「新築物件と中古物件、どちらに投資した方が利益が出るの?
新築の方が良さそうだけど、価格が安い中古にしようかな?」
「新築不動産への投資って、簡単なの?
どんなことに気を付けて投資をすればいいのか、手掛かりが欲しい…」
新築不動産への投資に興味はあっても、どうすれば損しないのかが分からなければ、ちょっと心配ですよね?
そこで、新築不動産への投資で知っておくべき4つのポイントついて説明します。
【ポイント1】新築が持つメリットを根底から理解し、最大限活用する
不動産投資では、新築物件と中古物件のどちらを選ぶのかが大きな問題です。
一般的には、初めて不動産投資をする場合には、新築の方が向いているといわれます。
その理由は、新築に活用しやすいメリットがあるからです。
新築にはどのようなメリットがあるのでしょうか? 具体的に確認してみましょう。
中古にはない、新築だけの長所
まずは、新築と中古のメリットを比較してみましょう。
新築と中古の比較
新築 | 中古 | |
---|---|---|
利回り | 低い | 高い |
入居率 | 確保しやすい | 確保しにくい |
価格 | 高い | 安い |
融資 | 受けやすい | 受けにくい |
修繕リスク | 低い | 高い |
災害に対する強さ | 強い | 弱い |
一般的には中古と比較した場合、新築のメリットとして入居率の確保のしやすさ、融資の受けやすさ、修繕リスクの低さ、災害に対する強さが挙げられます。
一方、中古物件は利回りが高く、価格は安い特徴があります。
利回りは具体的に次の式で計算されます。
利回りが高くなるほど、物件価格に対する家賃収入は多くなります。
ですから、一見すると中古の方が投資をするうえでは有利に見えるかもしれません。
それでも、利回りの低さと価格の高さは新築のデメリットとは言い切れません。
なぜなら、新築の方が総合的な収益は上げやすいですし、価格の高さは品質の良さに比例する傾向があるからです。
新築は人気が高く、安定した家賃収入で総合的な利益が見込める
さて、皆さんはどのような場合に引越しを考えますか?
引越しを思い立ったきっかけについては、以下のようなアンケート結果があります。
引越しを思い立ったきっかけは?(複数回答式)
きっかけ | 回答した方の割合 |
---|---|
結婚した(する)から | 24.7% |
更新時期がきたから | 16.1% |
一人暮らしをしたかったから | 13.8% |
今よりよい条件の物件を見つけたから | 12.0% |
入学した(する)から | 11.1% |
転職したから | 8.8% |
転勤したから | 7.7% |
就職した(する)から | 7.1% |
離婚した(する)から | 0.6% |
その他 | 11.1% |
引越しをするタイミングは人それぞれですが、結婚や入学、就職・転職など人生の節目がきっかけとなるケースが多いようです。
ちょうど「心機一転、頑張ろう!!」と思う時期ですよね?
また、新築住宅を購入した方に対して、中古住宅を選ばなかった理由を尋ねたアンケートもあります。
新築住宅購入者に聞く、中古住宅にしなかった理由(複数回答式)
理由 | 回答した方の割合 |
---|---|
新築の方が気持ち良いから | 73.2% |
リフォーム費用などが割高になる | 38.2% |
隠れた不具合が心配だったから | 26.3% |
耐震性や耐熱性など品質が低そうだから | 23.7% |
給排水管などの老朽化が懸念された | 20.7% |
価格が妥当なのか判断できなかったから | 14.3% |
間取りや台所浴室等の設備、広さに不満だったから | 13.9% |
見た目が汚いなど不満だったから | 12.3% |
保証やアフターサービスが無いと思った | 7.6% |
その他 | 6.3% |
無回答 | 1.8% |
なんと、「新築の方が気持ち良いから」が堂々の1位です。
建物自体の心配はもちろん、自分の気持ちも非常に大切にしているのが結果に表れています。
2つのアンケート結果から、「人生の節目で引越しするのだから、気分を一新するために新築を選びたい」と考える方が多いのではないかと推測できます。
そのため、新築は入居希望者が多いため家賃収入は安定しやすく、結果的に総合的な収益確保を見込めるのです。
新築は品質が良く、突然の出費が少ない
中古を購入する際、大いに気を付けなければならないのが建物の傷み具合です。
特にマンションの場合は、十数年に1回のペースで大規模修繕工事が行われ、数千万円にものぼるお金が費やされます。
中古マンションを購入する際は、最後に大規模修繕工事が行われた日や修繕費積立金を確認しないと、購入直後に多額の資金が必要になるケースがあります。
さらに、下見の時点で入居者がいる部屋は室内の確認が難しく、購入から間もなく設備のトラブルが見つかる場合もあります。
そのため、中古物件は購入価格が安くても、購入直後に多額の出費が発生する可能性を考えておかなければなりません。
一方で、新築は購入後しばらくの間は修繕を心配する必要がなく、万が一何かあっても品確法で10年間保護されるため、突然の出費が起こりにくいのが強みです。
通常の売買では、民法第570条の瑕疵(かし)担保責任にて売買物に重大かつ購入前には分からなかった問題(隠れた瑕疵)があった場合、買主側が問題を知った時点から1年以内なら契約を解除できると定められています。
品確法では、民法の瑕疵担保責任をさらに強め、売主が買主に住宅を引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等(基礎・柱・壁など)について、売主は瑕疵担保責任を負うとしています。
なお、民法の瑕疵担保責任では、売主が個人の場合は特約で免責可能です。
一方、品確法では、買主に不利な特約は無効とされるため、個人・法人問わず売主の免責等は認められません。
そのため、買主は安心して新築住宅を購入できます。
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※2020年4月1日の改正民法施行により、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わります。
隠れた瑕疵でなくても責任の対象になり、民法でも買主側の保護が強化されます。
このように、中古に比べて新築は品質が安定しているうえ、保証もしっかりしているのが特長です。
ですから、新築は初めて不動産に投資する方にオススメなのです。
新築マンション・アパートの1棟投資は可能なのか?
