解体業の起業に必要なものは?取りたい資格と必須の登録

解体業を営もうと考えたとき、これから何をするべきか調べてみると分かりづらいことが多いですよね。解体業に関連する建築業法の改正があり、解体業を営むために必要な許可や登録についてより難しい内容になっています。

解体業を営むには、「建設業許可」か「解体工事登録」を受けることが必須です。今回は現在解体業のお仕事をされていて、この先起業を考えてらっしゃる方に、解体業を営業するために知っておきたい資格や登録についてご説明します。

解体業を営む為に必須の許可

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解体業を営むには、元請・下請や金額に関わらず、必ず「建設業許可」という許可を受けるか「解体工事登録」という登録を受ける決まりがあります。

建設業許可は建築業法により定められていますが、平成28年に改正建設業法が施行されたことにより、許可業種区分が変更されました。

まずは解体業に必須の「建設業許可」と「解体工事登録」とはどんなものかと、法律の改正で何が変更になったかについてご説明します。

建設業許可と解体工事登録の違い

「建設業許可」を持つと工事における請負の金額の上限がなく、全国どこでも営業することができます。一方、「解体工事登録」は登録すれば全国どこでも工事を行えるのではなく、工事を行う都道府県知事ごとに登録をする決まりです。

また解体工事登録は許可とは異なり、請け負う工事の金額が500円未満と制限があります。許可と登録では、制限が少ない分許可の方が必要な書類・技術管理者などの人物の条件・許可のための金額など要件が厳しく決められています。

解体業に関する法律の改正

昔の建物が老朽化し今後解体工事が増えることが見込まれているのに対し、その担い手が不足していることなどが背景となり、解体業における法律の内容が改正されました。

建設業の許可は45年間28業種の区分で、解体工事専門の許可は存在しませんでした。そのため、法律改正前までは「土木工事業」「建築工事業」「とび・土工工事業」のうちいずれか一つ建設業許可を持つと解体工事を営業することができました。

しかし平成28年6月1日の改正建設業法施行により、解体業はとび・土工工事業に含まれていたのが分離独立し、建設業許可業種に「解体工事業」が新設されました。

解体工事業が新設されたことにより、平成31年6月1日以降に500万円以上の工事を行うには解体工事業の許可が必要になりました。解体工事業の新設には移行期間が設けられており、「とび・土工工事業」の許可で解体工事業を営んでいた業者は、平成31年5月31日までは新設の解体工事業の許可を得ずに工事をすることが出来ます。

解体事業登録の要件

500万円未満の工事であれば、「解体工事登録」を受ければ解体工事を行うことができます。建設業許可は工事における金額の上限はありませんが、様々な条件が解体工事登録に比べ高くなっています。そのためここではより取得しやすい「解体事業登録」に関してご紹介していきます。

技術管理者の選任

解体事業登録は、工事を行う場所を管轄する都道府県知事の登録を受けます。そのため登録を受ける地域ごとに必要な書類は異なりますが、要件は似たもの多いので技術管理者に必要な条件について詳しくご説明します。

解体工事登録の要件
解体事業登録を行うために必要な条件が主に2つあります。一つは建設リサイクル法に定められた技術管理者を選任することです。技術管理者とは、解体工事を行う工事の現場において、解体工事の技術や安全における指導・管理を行う人です。

技術管理者として認められるには、国家資格や実務経験が必要です。技術管理者になるには、資格を持っている・試験に合格した・一定以上の実務経験がある、という条件の中でいずれかに当てはまることが必須です。登録を受ける場所により若干要件に違いはありますが、技術管理者になるための主な条件は次の通りです。

資格や試験に合格する

技術管理者になるためには、建築士などの資格の取得が一つの手段です。資格によっては、取得するだけではなく実務経験も必要となるのでお確かめ下さい。

・一級建築士
・一級建設機械施行技士
・一級土木施行管理技士
・一級建築施行管理技士
・一級とび・とび工
・二級建築士
・二級建設機械施行技士
・二級土木施行管理技士
・二級建築施行管理技士
・二級建築士
・二級とび・とび工(二級のとび工に合格後した後、一年間以上の実務経験が必要です)
・解体工事施工技士資格試験に合格

一定以上の実務経験を有している
資格以外にも、実務経験を積む手段もあります。学校を卒業していることが必要な条件になる場合もあるのでご参照下さい。下記で条件となっている土木工学等とは、土木工学・都市工学・衛生工学・交通学・建築学です。

