から来たら、ビックリしてしまいますよね?
所有している空き家を放置し続けると、空き家対策特別措置法という法律により、行政から警告を受ける場合があります。
そこで、今回は空き家対策特別措置法とは何かについて、警告を受けてしまった場合に起こるかもしれないリスクや対処方法とあわせて説明します。
最後通告!? 空き家について行政から警告されたら
いきなり行政から連絡を受けたら、頭が真っ白になってしまいますよね。
ただ、行政から初めて連絡を受けた時点では、まだ少しだけ時間があります。
焦らず、まずは警告の根拠である空き家対策特別措置法についてチェックしてみましょう。
空き家対策特別措置法とは何なの?
法律の名前だけ見ると、何だか怖い感じがするかもしれません。
ただ、行政は「ボロボロな空き家を早く何とかして!!」と言いたいだけなのです。
空き家対策特別措置法の対象になるのは特定空家等です。
特定空家等に当てはまるかどうかは、個別に判断されます。
敷地内にあれば、建物に加えて倉庫や樹木などもチェック対象です。
判断基準はおおむね以下の通りです。
- 目安で1年以上、住居や物置などとして一切使っていない
- そのまま放置しておくと、倒壊しかねず非常に危ない
- 悪臭や害虫などが発生してもおかしくない、不衛生な状態
- 放置されてボロボロになり、建物周辺の景観を損なっている
- その他、ご近所の生活環境の守るためには見過ごせない状態
つまり、「危ない、汚い、みっともない空き家」が特定空家等なのです。
むかし自分や家族が住んでいた家が、ご近所から迷惑だと思われたら、ちょっとイヤですよね。
特定空家等に対する行政の警告には3段階ある
行政からの警告には3段階あります。
※空家等対策の推進に関する特別措置法 第14条を基に作成
警告は必ず「助言・指導⇒勧告⇒命令」の順で行われます。
実は、本章の冒頭で「まだ少しだけ時間がある」とお話ししたのは、最初の警告は助言または指導だからです。
助言や指導を受けただけでは、特に何もペナルティはありません。
当然ながら、放っておけば勧告、命令と次第に事態は悪化し、勧告以降はペナルティも発生します。
ただ、通常は一足飛びに大ごとになるわけではありません。
焦らずに、建物の修繕や解体などの対応を考えましょう。
放っておくほど事態は悪化…警告を無視してはいけない3つの理由
放置している空き家について行政から注意されても、すぐに対応するのが難しい場合がありますよね。
時間やお金がないと、「もう少し様子を見てから行動しよう…」なんて考えてしまうかもしれません。
ですが、行政からの警告を無視した場合、思わぬ事態に直面する可能性があります。
そこで、行政からの警告を無視してはいけない3つの理由を説明します。
【理由その1】空き家対策関連法で処分される可能性がある
空き家対策特別措置法には実行力があります。
警告を無視した場合にどのような処分があるのか、具体的に確認してみましょう。
お金を取られる
代表的な罰の1つに過料があります。
刑罰ではないので、前科はつきません。
なお、正式な読み方は「かりょう」ですが、「あやまちりょう」と呼ぶ場合もあります。
具体的には、以下のように処分される場合があります。
50万円以下の過料
——————————
〇立入調査に対して拒否や妨害した者
20万円以下の過料
行政の意向に従わないと、過料として何十万円ものお金を取られるかもしれません。
注意しましょう。
勝手に空き家を取り壊される
行政から何度警告されても無視し続けた場合、空き家対策特別措置に従って行政代執行される可能性があります。
解体工事にかかった費用は、後日空き家の所有者から徴収されます。
参考 衆議院法律第四十三号(昭二三・五・一五)
ただ、行政代執行は、「助言・指導⇒勧告⇒命令」の警告プロセスを経たうえで実行されます。
つまり、警告をわざと無視するような、非常に悪質なケースしか該当しません。
普通の方なら、行政から警告を受けたら「何かしなければ…」と思いますよね?
