建て替え工事の時に不安なのが「ご近所からの苦情」。
ほとんど毎日騒音を出し続けるわけですから、多少の苦情は仕方ないのかもしれません。
しかし、中には理不尽な苦情もあり、対応に困ってしまうケースもあります。
これから住み続ける事を考えると、ご近所との関係は良好に保ちたいですよね。
では、一体どんな理由で苦情が来てしまうのか?
苦情が来たらどう対処するのが適切なのか?
一緒に見ていきましょう。
苦情の原因3選
苦情と一口に言っても、内容は千差万別。
今回は苦情の中でも特に多い3つの原因をご紹介します。
1騒音
苦情の中で最も多いのは騒音です。
重機を駆動させる音。建物を取り壊す音。作業員の叫び声や合図のスピーカー音。
全て日常生活では常識外の騒音なので、多分、依頼主であるあなたも逆の立場になれば「うるさい」と感じるはずです。
法律上の規定では、「騒音」の基準は85db(デシベル)以上だと定められています。
また、同規則に列挙された項目に加え、「騒音障害防止のためのガイドライン」では52項目の作業場が、各種の測定結果から「等価騒音レベルで85db(A測定※1)以上になる可能性が大きい作業場」とされ、これらの作業場では、作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)に基づく等価騒音レベル測定(A測定及びB測定※2)を6月以内ごとに1回(但し、施設、設備、作業工程又は作業方法を変更した場合はその都度)、1測定点につき10分間行うことが求められています。
85dbの騒音例として、救急車のサイレンや走行中の車内、ピアノを間近で弾いた音などが挙げられます。
そして、法律上85dbを超えなければ違法性はありません。
問題は、ほとんどの人が85db以下の騒音を「うるさい」と思う事実です。
例えば、70dbの目安となるのは掃除機や繁華街の喧騒です。
一日中室内で掃除機をかけられて参らない人は少ないはずです。
法律上の「騒音」と人間が判断する「騒音」は別物だと考えてください。
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2粉塵(ちり、ほこり)
次に多いのが粉塵(ちりやほこり)です。
粉塵を出さずに建物を取り壊すのは物理的に不可能です。
そのため、解体工事前には近隣の方に協力を仰ぎ、工事中は窓を締めてもらうのが一般的です。
しかし、外に干した洗濯物や駐車場の車などに被害が及び、トラブルになるケースがあります。
対処法として「洗濯物を室内で干してもらう」「車にカバーをかけてもらう」などがありますが、対処法自体に反感を持つ人もいます。
また、道路へ粉塵が吹き飛んで汚してしまうケースもあります。
公共物なので見落としがちですが、住民の方が不快感を覚える理由としては充分です。
ちなみに、粉塵は法律上の異常基準値は存在しません。
なので粉塵をなるべく抑える為に、散水をしながら工事を進めるのが一般的ですが、業者によって程度が異なるので工事前に確認しましょう。
3路上駐車
重機や作業員の車の駐車により、道を塞いでしまう事もあります。
特に狭い道路の場合は、車はおろか人も通りづらいので迷惑をかけてしまいます。
基本的には警察署に「道路使用許可」を申請しているので、車を駐留していても違法性はありませんが、近隣の方は不満に思う場合が多いです。
「道路の占用」をするためには、道路を管理している「道路管理者」の許可を受ける必要があります。(道路法第32条)国が管理している指定区間の国道については、当該国道を管理している国道事務所の「事務所若しくは出張所」から「道路占用許可申請書」の用紙を受けとり、必要事項を記入のうえ「出張所」に占用許可申請することになります。
引用元:国土交通省関東地方整備局 | 道路占用許可制度について
苦情が来てしまったら
苦情が来てしまう原因は分かりました。
それでは、実際に苦情が来てしまったら、どう対処するのが良いのでしょうか。
適切な対応が問題の解決、今後の人間関係に繋がります。
では実際の苦情例を元に適切な対処法を見ていきましょう。
実際の苦情例と解決法!
