解体工事の工期は条件と作業内容で算出できる

初めての解体工事。どのくらいの期間を要するのかわからず、不安になりますよね。

解体後に土地の活用をお考えの方は特に工期を把握しておきたいのではないでしょうか。

解体工事の工期を算出するには、解体工事の内容を把握し、それぞれの工事にどれほどの時間がかかるのかを考えることが必要です。

家屋の構造ごとの平均的な所有日数と、ご所有の家屋の条件を照らし合わせれば、簡単にあなたの所有家屋の取り壊しに必要な工期を算出することができます!

解体工事の平均的な工期はどのくらい?

重機をつかっての施工

解体工事を初めて行う方には、解体工事がどのくらいの期間を要するものなのか見当もつかないと思います。

それでも、お仕事をされている方など解体工事のためにある程度時間を作らなければならない方は、やはりだいたいの工期を知っておきたいですよね。

まずは、解体工事の工期はどのように決まるのかから見ていきましょう。

解体工事の工期は条件によって変わる

一言に建物の解体工事と言っても、取り壊す建物によって工期は異なります。

家屋の構造には3種類あり、その構造によって使用している建設資材が異なるため、作業内容と所要日数が大きく変わるのです。

  • 木造家屋
  • 鉄骨造家屋
  • RC造家屋

家屋の構造は、大きくこの3つに分けられます。

ご所有の家屋の構造は3つのうちどれに当たるのか把握しておきましょう。

なお、RC造家屋であっても物置きのみ木造であったり、木造家屋でもRC造のプレハブが併設されていたりすると、工期は異なります。

家屋の構造のほかにも、家屋の立地条件や大きさによっても工期は大きく違ってきます。

例えば、家屋の前の道路が狭く、重機の出入りが難しい場合は作業員による手作業が多くなりますので、通常の重機を使った取り壊しよりも工期が大きく延びることになりますし、大きな家屋はその分作業量も増えますので、より時間がかかることになります。

また、今回は一戸建ての住宅についてご説明していますが、マンションやビルなどの大規模な解体工事の場合は、構造や大きさなどの条件に加え、住宅の調査等の作業も通常より増えるため、より工期が長くなります。

