家屋は手入れをおこたると老朽化してしまいます。所有の空き家が放置状態なら、一度解体撤去することを考える必要がありますが、解体費用は高額なので簡単にはできないかもしれません。そこで、栃木県小山市では空き家解体の補助金を最大70万円まで出しています。ただし、補助を受けるための条件が色々設定されているので、一緒に確認しましょう。
もくじ
空き家解体の補助金の制度概要
最初に、空き家解体の補助金の制度概要を整理します。補助の対象条件や補助金額について確認しましょう。
特定空家等・準特定空家等
補助の対象となる建物には、特定空家等と準特定空家等(特定空家等に近い状態)の2種類があります。
次の条件すべてに当てはまる建物(共通)
- そのまま放置すると、安全をおびやかす可能性(倒壊等)がある状態
- そのまま放置すると、衛生上有害となる可能性がある状態
- 正しく管理されず、明らかに景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保つため、放置するのは良くない状態
特定空家等と準特定空家等は基本的に同じ条件です。
特定空家等は、条件を満たした建物のうち、行政(小山市等)の建物調査の結果「一刻も早く処分すべき」と指定された空き家のことです。
詳しくは以下をご覧ください。(※外部リンク)
NPO法人空家・空地管理センター:特定空家とは
対象物件
次の条件すべてに当てはまる特定空家等・準特定空家等
- 小山市内にある
- 一戸建て住宅または店舗兼住宅(住宅部分の床面積が延床面積の半分以上)
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築に着手
- 賃貸借または販売を目的としない
- 所有権以外の権利(借金の担保等)が設定されていない
- わざと破損させていない
- 公共事業の補償対象となっていない
- 空家等対策の特別措置法による勧告を受けていない(特定空家等の場合)
- 倒壊等または屋根、外壁等が崩れる可能性がある(準特定空家等の場合)
条件3に当てはまると、「古い耐震基準で建てられていて地震に弱い可能性が高い」と判断できます。
条件8は「特定空家等に指定はされたが、勧告までは受けていない」状態を指します。指定されてしまった場合は、早めに解体撤去しましょう。
対象者
次の条件すべてに当てはまる方
- 空き家の所有者または相続人(親族等で共有している場合は、全員の同意がある)
- 市税の滞納がない
- 過去に本補助金を受けていない
- 暴力団員等ではない
条件1の通り、申請は所有者本人に限らず、相続人でも可能です。
対象工事
次の条件すべてに当てはまる工事
- 建設業の許可または解体工事業の登録を受けた、小山市内の業者が行う
- 交付決定前に着手していない(原則)
- 建物のすべてを解体する
- 舗装または浄化槽、上下水道、その他の埋設物(地下に埋まっている物)の解体撤去ではない
条件1と2は、解体業者を選ぶ際に気を付けましょう。
補助金額
※上限額は以下の通り
特定空家等:50万円
準特定空家等:30万円
さらに、解体跡地を小山市等へ寄付する場合は、それぞれ20万円を加算
解体跡地の寄付は、自身が持つ土地の所有権を手放してもよく、かつ小山市や自治会等が寄付を受け入れる場合に成立します。特定空家等に指定された空き家の解体跡地を寄付する場合に、最大70万円(50+20=70)の補助金を受けられます。
空き家解体の補助金の手続き方法
次に、空き家解体の補助金の手続き方法についてまとめます。手続きの流れは以下の通りです。
↓
☆交付申請
↓
交付の決定通知
↓
☆解体工事
↓
☆実績報告
↓
交付額の確定通知
↓
☆交付請求
↓
補助金の交付
「☆」を付けた部分が、申請者側で手続きが必要なところです。上から流れに沿って見ていきましょう。
事前準備
まず、小山市へ事前相談+建物調査の依頼、解体業者へ工事見積書の作成依頼を行います。
事前相談は小山市役所(建築指導課 空き家対策室)にします。自分自身が補助対象となる見込みはあるのか、解体跡地を寄付できるか等、疑問点・不明点を解決しておきましょう。
さらに事前相談と同時に建物調査も依頼します。特定空家等または準特定空家等と判定された場合に補助が受けられます。
また工事見積書は解体業者に作成をお願いします。
ただし、解体業界は見積もりに相場がないこともあり、業者の良し悪しを見抜くのはほぼ不可能と言えます。そこで、あんしん解体業者認定協会では無料サービスの実績のある優良業者の3社紹介により、適正範囲内で価格を抑えつつ高品質な解体工事が受けられるように支援しています。ですので、解体業者選びはぜひお任せください。
交付申請
事前準備が終わったら交付申請をしましょう。以下の書類を小山市役所に提出します。
・交付申請書(別記様式第1号)
・申請者の氏名、住所、生年月日を確認できる書類の写し
・位置図と工事着手前の写真
・公図の写し
・建物の登記事項証明書の写し(未登記建物は所有者と建築年月日の分かるもの)
・工事見積書と明細書の写し
・申請者と建物所有者との関係が確認できる書類(申請者が相続人である場合)
・同意書(建物を親族等で共有している場合)
・土地の登記事項証明書と小山市等が解体跡地の寄付を受け入れることを確認できる書類の写し(解体跡地を寄付する場合)
交付申請をすると、審査ののち交付の決定通知書(別記様式第2号)等が発行されます。
解体工事
交付の決定通知書が届いたら、解体業者と契約を結んで着工してもらいます。(順番は必ず守ってください。補助を受けられなくなってしまいます)