それでは、実際にはどのような苦情があるのでしょうか。
まずは、解体業者と依頼主側に過失があり、正当な苦情を申し出た例です。
正当な苦情
(正当な苦情例1)
工事中、工事関係車両が我が家の間口をふさいだり、玄関先に止まっていたり、車庫付近に止められ車の出し入れに不自由したり、迷惑駐車に悩まされました。
ゴミもすごく、釘や金属片、ビニール袋に梱包バンドなど、いろんなものが我が家に飛んできて、そのつど私が処分していました。
工事担当者に苦情を伝えたところ、1回目は、「ゴミなんて多少飛んできますよ」との答え。いつもゴミ袋の口を開けたまま我が家の塀のそばに置いていたので、改善する気がないものと判断し、2回目はヒステリックに注意してしまいました。
引用元:Yahoo知恵袋
一度注意を受け、改善出来るにも関わらず、まともに対応していない悪例です。
悪い解体業者だと、契約を結んでいる依頼主との対応だけをまともに行い、依頼主とご近所さんの今後は考えない場合もあります。
そして、解体業者に直接注意してください。
いくら良くない解体業者でも、お客様である依頼主の言う事であれば、ないがしろには出来ません。
それでも態度を改めないのであれば、解体工事会社に直接連絡を入れ、現状をしっかり伝えてください。
(正当な苦情例2)
家の前でアパートの取り壊しと建て替え工事が始まりました。
取り壊し作業のバンと何かを捨てる音、怒鳴り声などで日中ビクビクしています。
防音シートなどはないのです。洗濯物を干すと埃がつきそうな距離です。
ある程度の騒音はお互い様だと思うのですが、防音シートとかはつけないで取り壊し作業するのは困るのですが、この場合何ヶ月も我慢しなければならないのでしょうか。
引用元:Yahoo知恵袋
「防音シート」を使用していないのは、解体業者と依頼主側の過失です。
稀に、工事費を抑える為に防音シートを使用しない工事内容で発注する依頼主もいますが、防音を怠っていれば苦情を言われても当然です。
そして、解体業者に連絡し防音シート、養生シートを使用した工事内容に変更して様子を見てください。
悪質な苦情
次は依頼主や解体業者に非がなく、正当性に欠ける苦情例です。
(悪質な苦情例1)
事前に工事前に近隣を廻り、工事に入る旨、騒音が出る旨(土間のはつりがあったため)説明に回りました。
ところが、工事開始日に隣人から「騒音がうるさい」とクレームがでて、工事中断。結局、数日、工程は半分ほどしか進んでいません。「慰謝料の請求か、工事期間中はホテル住まいでもさせてもらわな!」と、金銭の要求をちらつかされています。
現在のところ工務店が防音シートを貼り、工事を再開していますが、今後のことを考えると夜も眠れません。
引用元:Yahoo知恵袋
法規定の85dbを超えた騒音を出していないのであれば、慰謝料等の支払い義務は発生しません。
逆に、苦情を申出た人が威圧的、暴力的な態度であれば「脅迫罪」
さらに上記のように金品を要求された場合は「恐喝罪」が適用されます。
法規制を遵守して工事を行っている依頼主に対し、法外な要求をしている隣人。
仮に「裁判を起こす」と言われても有利なのは依頼主です。
もし何度説得しても要求や態度が悪化する場合は、警察や弁護士に相談するのが有効です。
(悪質な苦情例2)
工事業者の方が近所を回り、工事に関する情報(期間や騒音)を説明し、許可を求める書類にサインを頂いたそうです。
それにも関わらず、工事が始まったら「うるさい、今すぐ工事を中止しろ。」と怒鳴り込んできたそうです。
工事業者さんもホテルをお取りします、と対応したのですが、中止しろの一転張りでした。
引用元:Yahoo知恵袋
なぜなら、一度要求を飲んで中止してしまうと、再開するのに隣人に許可をもらう必要があるからです。
中止を要求した人が、そう簡単に再開許可を出すとは思えないので、工事が大幅に遅れる原因になってしまいます。
「裁判を起こす」と言われても、怯む必要はありません。
なぜなら、裁判の手続きをしている間に通常の工事であれば完了します。
裁判自体が徒労なので、実際に行動に移す人は稀です。
・苦情内容をしっかり受け止め、工事内容を見直すなど「妥協案」を提案する。
・理不尽な要求であれば、鵜呑みにせず毅然とした態度を貫く。ひどい場合は警察や弁護士に相談する。
3苦情を未然に防ぐには?