実際、助言・指導の対象となった空き家のうち、実際に行政代執行にまで至ったケースはわずか1%未満にとどまっています。
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
助言・指導 | 2,890 | 3,515 | 4,271 | 4,910 | 15,586 |
勧告 | 57 | 210 | 285 | 370 | 922 |
命令 | 4 | 19 | 47 | 41 | 111 |
行政代執行 | 1 | 10 | 12 | 18 | 41 |
略式代執行 | 8 | 27 | 40 | 49 | 124 |
行政代執行については、実行されるケースは多くありません。
とはいえ、実際に処分を受けると、解体費用などで100万円以上を請求される場合があります。
なお、表にある略式代執行とは、所有者不明のまま解体工事などを代執行することです。
ですから、略式代執行になると、行政は解体工事の費用を税金から出すしかありません。
行政の立場からすると、税金を充てると財政が圧迫されてしまいます。
そのため、所有者を徹底的に調べ上げ、最低でも行政代執行に持ち込んで費用を請求したいわけです。
固定資産税などが実質上がる
「空き家でも、建物があれば固定資産税が安く済む」なんて話を耳にした方もいらっしゃるかもしれません。
事実、家屋が建っている土地は固定資産税が抑えられています。
でも、空き家対策特別措置法の対象になると、固定資産税が上がってしまう可能性があるのです。
固定資産税とは?
固定資産税は、所有している土地や建物といった不動産に対して課される税金です。
毎年1/1時点における、それぞれの固定資産税評価額(不動産の価格)に応じて決定されます。
普通は、固定資産税評価額がそのまま課税標準額(課税対象の金額)になります。
固定資産税の計算方法は、以下の通りです。
なお、お住いの地域によっては都市計画税も一緒にかかります。
課税対象は土地と建物に限定され、税率も固定資産税とは異なります。
ただ、その他の考え方は固定資産税とほぼ変わらず、納付も固定資産税と同時に行う場合が多いです。
住宅用地の特例措置が受けられなくなり、税金が上がる
住宅用地については、納税者の負担を抑えるのを目的とした住宅用地の特例措置があります。
具体的には、課税対象の金額を抑え、固定資産税と都市計画税を安くする効果を発揮します。
200㎡以下の部分:課税標準額×1/6×税率
200㎡超の部分:課税標準額×1/3×税率
——————————
〇都市計画税
200㎡以下の部分:課税標準額×1/3×税率
200㎡超の部分:課税標準額×2/3×税率
赤字の部分が住宅用地の特例です。
実際は他の要素が複雑に絡みあうため、単純に計算式通りになる訳ではありません。
ただ、それでも住宅用地の特例には固定資産税を1/3~1/4くらいに抑える効果があります。
ところが、空き家対策特別措置法により、悪質な放置空き家に対しては住宅用地の特例措置から除外できるように変わりました。
具体的には、「助言・指導⇒勧告⇒命令」の3段階のうち、勧告以降になると特例から除外されます。
そのため、行政の警告を無視し続けると、固定資産税が実質的に上がってしまうかもしれないのです。
緊急時の応急措置
空き家が崩れると、周囲を巻き込んで大事故になってしまうかもしれません。
そこで、自治体によっては空家適正管理条例を定めて応急措置ができるようにしています。
とりあえず危険な箇所だけ補修するケースから、空き家全体を解体撤去してしまうケースまで様々あります。
応急措置の規定は、主に以下の点が自治体ごとに異なります。
- 所有者の同意が必要か
- 所有者への通知を事前または事後に行うか
- 費用徴収の強制力はどの程度か
「所有者の同意不要、事後通知、必ず徴収」と規定している京都市では、「ある日突然、何十万円もの費用請求が届いた」なんて事態が実際に起こっています。
引用元:国土交通省|平成28年 地方分権改革に関する情報提供 1
国土交通省が公開している、京都市が実施した応急措置の実例。
同意の確認も事前の通知もなかったことが分かる。
応急措置が行われると、行政代執行に至らずとも突然費用を徴収されてしまうかもしれません。
特定空家等に指定されるような空き家を放置していれば、いつ応急措置が行われても不思議ではないでしょう。
【理由その2】損害賠償責任が生じる危険がある
先ほど、応急措置についてお話ししました。
でも、応急措置の対象になったのは不幸中の幸いかもしれません。
なぜなら、もし空き家が倒壊などして他人や隣家を事故に巻き込んでしまったら、数千万円、場合によっては億を超える金額の損害賠償責任が生じるかもしれないからです。
