解体工事で粉塵被害を引き起こさないために注意したいポイント!

解体工事の現場を見たことがある方もいると思います。
巨大な建物を特殊な重機を使って壊すのでホコリが舞ってしまう為、衛生面も気になりますよね。
粉塵が発生することでどのような被害があるのでしょうか?

そこで、この記事では粉塵被害の対策方法もあわせて詳しく紹介しています。
ぜひ、参考にしてみてください。

解体工事に伴う粉塵被害

取り壊し工事を行う住宅の築年数は30年以上のものが対象のため、工事を行う際には長年蓄積された粉塵(ほこり)が一気に吐き出されます。
このように、解体工事を行う上で特に注意が必要なのが粉塵です。解体工事は既存の建物を手作業や重機を使って壊しくので、粉塵の発生を100%防いでの作業を行っていくのはほぼ不可能でどうしても粉塵が舞ってしまいます。

それでは、解体工事での粉塵被害とはどういったものなのか、粉塵が及ぼす影響にはどういったものがあるのか見ていきましょう。

粉塵による被害

粉塵によって2つの大きな被害があります。

1.健康被害
2.住民への被害

1.健康被害

粉塵を吸ってしまった場合は、普通の砂埃程度のものなら多少吸引しても特に人体への被害はありません。
ですが、小さなお子様が吸ってしまうのは健康上良くありません。アレルギー体質の方がアレルゲンが含まれる粉塵を吸ってしまうと、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状が出る場合があります。

MEMO
さらに、解体する建物にアスベストが使われていると周囲に深刻な被害をもたらしてしまいます。

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2.住民への被害

健康被害について見てきましたが粉塵被害には健康被害だけでなく、住民への被害も発生します。
それでは、2つ目の住民への被害について見ていきましょう。

  • 洗濯物
  • 住居内
解体工事を見てみると相当な量のホコリが発生します。
そのため、ホコリが車に付着しフロントガラスから前が見えないくらいホコリが積もってしまうケースがあります。
また、住居のすぐそばで解体工事を行っているとかなりの確率で洗濯物がホコリまみれになってしまい迷惑をかけるのは避けられません。
さらに、家の外壁にホコリが付着したり、中には部屋の中までホコリが入ってくる被害が発生したりもします。
ホコリが付着することに敏感な方もいらっしゃるので、作業中にはあらかじめ洗濯物を干すのを避けてもらったり、戸締まりを徹底してもらいましょう。

ちなみに、住宅の規模や状態によって前後しますが、取り壊し工事を行う作業にかかる時間はおおよそ10日~2週間ほどです。
解体工事中、施主はその場にいる事が少ないかもしれません。しかし、近隣の方々は解体工事中もその場で生活を送ります。なので、事前に迷惑かけるという旨を伝えておく必要があります。

誰しもトラブルを引き起こしたくはないですよね。
しかし、実際には粉塵被害でトラブルがつきものです。
では、実際のどのようなケースでトラブルになったのか事例を見ていきましょう。

粉塵トラブルの裁判事例と対処方法

粉塵が原因で問題を引き起こしてしまった場合、どの様な対応が必要なのでしょうか?
実際に粉塵によるトラブルで裁判まで発展し、慰謝料が発生した事例があります。

大阪高判による裁判事例

解体工事をする上で、粉塵が原因で解体工事業者と住民の方との間で裁判にまで発展してしまった事例があります。
大阪高判で実際に発生した事例を見ていきましょう。

解体工事業者と粉塵防止措置に合意を結んだにもかかわらず、工事会社が合意を遵守しなかった場合(当該合意違反の工事に伴う粉塵により精神的被害)
⇒難病の住民が、解体工事会社に対し、難病であるため配慮して工事を進める旨の合意をしたにもかかわらず、当該合意違反の工事に伴う騒音やホコリ等による精神的被害を受けたとして、慰謝料の支払いを求め、50万円の慰謝料が認められたという裁判例(大阪高判 平成12年10月11日判夕1086・226)
参考 弁護士ドットコム工事の粉塵による、請求できる被害・損害賠償について

粉塵被害による精神的被害を受けたとして、大阪高判で慰謝料が認められた裁判の事例です。
場合によっては、50万円以上の高額な慰謝料を請求されてしまうケースもあるようです。

