空き家の処分を検討していても、なかなか実行に移せないことは多いですよね。最大の原因は「解体費用をどうするか?」だと思います。そこで、奈良県生駒市では空き家の解体補助金として最大60万円(解体費用に50万円、家財処分に10万円)を出して解体を支援しています。
似た制度、既存住宅の解体補助金との違い
さっそく空き家の解体補助金についてお話ししたいのですが、生駒市には既存住宅の解体補助金という家屋解体に関する補助制度がもう一つあります。
実は、生駒市の公式サイトで「解体」と検索すると、既存住宅の解体補助金が検索トップに出てくることがあります。そのため、混同してしまう方も多いのではないでしょうか?
そこで、この2つの補助制度の違いについて確認したいと思います。
目的と対象の違い
どちらも、家屋解体の補助金には違いないのですが、目的は大きく異なります。
既存住宅の解体補助金 | 空き家の解体補助金 | |
---|---|---|
目的 | 住宅の耐震化+将来の空き家増加を防止 | 空き家の近隣住民の安全や安心の確保 |
対象 | 耐震診断の結果が基準以下の住宅 | 老朽化して危険な空き家 |
既存住宅の解体補助金は「現在使っている古い家屋を、将来を見据えて解体しよう」、空き家の解体補助金は「現在すでに放置状態の空き家を、今まさに近隣住民に迷惑をかけているから解体しよう」ということです。つまり、空き家の解体補助金の対象になっている家屋の方が、今すぐにでも対処しないといけない状態と言えます。
手続きその他の違い
のちほど詳しく話しますが、空き家の解体補助金では老朽危険度の判定を生駒市に依頼する必要があります。簡単に言うと「すぐにでも解体すべき状態か?」を確認するものです。
一方、既存住宅の解体補助金は耐震診断を専門家に依頼します。その結果、一定の基準以下だと補助の対象になるのですが、耐震診断の結果は耐震化の改修等にも使えるので、必ずしも解体を前提として考えていません。
このように、二つの制度にははっきりとした違いがあります。
もし、現在空き家ではない、耐震性に不安があるといった場合は、既存住宅の解体補助金の利用を検討してみましょう。(以下の記事、公式サイトを参考にしてください)
生駒市公式サイト:既存住宅の解体費用を補助します
空き家の解体補助金の概要
では、空き家の解体補助金を受けるための条件について確認したいと思います。
対象物件
次の条件すべてに当てはまる建物
- 老朽危険度の判定で100点以上
- 所有権以外の権利(借金の担保等)が設定されていない(権利者から同意を得ていればOK)
- 補助を受ける目的で、故意に破損等をさせたものでない
- 主に昭和56年6月1日より前の建築
- 住宅や店舗兼住宅(居住部分が過半のもの)等
最初の条件は、生駒市の現地調査の結果ではっきりと分かるので、ひとまず老朽化が激しくて使い道がない空き家なら対象と考えておいてください。もし、どうしても目安が欲しい場合は、以下の老朽危険度判定基準をもとに算出ができます。
また、4番目の条件にある昭和56年6月1日というのは、新しい耐震基準の使用が始まった日付です。つまり、それより前に建てられていると地震に弱いと判断できるのです。
対象者
次の条件どちらにも当てはまる方
- 所有者または相続人、所有者の同意を得た方のどれか
- 暴力団員(関係者含む)ではない
申請は必ずしも所有者本人でなくても可能です。空き家は相続して放置されているケースが多いですが、ご両親に代わって手続きしたい場合なども考えられるので、とても現実的な条件です。
補助金額
・家財処分費用の補助金額=家財処分費用(税抜)×1/2(限度額:10万円)
※どちらも、千円未満は切り捨て
解体費用は、解体工事費+解体工事で出たゴミの運搬や処分にかかった費用です。
また、家財処分費用は、空き家の中と敷地内にある家財道具や草木の整理、撤去、運搬、処分費用です。