倒壊等で通行人や隣家に被害を与えてしまった場合
災害時に、空き家の倒壊などが起こって通行人や隣家に被害を与えてしまったケースについては、法律では以下のように解釈されます。
※民法 第717条を踏まえて作成。
ただし、上記「管理されている空き家の場合」の例については、建築当時の耐震基準を満たし、かつ安全面で問題ない管理をしていること、かつ災害による倒壊等であることが前提条件です。
しっかり管理しているつもりでも、実は建物に気付かない問題があり、そのために他人に被害を与えた場合は責任を問われる可能性があります。(基本的には、所有者は無過失責任を負う)
つまり、所有者が責任を問われるかどうかは、普段から必要な管理をしているかがポイントなのです。
大きな台風や地震災害によって建物が倒壊等し、他人に被害を与えた場合は、法律でも「仕方ないよね」と考えられます。
しかし、たとえ大災害が直接の原因であっても、普段の管理を怠っていれば「あなたにも責任がありますよ」と言われてしまいます。
そのため、放置空き家の倒壊等で他人に被害を与えると弁解の余地がないので、数千万円以上の損害賠償が発生しかねません。
火事で延焼した場合
空き家は火の気が無さそうだと思われがちです。
でも、実際には空き家は放火による出火が多いため要注意です。
空き家は、以下の理由で放火のターゲットにされやすいと考えられます。
- 敷地内に紙ゴミや草木等の燃えやすいものが多い
- 空き家は木造家屋である場合が多い
- 人目に付かないので、犯行を行いやすい
- 戸締まりが甘く、建物のなかに侵入しやすい
- 「どうせボロ家だし…」と放火の心理的なハードルが低くなる
放火の場合は、隣家に延焼しても基本的に責任を問われません。(民法 第709条に関する特別法-失火責任法)
ただし、草木の手入れをしていない、不要なゴミを処分をしていないなど、空き家をキチンと管理していないと判断された場合は賠償責任を負う可能性があります。
ご近所に対する賠償責任が発生した場合、数百万円といったお金を支払わなければならないケースも起こります。
所有の空き家が放火に遭って隣家に延焼してしまったら、さすがに見て見ぬふりはできないでしょう。
例え失火責任を免れたとしても、火災の後始末とともにご近所への謝罪も必要になってしまいます。
また、燃えた家屋は、同じ家屋を通常の状態で解体するより解体費用が高くなる傾向があります。
その理由は、自治体が火災ゴミの処分手数料をどの程度減免するかによって異なります。
火災ゴミは、特殊なゴミとして処分場に処分を依頼する。
ただ、特殊なゴミは処分単価が高いので、処分費用が増大してしまう。
——————————
〇自治体が火災ゴミの処分手数料を減免する場合
火災ゴミの分別には、リサイクル可否に分けるなど細かい作業が必要。
そのため、作業日数がかかり、解体業者の人件費がかさんでしまう。
空き家であっても、放火されてから解体した方が費用が高額になりやすいので注意しましょう。
参考 e-Gov民法 参考 Yahoo!保険失火責任法とは【理由その3】負のスパイラル…資産価値の低下と処分の困難化に拍車がかかる
空き家は老朽化が進むほど、ますます引き取ってくれる人が見つかりにくくなってしまいます。
ただ、「そのうち解体する空き家なら、別にボロボロになってもいいでしょ?」なんて考えてはいけません。
なぜなら、ボロボロの空き家の存在が土地の資産価値を下げ、将来生じる出費も増加させるかもしれないからです。
空き家周辺の治安が悪化する
突然ですが、割れ窓理論を耳にしたことはありますか?
割れた窓ガラスを1枚放置しているだけで、やがて地域の治安が悪化してしまうといった内容です。
具体な流れは、以下の通りです。
↓
不届者
「建物の管理している人がいない?
誰も見ていないなら不法投棄しても大丈夫だな。
ついでに落書きもしてしまおう。」
↓
不審者
「この辺の住民は防犯意識が薄いな…。
身を隠すにはうってつけだな。」
↓
犯罪者
「この地域なら、空き巣も放火も強盗もやりたい放題!!」
↓
凶悪犯罪が多発する結果に…
「千丈の堤も蟻の一穴から」なんてたとえがありますが、一人のちょっとした怠慢が、地域全体に悪い影響を及ぼしかねません。
しかも、空き家は窓ガラスよりもはるかに大きいわけですから、その分周辺の治安を悪化させやすいのです。
地域の空き家増加に拍車をかけ、土地の資産価値が低下
さて、割れ窓理論にように、一軒の空き家が地域の治安を悪化させたとします。
普通の方なら、犯罪が多発しているところに、わざわざ移り住みたいなんて思いませんよね?
