東京都江東区では、「特定緊急輸送道路」沿道に建つ、耐震性に不安がある建物を耐震改修、建て替え、解体工事する場合、かかった費用に対し、「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度」として助成金を交付しています。
制度内容や対象条件、手続き法などについて一緒に確認してみましょう。
制度の目的
東京都では、地震発生時に救急救命や消火活動、物資輸送の妨げにならないよう、都内の主要な道路を「緊急輸送道路」に指定しています。その中でも、特に沿道の建物の耐震化をはかる必要がある道路を「特定緊急輸送道路」に指定しています。
本制度は、江東区内の特定緊急輸送道路沿道に、耐震性に不安があり、ある程度の高さがある建物を所有している方に向けて、建物の耐震改修・建て替え・解体工事を促すために行われているものです。
参考 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化|江東区江東区本制度では、耐震診断・耐震設計・耐震改修・建て替え・解体(除却)に対して助成金が交付されていますが、今回は建て替え工事・解体工事に利用できる助成制度を中心に見ていきましょう。
助成金額
助成金額は次に挙げる金額のうち、低い額×1/3(5,000㎡を超える部分は助成対象費用×1/6)です。
次のうち、低い額
- 耐震改修費用の相当額
- 助成対象基準額
- 実際に解体or建替えにかかる費用
(5億300万円以内。マンションは4億9300万円以内)
——————————
〇助成金額
助成対象費用×1/3
(5,000㎡を超える部分は助成対象費用×1/6)※千円未満切り捨て
助成対象費用の考え方は複雑なので、まずは江東区役所に問い合わせましょう。また、吹付けアスベスト除去がある場合も区に相談する必要があります。
制度の期限
本制度の期限は、今のところ特に定められていません。
ただし、今後の行政計画の変更によっては、制度が縮小・廃止される場合もありますので、ご注意ください。
対象建築物
次に、対象となる条件について見ていきましょう。まずは対象となる建物は、以下の条件すべてに当てはまるものです。
- 敷地が特定緊急輸送道路に接している建物
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に着工された建物
- 建築物のそれぞれの部分から特定緊急輸送道路の境界線までの水平距離に、道路横幅の半分に相当する距離を加えたものに相当する高さがある建物
- 耐震診断の結果、耐震性が一定の基準未満or倒壊の危険性があると区長が判断した建物
特定緊急輸送道路は下図の赤・青の道路です。
・京葉道路
・新大橋通り
・葛西橋通り
・湾岸道路、高速道路
・四つ目通りの一部(葛西橋通りから庁舎まで)
また、1981年は新耐震基準への切り替えがあった年です。つまり、本制度の対象となる建物は旧耐震基準で建てられた建物です。
3つ目の条件は、文章では分かりにくいので下図をご覧ください。
引用元:東京都都市整備局-東京の決断
対象者
次に、対象となる方の条件を確認しましょう。
- 対象物件の所有者(共有者の場合は代表者)
- 対象物件の管理組合or区分所有者の代表者
原則として、助成対象者は特定緊急輸送道路沿道建築物の所有者とされていますが、分譲マンションなどでは、管理組合の代表であれば対象となります。
対象工事
他地域の助成制度は、施工業者の指定など、工事についても条件がある場合がありますが、本制度は特にありません。
手続き方法
次に、本制度の手続方法をご紹介します。まずは手続きの流れについて簡単に見ていきましょう。
↓
☆交付申請
↓
交付の決定通知
↓
☆解体・建替え工事
↓
☆完了報告
↓
交付額の確定通知
↓
☆交付請求
↓
助成金の交付
「☆」印は、申請者側で手続きが必要な項目です。それでは、手順を上から確認していきましょう。
事前準備
本制度を利用するにはまず、江東区への事前相談が必要です。
江東区役所の担当窓口(都市整備部 建築調整課 建築防災係 区役所5階25番)を訪ね、制度内容や必要書類の説明、対象条件の確認などをしてもらいましょう。また、このとき申請書類の取得パスワードも教えてもらえます。