解体工事登録を行う地域によって実務年数だけではなく、実務経験以外に講習を受けることが条件として加わるなど、地域により要件は異なるので必ずご確認下さい。

・大学または高校で土木工学等の学科を取得して卒業し、かつ卒業後に解体工事に関し2年間以上の実務経験を持っている。
・高校または中学校で土木工学等の学科を取得して卒業し、かつ卒業後解体工事に関し4年間以上の実務経験を持っている。
・解体工事に関して7年間以上の実務経験を持っている。

登録拒否事由に該当しないこと

解体事業登録のもう一つの要件は登録拒否事由(法第24条)に該当しないことです。解体工事登録を申請する際には、登録申請書を提出します。

登録申請書や添付書類に書かれている内容に、虚偽の記載がある・重要な事柄が記入されていない等の場合は登録を受けることが出来ません。また暴力団員でなくなってから5年を経過していないなど、法律で定められた不適格要件に当てはまらないことも条件です。

解体工事に関する資格一覧

起業の為に必須の資格以外にも、どのような工事を行うかによって必要な資格は異なります。解体工事に関連する資格は多く存在しますので、ご参考にして下さい。

積載形トラッククレーンなどの使用

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工事を行う際に必要となる、小型クレーンの操作や重機の操作には資格取得が義務付けられています。つり上げ荷重1トン以上5トン未満の小型移動式クレーンを使用するときには「小型移動式クレーン運転技能講習」、パワーショベルなど機体重量3トン以上の運転をする際は「車輌系建設機械運転技能講習」か「建設機械施工技術検定」が必要です。

小型移動式クレーン運転技能講習は学科14時間と小型クレーンの運転などの実技を行います。車輌系建設機械運転技能講習は2日~5日のコースがあり、18歳以上で大型特殊自動車免許を持っているなどの受験資格があります。

鉄骨造建築物や足場の組み立て

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高さ5m以上の鉄骨造建築物や足場の組み立て・変更・解体を行う場合や、鉄筋コンクリートを解体するには資格が必須です。

つり足場や高さ5m以上の足場の組み立てを行う際は「足場の組立て等作業主任者」、鉄骨造建築物で高さ5m以上の組み立てを行う場合は「建築物等の鉄骨の組立作業主任者」という作業主任を置いて指揮しなければなりません。また高さが5m以上のコンクリート建造物の解体を行う場合は「コンクリート造工作物の解体作業主任者」を配置します。

アスベストの取り扱い

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解体工事を行う前にアスベストがないかを調査します。工事前にアスベストが発見された場合は、大気汚染防止法に基いて、作業計画を作り労働基準監督署へ届ける必要があります。

アスベストが発見された場合は専門の業者に撤去を依頼することも可能ですが、石綿作業主任者を選任し特別管理産業廃棄物管理責任者を配置したうえで法令を守れば、自社でアスベストの除去を行うことができます。石綿作業主任者技能講習は学科約10時間と修了試験1時間です。またアスベストの除去作業を行う作業員全員に石綿特別教育を実施する必要があります。

アセチレン溶接装置の使用

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金属の溶断・切断・加熱などを行う時に、アセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を用いる場合には「ガス溶接作業主任者」が必要です。ガス溶接作業主任者には受験資格はありません。

ただし大学や専門学校で溶接過程を取得していない場合は、試験合格後の免許申請の際に実務経験等を証明する書類の添付が必要です。ガス溶接作業主任者の試験は20問(3時間)で行われます。内容としては、アセチレン溶接装置やガス集合溶接装置に関する知識や、関連する法令等が出題されます。

解体業の起業についてのまとめ

解体業を起業するには建設業許可か解体工事登録を受けることが必須です。今回は申請書類や要項が通りやすという理由で、解体工事登録についてご説明させていただきました。解体工事登録を受けるには、技術管理者の認定が必要とご紹介しました。

技術管理者になるためには、国家資格や一定期間以上の実務経験が求められます。起業をするためにも資格を取りたいと考えたときには、技術管理者の条件になる資格取得を目指すのも一つの手段ではないでしょうか。

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    3 Comments

    アバター画像 市川善勝

    コメントありがとうございます。
    現在、事業立ち上げに必要な資料は配布しておりません。
    貴重なご意見として社内に共有し、ご用意できましたら配布させていただきます。

    返信する
    平下菊美

    文章後拝させっていただきました。より詳しくわかりました。貿易会社を経営しています。今難航しております。解体工事をやってみたいと思ってました。

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