不動産投資で多くの収益を上げるためには、新築の大きな物件を購入するのも一つの手です。
しかし、新築のマンションやアパートを1棟丸ごと買い入れたいと考えた場合にネックになるのが、高額のローンを組めるのか否かです。
新築マンション等の投資には多額の資金が必要ですので、通常は銀行など金融機関からの融資が欠かせません。
ところが、金融機関から融資を受けるには、審査をクリアする必要があります。
十分な年収がない等の理由で審査に不利な場合、融資してもらえる可能性はないのでしょうか?
でも、安心してください。
新築不動産なら融資を受けられる可能性があります。
なぜなら、新築は資産価値が高く、担保としての評価が高いからです。
審査の結果が以下に当てはまる場合、金融機関は融資可能と判断する傾向があります。
- 貯金や資産などが十分にある
- 年収が高い
- 社会的立場が安定している
- 融資の対象となる不動産の資産価値が高い
融資では、将来返済される見込みが重視されます。
そのため、個人の返済能力を問われるケースが多いのが実情です。
ただ、返済には不動産を競売に掛けて売却したお金を充てる方法もあります。
当然ながら、資産価値が高い方が売却金額も多くなるため、金融機関からの評価は高くなります。
すでに触れたように、新築は総合的な収益が上げやすく、品質が安定しているのが強みです。
つまり、金融機関は新築不動産を以下のように判断すると考えられます。
・品質が安定している⇒修繕の問題などが起こりにくく、建物の評価が高い
2つの強みがあるので、新築の資産価値は高くなる傾向があります。
ですから、資産価値の高い新築不動産そのものを担保とすれば、銀行から融資を受けられるのです。
もちろん、多額の借金を抱えるのはリスクなので、返済計画を綿密に立てておくのは必須です。
ただ、収益が見込める魅力的な新築不動産があれば、投資を考えてみるのもオススメです。
【ポイント2】限られた時間の中で新築のメリットをいかしきる
初めて不動産に投資する場合、新築のメリットがもたらす効果は大きいです。
かといって、新築不動産への投資であれば必ず利益が出るわけではありません。
なぜなら、新築としてのメリットが続く期間はごくわずかだからです。
不動産が新築として扱われる時間は極めて短い
いったい物件は、いつまでが新築にあたるのでしょうか?