家屋の構造ごとの平均的な工事期間

家屋の取り壊しに必要な工期は、家屋の構造ごとでおよその平均値を出すことができます。

今回は80m²の二階建て家屋の施工例をもとに、工期の平均日数を割り出してみましょう。

立地条件をなるべく統一させるため、埼玉県内の実例を参考にしています。

木造家屋:約7日間

木造家屋は重機で壊しやすいため、ほかの構造の家屋に比べ工期が短くなります。

また、鉄骨造家屋・RC造家屋に比べて建設資材の分別が容易なのも特徴です。

鉄骨造家屋:約10日間

鉄骨造家屋やRC造家屋は、木造の取り壊し工事に要する日数の倍近くかかるとも言われています。

鉄骨造家屋は耐久性が高い分木材よりも壊しにくく、また、使われている資材に重量があるため運搬にも時間がかかります。

RC造家屋:約13日間

RC造家屋は芯となる鉄筋のまわりにコンクリートを流し込み、柱として作られています。

耐久性がある分取り壊しに時間がかかり、また、騒音や振動が発生しやすいため、対策を施した上で慎重に施工しなければならないのです。

具体的な作業内容でわかる所要日数

平均的な工期がわかったところで、今度は解体工事にはどうしてそれだけの期間が必要になるのかを見ていきましょう。

ひとつひとつの作業の内容とどれほど作業に時間がかかるのかがわかれば、ご自身の家屋に当てはめて考えやすくなりますよ。

解体工事の具体的なスケジュール

今までに解体工事を依頼したことのない方にとっては、解体工事がどのような流れで行われるかはわからず不安の種となっているでしょう。

工事の内容を理解していないままに依頼をしてしまうと、解体業者が重要な作業を怠っていたり、無駄に時間をかけて作業を行っていても気が付けないかもしれません。

あらかじめ、詳しく業者が行う解体工事の内容と流れについて知っておきましょう。

こちらも、80m²の2階建て、平均的な条件の家屋の施工例を参考にしていきます。

工事内容最終確認と近隣挨拶

解体工事を依頼されると、解体業者はまず現地の調査を行います。

調査には施主にも立ち会ってもらうことで、解体工事の内容に食い違いがなくなります。

最終確認を終えたら、解体工事でご迷惑をおかけしてしまう方々へご挨拶に伺います。

近隣挨拶は業者と施主が一緒に伺うこともありますし、それぞれで行うこともありますが、後のトラブルを防ぐために必ずしなくてはならないことです。

門や塀などの外構解体/1日

ブロック塀の取り壊し

いよいよ工事の施工開始!まずは外構解体と言われる、門や塀、柵などの構造物の取り壊しから始めます。

なぜ初めに外構解体から始めるかと言うと、重機の搬入や、廃材の搬出などの作業をスムーズに行えるようにするためです。

外構解体の工期にはバラつきがあり、その建物の外構によって全く工期は異なります。

例えば、家屋のまわりを一面塀で囲んでいるところもあれば、塀や柵がなく、家屋の前は庭になっていてほぼ取り壊し工事の必要がないところもあります。

平均的にかかる日数としては、およそ1日程度とされています。

足場、養生の設置/1日

外構解体を終えたら、足場および養生の設置をします。

養生は近隣家屋への騒音被害や、粉塵飛散被害の対策として非常に重要な役割を果たしているため、しっかりと家屋全体を囲える頑丈なものを設置しなくてはなりません。

足場の組立を含め、この作業にかかる日数は1日程度です。

屋根瓦や屋根ふき材の撤去作業/1日

続いて、屋根瓦や屋根ふき材の撤去作業を行います。

作業員が命綱をつけ、手作業で慎重に撤去していくことが多いです。

万が一、解体工事の現場で事故が起こってしまえば解体工事を中断してしまうことになってしまいますし、施主側にも迷惑がかかることになってしまいますから、高いところでの作業は安全面に気をつけながら、慎重に行っていきます。