むしろ、町から出ていきたいと考えてしまいます。
つまり、空き家は周辺の環境を悪化させ、さらなる空き家の増加を招くのです。
そして、土地の資産価値は人気があれば上がり、人気がなくなれば下がります。
そのため、空き家によって地域の環境が悪くなれば、必然的に土地の資産価値は下がってしまいます。
土地を手放せない…子や孫にまでかかり続ける負担
空き家の増加で土地の資産価値が下がった場合、土地を手放すにしても二束三文で叩き売りしなければなりません。
ただ、それでも最終的に売れればまだマシです。
それは、今は土地を手放すことすら難しい時代だからです。
今の時代は、土地が余る原因が山ほどあります。
- 東京の一極集中化⇒地方に空き地が増える
- 不景気⇒多くの人はお金に余裕がない
- 人口減少⇒買い手が現れない
- 少子高齢化⇒使われない土地が増える
土地については、完全に需要と供給のバランスが崩れてしまっているのが現状です。
また、少子高齢化は祖父母や父母が所有している土地の相続が、1人の孫に集中する問題も引き起こします。
もし、1人のお孫さんが複数の土地を相続してしまうと、固定資産税の支払いや土地の管理に苦しむおそれがあります。
さらに、土地は簡単に所有権を手放せませんし、買い手もなかなか見つかりません。
一応、相続開始を知った時から三か月以内なら、手続きを経て相続の放棄ができます。(民法 第915条)
そうすれば、固定資産税の支払いはしなくて済みますが、空き家の問題は依然として残るので注意が必要です。
というのも、自分が相続を放棄しても、他の誰かが相続するまでは、自分が相続財産(土地や空き家)を責任を持って管理しなければならないからです。(民法 第940条)
つまり、相続放棄した空き家が崩れて通行人がケガした場合などに、多額の損害賠償を支払わなければならない可能性は依然として残り続けます。
このように、空き家を放置し続けると、将来自分のお子さんやお孫さんを苦しませる結果を招くかもしれないのです。
参考 e-Gov民法結局どうすればいいの? 打てる手を考えよう
ここまで、空き家を放置すると様々なデメリットが生じるかもしれないことを説明しました。
ですから、もし放置空き家について行政から警告を受けたら、むしろ「空き家問題を解決する良い機会をもらった」と前向きに捉えても良いかもしれません。
そこで、空き家対策特別措置法で助言・指導などを受けたら何ができるかについて、一緒に考えてみましょう。
管理・清掃サービスを利用しよう!!
空き家は自分でお手入れができれば一番良いのですが、遠方にあったり忙しかったりで難しいケースもありますよね。
そこで、以下のような管理・清掃サービスを利用する手があります。
引用元:NPO法人 空家・空地管理センター|しっかり管理サービス
定期的に換気や清掃といったお手入れをしていれば、空き家が老朽化するスピードはゆっくりになります。
清掃サービスを含む場合は、月1回の巡回でも月額6,000円~に電気代がかかりますが、当面の対策としてはオススメです。
さらに、管理・清掃サービスをしっかり利用して衛生面などが改善すれば、特定空家等の指定が解除される可能性があります。
空き家の根本的な解決方法が当面見つかりそうにない場合は、ぜひ管理・清掃サービスを利用してみましょう。
空き家向けの火災保険と施設賠償責任保険に加入しよう!!
すでにお話ししたように、空き家には放火や損害賠償が発生する危険が伴います。
そこで、いざという時に備えて空き家向けの火災保険と施設賠償責任保険に加入しておきましょう。
空き家でも火災保険は必須です
一般的に空き家状態で加入できる火災保険は多くないうえ、保険料も高いといわれます。
さらに、空き家の管理状態が悪いほど、加入を断られやすい傾向があります。
保険会社は「空き家は放火に遭うリスクが高く、支払いが多発して商売になりにくい」と認識しているのかもしれません。
でも、火災保険に加入できれば、意外なほどメリットが大きいです。
プラン次第で補償内容は大きく変わりますが、以下の例が挙げられます。
- 火災や台風などで被害を受けても、建物や家財に対する補償が受けられる
- 燃えた空き家の解体費用やゴミの処分費にかかった金額の支払いを受けられる
- 火災で隣家に延焼してしまっても、ご近所に対する見舞金が支給される
火災については、管理・清掃サービスなどをキチンと利用していれば、失火責任を問われる可能性は極めて低いと考えられます。
加えて、火災保険に加入しておけば、燃えた空き家の解体撤去やご近所への謝罪などの事後処理の負担が抑えられる場合があるのでオススメです。
その火災保険、空き家を対象としていますか?