実は、新築住宅の定義は以下の通りはっきり決まっています。
1.新たに建設された住宅
2.まだ一度も人が住んでいない
3.建設完了日から1年以内
新築住宅の定義によると、新築として扱われる期間は、最長でも建設完了から1年間なのです。
さらに、建設して間もない建物であっても、2人目の居住者にとっては中古物件です。
そのため、とても短い間しか新築のメリットを受けられません。
最初の1年間は、特に気が抜けないので注意が必要です。
日本には根強い新築信仰がある
一般論ですが日本人は新しいもの好きだといわれます。
事実、以下の表が示す通り、欧米と比較すると日本は住宅市場に占める新築住宅の取引割合が多めです。
既存住宅流通シェアの国際比較
国名 | 新築住宅着工戸数(割合) | 既存住宅取引個数(割合) |
---|---|---|
日本(2013年) | 98.0万戸(85.3%) | 16.9万戸(14.7%) |
アメリカ(2014年) | 100.3万戸(16.9%) | 494.0万戸(83.1%) |
イギリス(2013年) | 16.0万戸(13.0%) | 107.4万戸(87.0%) |
フランス(2013年) | 33.2万戸(31.6%) | 71.9万戸(68.4%) |
日本の住宅市場で新築が占める割合は、フランスの4~5倍、アメリカやイギリスの6倍近くにのぼります。
先に紹介した2つのアンケート結果も、日本における新築人気の高さを示していました。
ですから、法律などの違いがあったとしても、日本は他国より新築住宅を好む傾向が強いといえます。
よって、日本では中古扱いになった途端に、入居率が確保しにくくなって家賃収入が安定しなくなるおそれがあります。
加えて、もし建物を売却したい場合には、すぐに買い手が見つからない可能性が考えられるので要注意です。
参考 日経BPWhy! なぜ日本人は住宅ローンに大金を払う?新築プレミアムは資産にならない
新築物件の価格には、新築プレミアムと呼ばれるものが含まれています。
新築プレミアムには明確な定義が存在しませんが、不動産業者がチラシやCMといった広告宣伝費用を回収するために設定していると捉えられる場合が多いようです。
一方で、新しいもの好きな日本人に対しては、新築なら多少高くても売りやすいと考えられます。
ですから、新築プレミアムはメリットとデメリットの両面を持っています。
ただし、新築プレミアムは中古物件の扱いになった時点で消滅し、資産として手元に残らないので注意が必要です。
メリットを活用できなければ、物件本来の価値より高い金額を払っただけの損失になってしまうのです。
なお、新築プレミアムの問題は、物件を売却する際にローン残高と売却価格の差になって表れる場合があります。
そのため、売却までを視野に入れ、慎重に投資する必要があります。
【ポイント3】新築から中古へ…将来生じるリスクを知る
新築不動産へ投資した最初のころは、収益を上げるのが一番の課題です。
ただ、不動産が新築から中古に変わって時が経つにつれ、入居者の入れ替わりや建物の劣化といった管理上の問題が目立つようになってきます。
そこで、新築不動産への投資にあたって、将来どんなリスクが起こりうるのか具体的に見てみましょう。
退去者のリスク
不動産投資には、退去者が発生するリスクが付きまといます。
退去者が出ると、部屋からの収入がなくなるばかりか、メンテナンス費用などが重くのしかかります。
ですから、空室期間はできるだけ短くしなければなりません。
ところが、入居者は契約の更新時期が到来するタイミング、つまり1、2年後から退去しはじめるので要注意です。
しかし、建設から1年が経過したり、一度でも誰かが住んだりした部屋は新築として貸し出せません。
そのため、家賃を下げなければ新しい入居者が見つからない場合があります。
さらに、部屋の補修やクリーニング、入居者募集の広告に20~30万円以上かかるおそれがあります。
敷金があっても、普通に生活していて生じる程度の傷みを補修する工事には利用できないので、あまりあてにできません。
ですから、1、2年後に退去者が出る可能性を見越した投資計画が必要です。
参考 もふもふ不動産 初心者向け不動産投資の情報サイトワンルームマンション投資は99%失敗!ツーブロックゴリラの恐怖!売却が困難になるリスク
不動産投資で忘れてはいけないのが、売却のリスクです。
何らかの理由で建物を運用するのが難しくなり、売却しなければならない場合があります。
そのため、投資時点で売却する可能性まで考えておかないと、のちのち大きな損害が発生しかねません。
建物の資産価値と売却価格は、年数が経つにつれて低下するのが通常です。
以下は、全国にある中古マンションの販売価格をもとに算出した平均坪単価と、ファミリータイプのマンションで一般的な専有面積70㎡換算時の価格です。
全国の中古マンションの販売価格の平均坪単価と70㎡換算時の価格
平均坪単価 | 70㎡換算時 | |
---|---|---|
築1~5年 | 260万円 | 5,512万円 |
築6~10年 | 205万円 | 4,332万円 |
築11~15年 | 167万円 | 3,531万円 |
築16~20年 | 150万円 | 3,182万円 |
築21~25年 | 115万円 | 2,441万円 |
築26~30年 | 93万円 | 1,965万円 |
築31~35年 | 110万円 | 2,332万円 |
築36~40年 | 106万円 | 2,252万円 |