二つの補助金は同時に使えますので、ともに金額が最大になる場合、補助金額は60万円です。
申請受付
補助金は年度ごとに行っています。ただし、申請が増えて補助金予算の上限に達すると、受付は打ち切られます。
ちなみに、工事は交付が決定した年度の2月末日までに完了させる必要があります。
空き家の解体補助金の手続き方法
では、空き家の解体補助金を利用したい場合はどうするのかについて、お話ししたいと思います。
↓
☆交付の申請
↓
交付の決定通知
↓
☆解体工事
↓
☆完了報告
↓
補助金額の確定通知
↓
☆交付の請求
↓
補助金の交付
「☆」を付けた部分が、申請者側で何らか動く必要があるところです。
「☆」の部分を手順に沿って確認しましょう。
事前準備
申請前に必要な準備で、老朽危険度の判定依頼と解体工事の見積書取得をします。
老朽危険度の判定依頼は、生駒市に相談をするところから開始します。そこで「補助対象になる可能性あり」と判断されると、生駒市による現地調査が行われます。現地調査の結果、老朽危険度が基準(100点)以上だと、補助制度の対象と判定されます。(老朽危険度の算出方法はこちら[PDF])
また、解体工事の見積書は、解体業者を選び、現地調査を経て作成してもらいます。(大体2週間程度かかります)
ただし、解体業界は悪徳業者(不法投棄、手抜き工事、不当な追加請求等をする業者)が多いので、ご自分で解体業者を選ぶのはとても大変です。ぜひあんしん解体業者認定協会にご連絡ください。
交付の申請
さて、事前準備が済んだら、いよいよ申請開始です。以下の書類を生駒市に提出しましょう。
・交付申請書(様式第1号)
一緒に提出するものも多くあります。
・対象物件の写真(全体+老朽部分が確認できるもの)または家財等の写真や位置図
・解体工事等の見積書の写し
・所有者が確認できる書類
・全部事項証明書等(親族等で共有している場合、管理者が別にいる場合は同意書等も必要)
・対象物件の建築時期が確認できる書類
全部事項証明書等は登記所や法務局に聞いてみましょう。
申請後、審査を通れば交付の決定通知が届きます。
解体工事
交付の決定通知が届いたら、解体業者と契約を結び、工事を開始してもらいましょう。
この時点では、特に生駒市へ出す書類はありませんが、完了報告で工事前、途中、完了後の写真が求められます。当然解体が終わってからでは撮影できませんので、あらかじめ解体業者に写真を依頼して送ってもらいましょう。
完了報告
工事が無事完了したら、生駒市へ完了報告をしましょう。
・実績報告書(様式第4号)
また、解体業者から受け取れる、以下の書類も一緒に提出します。
・契約書等の写し
・領収書の写し
・工事前、途中、完了後の写真
完了報告に不備がなければ、補助金額の確定通知が出されます。
交付の請求
補助金額の確定通知が届いたら、あとは交付の申請を済ませるだけです。
・交付請求書(様式第6号)
以上で、空き家の解体補助金の手続きは完了です。
請求から数日すると補助金が指定の口座に振り込まれますので、しっかり確認しましょうね。
分からないことがあれば、以下にお問い合わせができます。
奈良県生駒市の解体や除却に関する補助金・助成金まとめ
今回は、奈良県生駒市の空き家解体の補助金(+既存住宅の解体補助金)についてお話ししました。空き家解体は時間とお金がかかるので、せめてお金の負担だけは減らしたいですよね。動かなければ何も始まらないので、まずは生駒市に解体の事前相談をしてみましょう。
生駒市公式サイト:老朽危険家屋の解体や家財処分の費用を補助します
解体工事には決断が必要で、簡単ではないかもしれません。しかし、信頼できる解体業者と正しい情報が得られれば、意外とスムーズに工事は進められます。私たち、あんしん解体業者認定協会では、信頼できる解体業者の紹介と正しい情報の発信をしています。迷ったら、ぜひお気軽にお問い合わせください。