工事を始める際は、補助金関連の提出物は通常ありません。ただし、工事内容に大きな変更を加えたいときは事前に変更交付申請書(別記様式第4号)を出す必要があります。
ちなみに、実績報告をするときに工事完了後の写真が求められますが、トラブルへの備えとして全工程の撮影を解体業者にお願いしておくと安心です。
実績報告
解体工事が完了したら実績報告を済ませてください。以下の書類を小山市役所へ提出しましょう。
・実績報告書(別記様式第7号)
・請求書+明細書、領収書の写し
・工事完了後の写真
・契約書の写し
・小山市等が解体跡地の寄付を受け入れることを確認できる書類の写し(解体跡地を寄付する場合)
実績報告をすると再び審査があり、通ると交付額の確定通知書(別記様式第8号)が発行されます。
交付請求
交付額の確定通知書を受け取ったら交付請求ができます。次の書類を出しましょう。
・交付請求書(別記様式第9号)
補助金は、約1か月後にこの交付請求書で指定した口座に振り込まれます。
空き家解体の補助金の手続き方法については以上です。
何か分からない点があれば、小山市役所に問い合わせましょう。
建築指導課 空き家対策室 空き家対策係
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所在地:〒323-8686 小山市中央町1丁目1番1号 別館2階
電話:0285-22-9824(空き家対策室 空き家対策係)
公式サイト:小山市空家等解体費補助制度について
また、書類データは以下からダウンロードできます。
交付申請書(別記様式第1号)[Word]
変更交付申請書(別記様式第4号)[PDF]
変更交付申請書(別記様式第4号)[Word]
実績報告書(別記様式第7号)[PDF]
実績報告書(別記様式第7号)[Word]
交付請求書(別記様式第9号)[PDF]
交付請求書(別記様式第9号)[Word]
解体跡地の税金と活用計画
最後に、解体跡地の税金と活用計画についてお話しします。
「空き家を解体撤去すると税金が上がる」とよく言われますが、その理由は住宅用地の特例という固定資産税・都市計画税の優遇措置が受けられなくなるからです。
解体後に更地のままにしておくと税金が増えるので、事前に解体跡地の活用計画を立てておきましょう。
固定資産税・都市計画税
土地や家屋といった固定資産に課税されるのが固定資産税・都市計画税です。この2つの税金は仕組みがほとんど同じなので、一緒に説明することができます。
毎年1/1時点の固定資産に対する評価額をもとに、課税標準額という税金計算におけるベースが確定します。この課税標準額に税金の種類ごとに設定された各税率をかけて課税額が算出されます(課税額=課税標準額×各税率)。
住宅用地の特例
土地には地目(土地の種類)があり、住宅用地(宅地)は課税標準額が高く設定されることがほとんどです。ただ、そのままでは納税者の負担が大きすぎるため、住宅用地の特例を設けて課税額を抑えています。計算式は以下の通りです。
200㎡以下の部分:課税標準額×1/6×税率
200㎡超の部分:課税標準額×1/3×税率
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〇都市計画税
200㎡以下の部分:課税標準額×1/3×税率
200㎡超の部分:課税標準額×2/3×税率
赤字部分が住宅用地の特例にあたります。課税額が何分の1にも圧縮されました。
ただし、住宅用地の特例は、土地に建物(空き家含む)が存在することが前提条件なので、解体撤去すると受けられなくなります。「空き家を解体撤去すると税金が上がる」というのは、この特例から外れるために起こる現象です。
実際には負担調整措置により、数年かけて課税額が元に戻るように配慮されていますが、どちらにしても解体跡地を更地のまま放置しないことが大切です。(ちなみに、空き家対策の特別措置法により、悪質な放置空き家は解体しなくても特例から外されます)
解体跡地の活用計画
税金のことを考えて、事前に解体跡地の活用計画を立てておきましょう。
解体跡地は単に売却してしまう以外に、新築建替えや駐車場造成、そして小山市等への寄付という選択肢があります。
小山市等への寄付については、必ず受け付けてもらえるわけではありません。周辺住民の情環境向上に貢献できる等、立地条件が良い土地が対象です。詳しくは、小山市役所に聞いてみてください。
資産税課
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所在地:〒323-8686 小山市中央町1丁目1番1号 本庁1階
電話:0285-22-9432(代表)
公式サイト:
固定資産税・都市計画税
新築家屋に対する固定資産税の減額制度について
まとめ
今回は、栃木県小山市の空き家解体の補助金についてまとめました。空き家の解体費用は意外と高額なうえ、人件費や解体ゴミの処分費の上昇にともない、さらに高くなっています。ですので、補助金も下りる今のうちに、空き家を解体撤去することを検討するべきと言えます。
まずは、小山市へ事前相談するところから始めましょう。
小山市公式サイト:小山市空家等解体費補助制度について
解体工事にはお金と時間がかかります。しかし、正確な情報をもとに計画的に進められれば、補助金・助成金も使えて費用をかなり抑えられます。さらに、私たちあんしん解体業者認定協会では、信頼できる解体業者の紹介と正しい情報の発信等しています。迷ったら、ぜひお気軽にお問い合わせください。