苦情が来た場合の対処法を見てきましたが、実際は苦情が来ないに越した事はないですよね。
ちゃんと苦情対応が出来たとしても、その後も気まずさを引きずり、町での居心地が悪くなる事もあります。
では、工事を苦情なく円滑に進めるにはどうすれば良いのでしょうか?
ここからは、苦情を未然に防ぐための方法を見ていきましょう。
挨拶回り
工事前の挨拶回りは必須です。
通常、解体業者がご近所へ挨拶に回りますが、大事なのは「依頼主も一緒に回る」事です。
工事中は、大なり小なり騒音や粉塵被害を与えるので、ご近所に迷惑をかけてしまいます。
そのため、依頼主が誠意を持ってご近所にお願いと説明をするのが道理です。
近隣の方から見ても、工事前に依頼主から挨拶があった方が印象は格段に良くなります。
「わざわざ挨拶に来られて迷惑だ」と考える人は珍しいので、挨拶回りは必ず行いましょう。
防音性の高い工事内容
基本的に、工事を行う際には「養生シート」と呼ばれる防音シートを使用します。
建物を囲むことで、騒音や粉塵被害を防げます。
しかし、稀に養生シートを使用しない解体業者も存在します。
防音を怠っている場合、苦情は免れないので工事内容を良く確認してください。
また、費用はかかりますが、より防音性の高いシートに交換する事も出来ます。
苦情が入る前に対策をしておく事で、リスクを下げられます。
普段のご近所付き合い
苦情の原因は騒音や粉塵ですが、苦情の申し出に至るには起爆剤が必要です。
ほとんどの人は多少不満を抱いても我慢をします。
起爆剤となり得るのは「妬みや嫉み」です。
家を建て替えるには高額な費用がかかります。
そのため、遠回しに自慢をされているように受け取る人もいるのです。
人間の感情である以上、嫉妬が出てしまうのは仕方がありません。
ですが、「普段からしっかり付き合いがある」としたら状況は変わってくるかもしれません。
普段から親しくしているご近所さんなら、建替え工事を素直に祝福してくれる人も多いです。
また、人間関係が上手くいっていれば、多少の騒音で怒鳴り込みに行く事もありません。
しかし、普段から付き合いが希薄だったり、むしろ仲が悪い場合は、ちょっとした事でも苦情に発展する場合があります。
「工事はお互い様」と思って貰える為には、普段からのご近所付き合いも大事なのです。
解体業者選びも重要
苦情を未然に防ぐには、解体業者選びも重要です。
正当な苦情例1のようにご近所への対応がずさんだったり、工事費を安く見積る為に防音を怠ったりする解体業者もいます。
逆に、優良な解体業者は防音を怠りませんし、粉塵がなるべく出ないように丁寧に取り壊しを行います。
また、ご近所への丁寧な挨拶回りも欠かしません。
ご近所からの苦情を抑える為には、優良な解体業者に依頼をするのが有効です。
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建て替えの苦情についてのまとめ
建て替え工事の際は、事実として騒音などの被害を発生させます。
なので、多少の苦情は覚悟する必要があります。
しかし、大事なのは「被害を発生させている」、「迷惑をかけている」意識を持つことです。
迷惑をかけていると自覚し、真摯な対応を心がける事が苦情の解決、防止に繋がります。
また、優良な解体業者に依頼をし、丁寧な工事を行って貰うことで苦情のリスクを下げられます。
建て替え工事を行った後も、居心地良く住み続ける為に自分で出来ることは積極的に取り組みましょう。