ガラスや内装材の撤去/1日

重機での作業の前に、建物内部で使用されている資材をこちらも手作業で撤去します。

窓ガラスのサッシやガラス、蛍光灯や安定器、畳、石膏ボードや土壁など、分別しながら解体していきます。

現在解体工事は建設リサイクル法で分別解体が義務付けられているため、資材ごとに分別し、適切に処分しなくてはいけません。

一昔前はミンチ解体と言って、内装材も含めて建物をいっぺんに上から潰してしまうような解体工事も行われていましたが、現在では禁止されています。

柱や梁等、構造体撤去/2日~4日

むき出しになった柱と梁

ここからいよいよ重機を使用する解体工事が始まります。

家屋の構造によってこの作業の所要日数は異なりますが、木造家屋であればだいたい2日程度必要となります。

木造家屋の場合、取り壊し工事で出た柱や梁等の木材は運搬しやすいように、一定の長さにカットしていきます。

鉄骨造家屋・RC造家屋は構造体が非常に頑丈なため、木造家屋の倍の工期が必要になると考えていいでしょう。

基礎の掘り起こしと解体/1日

基礎を掘り起こす様子

建物の基礎となるコンクリートを掘り起こして解体していきます。

地中に埋められた基礎を解体するため、振動が近隣の住宅にも影響しやすく、解体工事の中でもっとも気を使わなければいけない作業です。

地盤に影響する作業には対策の施しようがないため、作業時間に工夫が必要となります。

近隣の方々がまだ眠っているかもしれない朝早い時間には行わず、仕事や学校などで住宅に人がいることが少ない時間に作業を行うように気をつけます。

地表のガラ等の撤去/半日

基礎解体が済んだら、解体自体は終了となりますが、解体をしてそのまま放置してしまうと、土地は工事で発生したゴミが散乱し非常に汚い状態になってしまいます。

地表のガラや木材の破片を手作業で拾い集め、もっと細かいものについてはザルなどでふるいにかけ、綺麗にしていきます。

この作業はすべて作業員の手作業で行われるため、およそ半日を要します。

整地・道路等の清掃作業/半日

キレイに整地された更地

手作業でゴミや廃材を綺麗にした後は重機で地面を踏み鳴らし、土地の整地を行います。

整地作業をしないとゴミがない状態にはなっていても、地面はデコボコのままです。

このとき、必要に応じて除草剤を撒いたり、人が立ち入らないようロープや看板を設置することもあります。土地の活用予定がない場合等には必要な作業ですね。

土地が綺麗になったら、重機の運搬で使用した道路の清掃を行います。

解体工事のあとの道路は土や粉塵で汚れていますので、しっかりと清掃作業を行い、近隣の方々にも気持ちよく使って頂けるようにします。

仕上がり確認と近隣挨拶

解体工事を終えたら、施主に報告をし、現地を一緒に確認してもらいます。

土地の中にあるものすべてを解体する場合は別ですが、初めに解体しないでほしいものなどがあった場合、この確認作業を行うことが非常に重要となるのです。

最後に、近隣の方々へも工事終了のご報告と、ご迷惑をおかけしたお詫びも兼ねて再度ご挨拶に伺い、一通りの作業は終了となります。

工期が延長されてしまう3つの理由

順調に解体工事が進み、当初予定していた工期が守られたり、早く終わってしまうのはもちろん一番望ましいことですが、工期延長を余儀なくされるケースも少なくありません。

実際によくある事例をもとに、工期が延びてしまう理由を見ていきましょう。

やむを得ない理由による工期延長

優秀な解体業者に依頼し、問題なく施工されていたとしても、やむを得ない理由により工期が延びてしまうことは少なくありません。その理由は、大きく分けて3つあります。

悪天候による工期延長

解体工事を行う時期にもよりますが、悪天候などの自然災害により工事を中断せざるを得ないことがあります。例えば、台風による豪雨・雷・強風など……

多少の雨であれば、むしろ解体工事には好都合です。

解体工事の際ゴミやほこりの飛散を防ぐため散水作業を行いながら工事をしますが、雨の日は散水作業を行う必要がなくなるため、むしろ作業が早くなるのです。

しかし、あまりにも強い雨の日などは、安全面を考慮し作業を中断することになりますので、その分工期を延長しなければなりません。

地中埋設物の発覚

掘り起こされた埋設物

当初予定されていた工期は、解体する予定のものを「このくらいの量だったらこれくらいの期間で解体できる」という基準のもと決定されますが、解体工事を進めていくうち、施工前の調査で発見できなかった地中埋設物が確認された場合、それを解体する期間が必要となり、工期延長となります。

地中埋設物により工期延長や追加費用が発生する場合、良い業者であれば埋設物が確認された時点で施主に連絡を入れてくれます。

施工前に地中埋設物の可能性や、確認された際に連絡を入れる旨を伝えてくれる業者であれば、工期延長があったとしても想定の範囲内ですから、それほど大幅に日程が変わってしまうということはないでしょう。

近隣トラブルによる工事の一時中断

中でも最も避けたい理由が、近隣トラブルです。

近隣の方々から解体工事に対してクレームが入ることは少なくありませんが、対策や話し合いだけでは解決せず、裁判までもつれこんでしまうケースもあります。

例えば、振動被害を隣人が訴えたにも関わらず改善することができず、隣家のタイルが崩れてしまったり、重機の操作を誤り、隣家の外壁を傷つけてしまったり……

近隣住民に工事中断を求められた場合、工期を延長することになるばかりではありません。再度施工できるまでに間が空いてしまったり、裁判になれば費用が必要になってしまったりもします。

施主が業者に相談することももちろんですが、近隣の方々の声をしっかりと聞き入れ、対策を取ってくれる業者を選ぶことが重要です。

中には十分な対策をとっていてもクレームを入れる方もいますが、普段からコミュニケーションを取り、解体工事への理解を得られるようにしましょう。

長過ぎる工期延長には注意が必要

工期延長は多少ならばやむを得ないとお話しましたが、それでも、長すぎる工事期間の延長には疑いを持つことが必要です。

例えば、地中埋設物が確認されたことを理由に工期延長を申し出てきた業者。

地中埋設物の可能性は、実績のある解体業者であればわかっているはずですし、確認されたとしても1日もあれば撤去できるはずです。

にもかかわらず何日も工期を延長し、わざとゆっくりと施工するような業者は、人件費を理由に高額な追加費用を請求しようとしているかもしれません!

今までに解体工事を何件も受け持ってきた業者であれば、工期延長の可能性があるかもしれないということはわかっているはずです。

そのため、良い業者は施工前に予定の工事期間を伝える際に、延長の可能性も伝え、延長せざるを得ないときには連絡を入れることを約束しておくのです。

もし工期延長についての説明がなかった場合、その業者には注意が必要かもしれません。

工期の算出についてのまとめ

建物の取り壊し工事は、家屋の構造・立地条件・大きさ等によって作業内容が異なり、それに伴って工期も変わります。

所有家屋の取り壊しに必要な工期を算出したいときは、その家屋の条件と構造を確認し、平均日数と照らしあわせてみると良いでしょう。

とはいえ、様々な理由により実際にかかる日数は違ってきます。

「このくらいの日数でなければ絶対におかしい!」とはいえませんが、業者に依頼した際、あまりにも平均とかけ離れた工期であった場合には注意した方が良いかもしれません。

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