事前相談の後、施工業者さんに工事の見積書を作成してもらいましょう。
建替え工事などは、工事が複数年にまたがる場合があります。その際は全体設計の承認が必要です。以下の書類を提出しましょう。
- 全体設計の承認申請書
- その他必要書類
・案内図
・配置図
・工程表
・見積書
・その他、区長が必要と認める書類
「全体設計の承認申請書」はこちらでダウンロードできます。申請が通ると、全体設計の承認通知書が発行されます。
交付申請
事前準備が完了したら、助成金の交付申請を行います。
提出書類
◯交付申請書
「助成金交付申請書」はこちらでダウンロードできます。
◯その他必要書類
交付申請書には以下の書類を添付します。
- 建物の全部事項証明書or建物の所有権を証明する書類(分譲マンションの管理組合の場合を除く)
- 建築確認通知書の写しor建築年月日を証明する書類
- 代表者承諾書と共有者全員の同意書(共同で所有する建物の場合)
- 管理組合の規約&耐震診断等の実施を決議したことが分かる書類(分譲マンションの管理組合の場合)
- 法人の全部事項証明書(法人の場合)
- 住民税or法人税の納税証明書(分譲マンションの管理組合の場合を除く)
- 特定緊急輸送道路の沿道建築物であることが確認できる書類
- 土地の所有者の承諾書(借地の場合)
- 耐震診断結果報告書
- 耐震改修に要する費用を示す書類
- 工事見積書
- 工事工程表
- 工事に関する設計図書(建て替えの場合)
交付申請をし、審査を通過すると、区から「助成金交付決定通知書」が届きます。
解体・建替え工事
交付の決定通知書を受け取ってから、工事業者と契約し、着工してもらいます。同時に以下の書類を提出します。
提出書類
◯着手届
「着手届」はこちらからダウンロードできます。
◯その他必要書類
着手届には以下の書類を添付します。
- 契約書の写し
- 工程表
もし、工事に大幅な変更がある場合は「変更申請書」を提出する必要があるので注意しましょう。
工事を開始すると江東区による中間検査・完了検査が行われます。
完了報告
工事が無事に終わったら、速やかに江東区役所へ工事の完了報告をしてください。以下の書類を提出します。
提出書類
◯完了届
「完了届」はこちらからダウンロードできます。
◯その他必要書類
完了届にも以下の書類を添付する必要があります。
- 解体or建替え費用明細書
- 解体or建替え費用を証明する書類
- 工事契約書またはその写し
- 工事の着手前、工事中、完了時の写真(解体or建替えの状況が分かるもの)
完了報告に問題がなければ、交付額の確定通知書が発行されます。
交付請求
交付額の確定通知書を受け取ったら、江東区役所へ助成金の交付請求をします。「助成金請求書兼支払金口座振替依頼書」を記入し、提出しましょう。交付請求書には添付書類はありません。
「助成金請求書兼支払金口座振替依頼書」はこちらからダウンロードできます。
以上が、「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度」の内容や対象条件、手続き方法です。何かわからない事があれば、区の担当窓口に相談してみましょう。
窓口:区役所5階25番
住所:135-8383 東京都江東区東陽4-11-28
電話:03-3647-9764
お問い合わせフォーム
特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について
まとめ
今、建設業界は人手不足の傾向にあり、人件費が上がっています。さらに解体ゴミの処理費も年々上がっているため、本制度のような助成があると助かりますね。制度の利用をお考えであれば、早めに手続きしましょう。
まずは、区の担当窓口に問い合わせ、事前相談の予約をしてくださいね。
江東区公式ホームページ:特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化
また、私たちあんしん解体業者認定協会は、全国の優良解体業者さんとお客様とをお繋ぎするサービス、解体無料見積ガイドを運営しております。
江東区内で解体業者さんをお探しであればぜひ、お気軽にお問い合わせください。