ただ、よっぽどの被害(粉塵飛散による健康被害など)がない限り、慰謝料を請求されるケースはほとんどありません。
慰謝料が発生することはほとんどないといっても、費用を支払わなくて良いからと言っても、近隣の方からの苦情をないがしろにしてしまうのはオススメしません。
苦情やクレームが発生した場合は誠意を込めて謝罪しましょう。

ご迷惑をお掛けした場合、お詫びと菓子折りを送ってくださる業者の方もいらっしゃいます。

では、トラブルを拡大させないためには具体的にどの様な対応が必要なのでしょうか。

近隣からのクレームが発生した場合には

万が一、近隣の方から工事に関して苦情が入った場合は、2つのポイントに気をつけましょう。

1.迅速に対応する

クレームが発生した場合、すぐに解体業者に相談します。
すぐに対応できるものであれば、即日に解体業者に対応してもらい近隣の方へお詫びするのがオススメです。
事前に工事のお知らせをしていたとしても不足の事態が発生した場合には、再度近隣の方へお知らせするのが大切です。

また、すぐに対応できない場合には、工事を中断しなければならず工期が遅れてしまう場合もあります。

2.近隣の方からのクレームを無視しない

クレームが発生した場合に一番やってはいけないのは、近隣の方からのクレームを無視することです。
無視して作業を続けると、近隣の方の不快感やストレスがさらに溜まり、クレームが大きくなる一方です。

ひどい場合だと、行政書士からの指導が入って工事がストップしてしまう場合があります。更に、先程ご紹介したトラブルの事例であった様に裁判や損害賠償といった大きな問題に発展する恐れもあるので、近隣からクレームが入った場合には無視しないですぐに業者に対応してもらうように相談します。
トラブルが発生してしまった場合には、きちんと対応してくれる解体業者を選ぶのがポイントです。

では、トラブルが発生しないようにどの様にすればいいのでしょうか。
トラブル回避のための対処方法を見ていきましょう。

トラブル回避のための対処方法

対処方法には3つあります!

1.近隣への挨拶まわり
2.養生シートの設置
3.散水(量、回数)
それでは、3つの対処方法について見ていきましょう。

1.近隣への挨拶まわり


解体工事を始める前には近隣の方へ必ず挨拶まわりをして工事のお知らせします。

近隣への挨拶まわりで粗品を渡す際には、挨拶文を添えておくことがポイントです。
事前の挨拶時で伝えた重要事項を文章にしてお渡しすることで、「言った言わない」のトラブルを防止します。
伝えるべき内容を口頭だけで伝えると誤解が生じる可能性もあります。

挨拶文は業者が作成して配布、粗品と一緒にお渡ししてくれるのが通常です。
とはいえ、事前に業者に確認しておくことをオススメします。

工事を行う上で、特に騒音や粉塵にいくら気を配っていてもどうしても外部に漏れてしまうため、近隣の方に理解してもらえる様に念入りに説明しましょう。

クレームが発生した場合には文章で残しておくことで対応もスムーズに進められます。
また、直接挨拶できない場合にも必須と言えます。

では、実際の挨拶状を紹介します。

記載しておくべき内容は以下のとおりです。

  • 工事の期間
  • 自分の名前、連絡先、住所
  • 施工業者の名前、連絡先、住所、ホームページ
  • 休日の工事について
  • 施工内容
といった内容を近隣の方へしっかり周知をおこないます。

ご近所の皆様

解体工事ご協力のお願い

拝啓 時下益々ご清栄のことと、お慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さてこの度、自宅の新築に伴い、既存の家屋を取り壊すことになりました。
工事中はご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご理解ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。

なお、お気づきの点がございましたら下記までご連絡いただけますようお願いいたします。

敬具

○○○○

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工事名称 ○○邸解体工事

工事場所 東京都世田谷区○○1番地

発注者 ○○○○

工事期間 着工予定日:平成26年5月10日
完工予定日:平成26年5月24日

工事時間 午後8時から午後6時まで

休 日 土・日・祝日

施工業者 東京都品川区○○1番地
株式会社○○工業
施工責任者 ○○○○
電話番号 03-○○○○-○○○○

近隣の方へ工事を進めるにあたって協力していただく場面が発生します。
粉塵が飛散する可能性がある場合には、近隣の方が所有する車や庭の木々などに飛散防止シートをかける場合もあります。