ただ、たとえ火災保険に入っていたとしても、「親の代から継続していますよ」という方は要注意です。
なぜなら、ご両親が居住していたときに加入した火災保険は、空き家を対象としていない可能性が高いからです。
個人の建物は以下の2つに分類されます。
- 住宅物件⇒住居用
- 一般物件⇒住居以外
空き家であっても、再び住めるように管理されている状態なら住宅物件として扱われるので問題ありません。
ですが、放置空き家の場合は「住居用ではない」と見なされて、一般物件に区分されてしまいます。
そのため、加入している火災保険が住宅物件向けであった場合は、保険が下りない可能性が高いのです。
先に、「空き家状態で加入できる火災保険は多くないうえ、保険料も高い」とお話しました。
その理由は、一般物件に該当する空き家でも入れる火災保険に加入しなければならないからです。
親の代からずっと保険料を支払い続けていても、加入している火災保険が住宅物件向けならムダになってしまうかもしれません。
ですから、現在加入している火災保険のチェックは欠かせないのです。
なお、火災保険等に関する疑問や相談については、以下のサイトを参考にするのがオススメです。
地震保険も個人賠償責任保険も、空き家は対象外
加えて、火災保険の特約で、地震保険と個人賠償責任保険を付けている場合も要注意です。
一般的に、両者が付けられる火災保険は、住宅物件向けです。
そのため、地震保険も個人賠償責任保険も、空き家は対象外になってしまうかもしれないのです。
ちなみに、地震保険は国も絡んでいる少々特殊なもので、「地震等による被災者の生活の安定に寄与すること」が目的です。(地震保険に関する法律 第1条)
建物を直すためではなく、人々の生活を安定させるために地震保険はあるわけです。
ですから、地震保険は人が住んでいない空き家は対象にならないうえ、代わりになる保険も特に見当たりません。
注意しましょう。
また、個人賠償責任保険は、今住んでいる家が事故原因なら、個人の不注意で他人にケガを負わせてしまったと解釈されて保険金が下ります。
一方、管理されていない空き家が事故原因の場合は、建物自体が他人にケガを負わせたと解釈されるので保険金が下りません。
空き家が事故原因⇒もはや所有者が関わっていないも同然なので、保険の対象外…。
ですが、たとえ保険では「建物が勝手に事故を起こした」と解釈されたとしても、世間一般では所有者が賠償責任を負わなければなりません。(民法 第709条)
そこで、施設賠償責任保険に加入しましょう。
施設賠償責任保険は、一般物件を対象にしています。
ビジネス向けな感じがしますが、個人でも加入が可能なものが存在します。
施設賠償責任保険は個人に向けたPRが少ないため、一般物件向けの火災保険と一緒に探すのがオススメです。
参考 空き家サポート愛媛空き家の火災保険料は高い 参考 e-Gov民法最終的には空き家を処分するしかない
管理・清掃サービスの利用や保険のチェックなどが済んだら、ひとまずは安心できるかもしれません。
でも、目指すべきゴールは空き家の処分です。
空き家を土地ごと売却したり賃貸したりできれば望ましいのですが、自分にとって不要なものは他人にとっても不要な場合がほとんどです。
手入れができていない空き家は、柱・床・天井・壁など建物の構造自体が老朽化している可能性が高く、再利用は容易ではないかもしれません。
ですから、やはり空き家は解体するのがオススメです。
空き家を解体できれば、以下のようなメリットが生じます。
- 土地を再利用できる
- 土地を売却しやすくなる
- ご近所に寄付や賃貸しやすくなる
- 地目の変更により固定資産税を抑えられる場合がある
上記メリットに加えて、損害賠償の発生リスクや保険料の支払いからも解放されます。
ですから、解体費用が発生したり固定資産税が増加したりしても、長期的には空き家を放置するより出費を抑えられる可能性もあります。
もし「解体するとしても、費用を抑えたいし相談先も分からない」という場合は、当協会が運営する解体無料見積ガイドにぜひご相談ください。
無料サービスで優良な解体業者を3社紹介できるので、無理なく解体費用を抑えられます。
解体工事そのものに関する相談も承っていますから、ぜひご連絡ください。
まとめ
空き家対策の法律で指導などを受けてしまったとしても、「事故が起きる前に注意してもらえてよかった!!」と前向きに捉えましょう。
冒頭でお話ししたように、最初に連絡を受けた時点では、まだペナルティはありません。
ますは、以下のサイトをチェックしてみましょう。
管理・清掃サービスの案内や相談
引用元:NPO法人 空家・空地管理センター|しっかり管理サービス
火災保険等の案内や相談
さらに、悩みを根本から解決するために、空き家を解体しようか悩んでいる場合は、解体無料見積ガイドにぜひご相談ください。
解体工事の案内や相談
焦らずに一歩一歩進めば、空き家問題は必ず解決できます。
あまり深く悩まず、まずは相談してみましょう!!
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