最近、両親の高齢化に伴い、子の世代が2世帯住宅を希望する事例が増えています。
実家が近郊ならば費用や引っ越しの経費もかかりませんが、遠方となると手続きなどが面倒になってきます。そのような場合、実家を解体して処分してしまうのも一つの方法です。
ここでは遠方の実家を解体をする前に抑えておくべきポイントをご紹介致します。
実家の解体は見積もりが肝心!!複数の業者から取るのが鉄則!
「実家の解体」を決めたら、まず何から始めればよいのでしょうか?
それは実家の解体にかかる費用の見積書を業者から取り寄せることです。なぜならば、実家の解体費用を把握するという目的のほかに、この見積書が業者選びの参考資料になるからです。
ですから見積依頼をする場合は、1社からだけではなく、数社(4~5社)から取り寄せることが重要です!その際、優良業者を見極めるポイントとなるのが、見積書の項目が細分化されているかどうかです。「実家の解体は、一式~○○万円からです」という業者よりも、細かい点まで説明をしてくれるのであれば、誠実で丁寧な仕事をしている優良業者と言えるでしょう。
実家の解体費用をもっとを抑えたいなら「分離発注」
できることなら、実家の解体費用はなるべく安く抑えたいですよね。同じ業者が出した見積書でも、口頭で説明した概算の見積書と、実家の現地調査を踏まえた見積書では金額に差が生じてしまいます。
より正確な金額を把握するために、業者には実家の解体現場に一緒に立ち会ってもらうことが重要です。
ここで業者選びの前に抑えておくべきポイントを整理しておきましょう。
発注方法について
発注方法には2種類あります。
業者に直接、実家の解体を発注するのが「分離発注」です。これは施主が業者に実家の解体だけを発注するもので、不要品の処分や工事以外の業務は別の業者に依頼します。
それに対し、ハウスメーカーなどに工事・処分等をまとめてやってもらうのが「一括発注」です。両者の大きな違いは中間マージンが発生するということです。当然、マージンの発生により費用は割高になります。
また実家から出たゴミの種類(金属くず・鉄スクラップ)によっては買い取ってもらえるので、費用軽減にもつながります。
実家の不用品はどうするの?撤去費用について知っておくべきこと
撤去費用について
もし、実家にある家電製品を処分したいと思った場合、ゴミとなる家電に対しては「家電リサイクル法」という法律が適用されます。有用な資材をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用をするための費用です。
それと同様、実家の解体を行う際にも「建設リサイクル法」という法律が適用されます。実家の解体工事に伴い不要品となったゴミを再資源化するために、処理施設などへ費用を支払うものです。
下記の金額は申請にかかる登録手数料の一覧です。ちなみに登録の申請は業者が代行してくれるので、自ら手続きを行う必要はありませんので安心して下さい。
※登録手数料
・新規登録 | … | 45,000円 |
・登録の更新 | … | 26,000円(5年ごとに登録の更新が必要になります。) |
建設リサイクル法では、特定建設資材(コンクリート(プレキャスト板等を含む。)・アスファルト・コンクリート・木材)を用いた建築物等に係る解体工事、又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について、その受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けています。
なお、分別解体等及び再資源化等の実施義務の対象となる建設工事の規模に関する基準については…
②建築物の新築又は増築の工事では床面積500㎡以上
③建築物の修繕・模様替え等の工事では請負代金が1億円以上
④建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事等では請負代金が500万円以上と定められています。
実家の敷地にあった地下埋設物の撤去費用
実家の解体において最大のリスクと言っていいのが地下埋設物です。何しろ、現在建っている実家の下に埋まっている廃棄物(杭、矢板、ガラ、埋設管など)ですから、実際に実家の解体をしてみないことには分かりません。
見つかれば相応の処分費用がかかるので厄介です。業者とのトラブルに発展する前に、実家から埋設物が出てきた時点で連絡を取り、迅速な対応を心がけましょう。
また、トラブルに発展した場合に備え、実家の解体状況の写真にを残しておくなど、証拠になるようなものを保管しておくのも大切です。
解体費用の目安は?一律では決まらないのが解体工事の厄介な点
解体工事は単純に住居を取り壊すだけと考えがちですが、その他に実家の解体に使う重機などの費用がかかります。
注意したいのは、この費用は実家の立地条件により金額が異なってくるということです。仮に実家の解体現場までの道路幅が広く、搬入に不自由がなければそれほど費用はかさみません。
しかし、山林の人里離れた場所に実家があるとなれば話は別です。道路が狭い為に重機が入れなかったり、作業員の人数が増えた場合、実家の解体費用は高くなってしまいます。
それ以外にも重機の大きさ(大型車であればそれだけ燃費がかかる)、有料道路の使用などによっても金額が変動するので、見積書などでしっかり確認をとっておきましょう。
実家の解体工事が終わったら…。「滅失登記」の申請が必要です!!
滅失登記とは建物が焼失したり、老朽化して建て直すために取り壊したときに行う登記のことです。建物の登記簿に「所有者」と記載されている人が登記所に建物滅失登記の申請をしなければなりません。
滅失登記は申請義務になっていますので、登記の申請を怠った場合、10万円以下の過料に処されることがあります。
建物滅失登記に関する手続きは専門的な知識も要しますので、手続きの仕方については土地家屋調査士などにアドバイスをもらいましょう。
実家の解体費用をもっと抑えたい!行政の補助金・優遇税制について知っておこう
実家の解体が決まったら、その家屋はもしかしたら行政による補助金や税金の優遇が受けられるかもしれません。実家が古民家、築何十年になる老朽化した物件などであれば、近くの市町村窓口に問い合わせてみましょう。
ここで主な行政による助成事業をご紹介致します。
老朽危険家屋解体工事補助金
長い間、維持や管理をされることなく放置され、倒壊の危険がある家屋に対する解体費用の一部を助成する補助金です。助成を受けられる条件は自治体によってまちまちですので、老朽家屋の解体を検討する際には、実家の所在する自治体のHPをご確認ください。
木造住宅解体工事費補助事業
耐震診断の結果、「倒壊する可能性が高い」と診断された木造住宅の耐震補強工事や解体工事にかかる経費の一部を助成する補助金です。
※自治体ごとの条件・審査があるので窓口で申請をする際には要確認です。
知って得する!実家の固定資産税についてのカラクリ
固定資産税とは、1月1日時点で土地や家屋を所有する人が市町に支払う税金です。なお、減価償却できる資産についても固定資産税がかかります。
ここで見落としがちなのが、「賦課基準日」です。賦課基準日の1月1日に所在する市町村が土地の所有者に対して課税する税のことです。
土地の値段(地価)は変動するものなので、仮に年末の12月に解体工事を開始した場合、年を越して新たに「更地課税」を受ける可能性があります。地価の変動が大きかった場合、何十万円も税金の額に違いがでてしまいますので、解体時期には注意が必要です。
まとめ
実家の解体において業者選びは重要です。
費用について、素人では分からない部分もあるので、見積りを依頼して比較することが大事です。そして、より安く費用を抑えるために行政窓口で補助金や優遇税制について相談してみましょう。
思い出の詰まった実家を気持ちよく整理できるよう、施主自身が納得のいく費用で解体工事に取りかかりましょう。
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