築41~45年 | 90万円 | 1,907万円 |
築46~50年 | 109万円 | 2,301万円 |
築50年以上 | 109万円 | 2,302万円 |
表の各数値は、条件が異なるマンションで算出されている点に注意が必要ですが、おおよそ築25年くらいまで資産価値は下がり続ける傾向があります。
また、別の新築マンション建設や、大型商業施設の移転といった建物周辺の動向により資産価値が下がるケースもあります。
ただでさえ、新築不動産は新築プレミアムを含んで購入価格が高くなっています。
ですから、ローン残高と売却価格の差が広がる危険が高く、建物を売却したあと多額の借金が手元に残りやすいので要注意です。
資産価値が下がるほどローン残高が多くなるので、不動産投資を簡単にやめられなくなるのです。
メンテナンス費用増加のリスク
新築のメリットの一つとして、品確法による10年間の保護を挙げました。
もちろんメリットには違いないのですが、裏を返せば10年経ったら建物の問題は買主の責任で解決しなければならないともいえます。
10年経てば建物や設備は古くなり、特にマンションの場合は大規模修繕工事の必要性が出てきます。
今のところ、新築マンションの販売では修繕費積立金を安く抑えて入居者を集めやすくする手法があるため、大規模修繕工事の時期が迫ってくると急に家賃の値上げや一時金の出資をお願いするマンションも存在します。
ですから、修繕の時期になってから資金で困らないように、家賃には適正な修繕費積立金を組み込む必要があります。
なお、資金の不足で必要な修繕工事ができないと、建物の資産価値は下がりやすくなります。
そうなると、すでに述べた「売却が困難になるリスク」に拍車を掛ける結果にもつながりかねません。
【ポイント4】3つの条件を満たす魅力的な物件に投資する
新築不動産への投資では、将来のリスクを意識するのが大事です。
ですから、購入前に物件をとことん吟味しましょう。
物件選びで確認すべきポイントは、新築でなくなっても住み続けたいと思える物件かどうかです。
そこで、新築・中古問わず魅力的な物件であるために必要な条件を、次の3つに分けて紹介します。
- 立地の良い場所にある
- 居住環境が整っている
- 建物のコンセプトを明確にしている
『条件その1』立地の良い場所にある
・都心や最寄り駅に近い
・治安が良い
・公園等、子育て環境が整っている
アクセスの良さや建物周辺の状況を気にする方は多いはずです。
いくら建物が立派でも立地が悪ければ、住居を探す方には見向きもされないかもしれません。
また、立地の良さが突然悪化するケースはあまりありません。
ですから、立地の良さは長期にわたって安定した物件の強みになります。
『条件その2』居住環境が整っている
・日当たりや風通しが良い
・プライバシーが確保されている
・高い耐震性や防犯機能を備えている
実際に生活をするうえで居住環境の良さは重要です。
建物や設備に問題が起こらないように管理する必要があります。
さらに、最近ではオートロックや防犯カメラなど安全面を重視するマンションも存在します。
しっかりした防犯対策は物件のアピールポイントになります。
なお、居住環境の良さは維持し続けなければ意味がありません。
入居者を集める目的で高額の設備を導入しているマンションの場合、修繕費積立金の不足に要注意です。
『条件その3』建物のコンセプトを明確にしている
・ターゲットに合った建物の仕様になっている
・ターゲットに向けたアピールポイントを明確に打ち出している
コンセプトを明確にするためには、ターゲットの絞りこみが欠かせません。
ターゲットを定めると、ターゲットに合わせた設備の導入が進むので、入居者を募集する際に「ここがオススメ」とアピールポイントをはっきり打ち出しやすくなります。
また、コンセプトが明確な建物ほど、退去者が出ても新たな入居者が集まる傾向があります。
ターゲットから見ると、物件が自分に合っているのかが入居前に判断しやすいからです。
以上の3つの条件を満たしている投資物件は、新築でなくなっても入居者数を維持しやすいと考えられます。
人気がある物件は、家賃収入を下げずに済むうえ資産価値も下がりにくくなるのです。
まとめ
新築不動産への投資では、以下の4つのポイントを押さえましょう。
- 新築は人気の高さや品質の良さにより利益を出しやすい
- 新築のメリットを利用できる期間は、最長でも1年と極めて短い
- 中古になったのちは、収支を悪化させるリスクが生じやすい
- 建物自体が魅力的な物件なら、中古になっても家賃収入や資産価値が下がりにくい
新築は収入を上げやすく支出を抑えやすいのが特長で、初心者が不動産投資を始めるのにオススメです。
また、新築マンションなら建物自体が担保になるので融資が受けやすく、資金が少なくても投資が始められる可能性があります。
ただ、新築のメリットを受けられる期間はごくわずかで、さらに中古になってからは収入低下・支出増大につながるような多くのリスクが生じます。
物件の売却まで含めて投資の収支を黒字にするには、中古になっても人気が下がらない、魅力的な物件を選ぶ必要があります。
そのためには、投資を考えている物件が紹介した3つの条件を満たしているかをチェックしましょう。
新築不動産への投資は、収益を上げやすいのでオススメです。
ただし、不動産の売却を含めて最終的な収支を黒字にするには、最初の投資計画を念入りに行う必要があるといえます。
ですから、まずは紹介した3つの条件を満たした、魅力的な新築不動産を探してみてください。