  • 洗濯物の取り込み
  • 洗濯物の干す場所
  • 飛散防止シートを車に被せさせていただく
  • 車の駐車場所
  • 施工宅に近い植物などの養生
といった対処準備をお願いしましょう。

挨拶回りの時に、近隣の方から“工事中への要望”があった場合には業者の方へお伝えし充分に配慮してもらうようにしましょう。
もし、近隣への挨拶を怠り騒音や粉塵、振動等の説明を怠ってしまった場合、すぐに苦情になる恐れがあるので注意が必要です。

近隣の方への挨拶回りは時間も掛かり大変ですが、近隣の方に理解していただき円滑に解体作業を進めるためにも、面倒に思わず一人一人丁寧に説明をして、積極的にコミュニケーションを取りましょう。

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2.養生シートの設置

解体工事を行う上で解体したい建物の周囲を養生シートを設置することは必須です。

建物用の養生シート


解体工事や新築、リフォーム工事の場合には、建物周囲を囲むようにシートで養生されます。
これは、ホコリや粉塵の飛散や道具や材料の落下を防いだり、防音するためのものです。
養生シートは工事を行う上では必須です。
周囲への被害を防ぐには、穴の空いていない丈夫な養生シートで工事現場を隙間なく覆って、「騒音・振動・粉塵」の漏れを最小限まで防ぎます。

ただし、解体業者によっては養生シートの状態が様々なので事前に確認しておくことをオススメします。簡素な養生シートでは愚か、騒音も防ぎきれません。

車専用の養生(ビニールシート)


近隣に駐車されている車に被害が及んでしまう恐れがあると予想される場合には、車を覆うビニールシートで予防策を取ります。
この場合、所有者への確認なしに勝手にビニールシートをかけることはできない為、事前に現場監督などから説明と確認がされるはずです。
しかし、解体業者によっては行うところと行わないところがあるので要確認しておくことをオススメします。

3.散水(量、回数)


解体工事を行う時には粉塵が飛散しないように、散水作業をすることが重要になってきます。

では、解体工事でどのような粉塵対策を行っているのでしょうか。
解体工事現場では大量の粉塵やホコリなどが舞い上がります。そのため、粉塵が舞い上がるのを抑制するために水を撒きます。

解体工事を行う場合は、転倒解体箇所及びその周辺部に十分な散水を行います。
散水については「建築物解体工事共通仕様書」(p.8 2.2.1騒音・粉じんの対策)”にも定められており、それに従って散水を行わなければいけません。

引用:「建築物解体工事共通仕様書」(p.8 2.2.1騒音・粉じんの対策)

いくら養生シートを設置していても、風に乗って遠くに飛ばされてしまう可能性があります。
そのため、あらかじめ散水作業を行い、構造物を十分に湿らせていると、湿ったホコリはほぼ飛散しないので近隣の方への被害を最小限に抑えられます。
「散水量・回数」を増やすだけでも粉塵が飛散するのを防げます。

また、現場が空き家で長く使っていない建物や、水道がない現場では仮設用の貯水タンクで水を運搬して貯水タンクの水を使用して散水をします。
仮設用の貯水タンクを使用した場合、仮設費用に貯水タンク等の費用を加算され、依頼主の負担になってしまいます。

解体工事の粉塵対策についてのまとめ


解体工事の粉塵対策で抑えておきたいのは「近隣の方への挨拶回り」「養生シートの設置」「散水(量、回数)」の3つです。

また、解体工事を行ったあとに新築を建てる場合は、その後もご近所付き合いが発生するため、今後のご近所付き合いに支障が出ないように業者選びが重要です。

因みに、解体業者を選ぶ際には丁寧慎重に工事を行い、近隣の方への気遣いをしてくれるクレームの少ない業者を選ぶのが重要です。
さらに、複数の解体業者さんと現地で打ち合わせや見積もりを出してもらって実際の対応を見たり、どのような対策を行っていただけるのかを聴き比べしてみるのもオススメです。

なお、あんしん解体業者認定協会の解体無料見積ガイドでは、適正範囲で価格を抑えつつ上質な工事ができる解体業者のご紹介をしています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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