空き家対策特別措置法で税金倍増?!あなたの家は大丈夫?

近年、人口減少に伴う空き家放置が問題になる中、平成26年に「空き家対策特別措置法」が成立し、平成27年より完全施行されました。放置空き家対策のための法律、この影響で空き家の管理により注意が払われるようになりました。税制上の変化もあり、税金が大幅に上がってしまうか心配な空き家所有者の方も多いのではないでしょうか。

ここでは、空き家を所有の皆さんが「空き家対策特別措置法」の施行に関して知っておくべきことをご紹介します。

そもそも空き家対策特別措置法って?

正式名称、「空家等対策の推進に関する特別措置法」。この法律は、“適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていること”を考慮し、

  • 地域住民の健康、財産保護
  • 生活環境の保全
  • 空き家の活用の促進
  •  
    など、“公共の福祉の増進と地域の振興に寄与”を目的としています。

    平成25年には空き家の戸数が820万戸、過去最高に達する中(住宅・土地統計調査による)、地域住民、環境保全のために施行された法律です。

    法律の施行内容は?

    それでは実際に、空き家の持ち主に対してははどのような事が行われるのでしょうか?
    概要は以下のように定められています。

  • 空き家への立ち入り調査
  • 空き家の所有者等の把握のための情報内部利用
  • 空き家等、及びその跡地の活用
  • 特定空き家等に対する措置⇒助言、指導、勧告、命令
  • 特定空き家に対する罰金、行政代執行
  •  
    このように、「特定空き家」に対する措置が大きなポイントになっています。

    特定空き家とは

    では特定空き家とはどのような空き家のことを指すのでしょうか?

    そもそもの空き家は法律の定義では“居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの”とされています。

    特定空き家は、それに加えて、

  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
  •  
    にあると認められる空家です。(空家等対策の推進に関する特別措置法 第二条)

    もちろん、管理された空き家は措置の対象外ですが、これらの定義を基に行政が判断を下していきます。問題のあるなしに関わらず確認の連絡が来ることは考えられるので、持っている空き家の現状把握はしておきたいですね。

    万が一「特定空き家」に指定されたらどうなるの?

    万が一、上記の判断基準により特定空き家に指定された場合には、概要に定められているように、行政からの指示が下されます。

    ①助言又は指導
    除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとるよう助言又は指導

    ②勧告
    指導をした場合において、状態が改善されないと認めるときは、助言又は指導を受けた者に対し、猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告

    ③命令
    勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずる

    ④行政代執行
    必要な措置を命じた場合において、措置が履行されないとき、履行しても不十分なとき又は履行しても期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行を行うことができる

    そして・・・違反者には罰金も!!

  • ③の命令に違反したら・・・50万以下の罰金
  • 立ち居入り調査を拒んだら・・・20万以下の罰金
  •  
    なので、特定空き家に指定された際には、速やかな対応に移す意思表示が重要です!

    行政代執行、行政が全部対処してくれた方が楽なのでは?

    そもそも、空き家対策特別措置法における行政代執行は、上記のように命令をしても対処がされなかった空き家に対して、行政が必要な処置を行うというものです。しかし、これは「放っておいても行政がなんとかしてくれる」というものではありません。責任はあくまでも所有者にあるので、それにかかった費用は所有者に請求されることになるのです。

    更に、行政代執行の費用は税金と同じように扱われます。なので、所有者の同意は必要なく、税金の支払い同様に請求されます。もちろん、滞納した場合も税金滞納と同様の措置、所有者の財産の差し押さえることも出来るのです。

    行政代執行は、空き家所有者にとってのメリットはないので要注意!

    特定空き家と固定資産税

    家屋や土地などの不動産の所有者は固定資産税を支払わなければなりません。ただ、同じ固定資産税でも、更地とと家屋が建っている土地とでは料金が変わってきます。実は、住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」という制度により、税金が安くなっているのです。なので、空き家を解体してしまうと、この制度が適用されなくなってしまいます。

    区分 固定資産税
    空き地(更地) 何も建物が無い状態 課税標準の1.4%
    小規模住宅用地 住宅1戸につき200平米まで 課税標準×1/6
    一般住宅用地 住宅1戸につき200平米を超えた部分 課税標準×1/3

    例えば300平米の土地に戸建が1戸建っていた場合、固定資産税は以下の通りとなります。

    課税標準額(土地) 1,500万円
    課税標準額(建物) 500万円

    【更地の場合】
    土地 1,500万円×1.4% = 21万円

    【土地と建物がある場合】
    土地 1,500万円/300平米×200平米×1/6×1.4% + 1,500万円/300平米×100平米×1/3×1.4% = 5万
    建物 500万円×1.4% = 7万
    合計 約12万と更地に比べておよそ半額になります。

    引用:NPO法人 空家・空地管理センター

    空き家にも適用されている「住宅用地の特例」、しかし、特定空き家への適用は平成27年度よりなくなってしまいました。減税の為に空き家を残している方もいるかと思いますが、適切な管理をせず、放置をしてしまうと大幅な増税をされかねません。

    固定資産税は1月1日が基準日なので、万が一特定空き家に指定されてしまった場合は年内の状況改善を目指しましょう。そうすることで、住宅用地の特例を受け続ける事ができます。

    空き家は解体すべき? メリットとデメリット

    空き家の対処、あなたの家は特定空き家に当てはまりそうではないですか? 解体するかしないかは各家の状況によって異なってきますが、解体する際のメリット、デメリットをぜひ参考にしてみてくださいね。

    メリット

    • 空き家管理の手間がなくなる
    • 売却の際、更地のほうが早く高く売却しやすい

    空き家対策特別措置法により、空き家の適切な管理が重視されるようになりました。上記のように管理されていない空き家の所有者に対しては勧告や命令、行政代執行や罰金もかかってしまうことも考えられます。特に特定空き家に指定されてしまった場合は、早急な対処ができないと、固定資産税も上がってしまうので、解体することでの税制上のデメリットは特にありません。

    また、老朽化した家が建ったままで販売されている土地は、買い手が後から建物の解体などを請け負い、費用も負担しなければなりません。なので、更地のほうが比較的早く高く売却されやすいようです。

    デメリット

  • 住宅用地の特例」外になり、固定資産税が上がる
  • 解体費用がかかる
  •  
    所有している空き家が、特定空き家に指定されるような、衛生面や安全面の環境を損なうような建物ではなければ、家を解体し更地にすることで税制上の特例が受けられなくなるので、固定資産税が上がってしまいます。ただ、先にも記載したように、特定空き家に指定されてしまった場合は、税制上のデメリットは特にありません。

    まとめ

    平成25年には820万戸(住宅・土地統計調査による)、空き家の戸数は過去最高に達する中、適切な管理が求められる時代になりました。

    あなたの所有している空き家はきちんと衛生面、安全面、管理されていますか?周囲の景観を崩していないでしょうか?悪く目立ってしまっていないかどうかが重要です。税金が上がるかどうかも特定空き家指定されるかされないかにかかってきます。

    特定空き家に指定されないよう、まずはお持ちの空き家の現状把握をしていきましょう。