遠方にある実家が、両親が住んでいたときの状態のまま、空き家になってしまっている…。このような実家の片付けに悩む人は、年々増加しています。
「思い切って片付けよう!」と思い立っても、立ちはだかるのは溢れんばかりの家財。自分たちだけでは途方に暮れてしまいますね。
この記事では、ご実家を片付けたいと考えている方に向けて、片付け業者さんに頼んだ場合、費用はいくらくらいになるのか?、また、どんな業者さんに頼むべきか?自分たちで事前にできることはどんなことなのか?ご紹介します。
片付け費用はどれくらい?
片付け専門の業者さんに見積もりを依頼するにしても、まずはだいたいどれくらいの費用でできるのかを予想しておきたいものですよね。
しかし、結論から言ってしまうと、お家の広さと捨てる物の量、片付けにかかる人手や日数、お家の周辺環境など、さまざまな条件によって、かかる費用は大きく違ってきてしまうので、実際にお家を見てもらわないことにはいくら位と判断することは難しいのが現状です。
それでも、だいたいの金額くらいは予想したい!そこで目安となるものを以下にまとめてみました。
費用を予想する目安となるものは?
片付け業者さんのホームページなどを見ると、「2DK:◯万円~」など、部屋の間取りでの相場が提示されていることも多いですね。しかし、実際の料金をできるだけ予想するためにはまず、捨てる物の量を考慮に入れなければなりません。
例えば、2DKのお部屋で言うと、片付け料金の相場は11万円~25万円と開きがあり、また、近年社会問題にもなっているゴミ屋敷の片付けともなると、2DKのお部屋でも41万円以上もの費用がかかる場合もあります。
参考 ゴミ屋敷清掃 愛知県大府市 2DK 412,000円 | こころテラス東海 ゴミ屋敷清掃ゴミ屋敷清掃 愛知県大府市 2DK 412,000円 | こころテラス東海 ゴミ屋敷清掃ですから、ここでは「部屋の間取り」だけでなく、「捨てる物の量がトラック何台分くらいありそうか」で費用を予想してみていただきたいと思います。
以下のデータは、各部屋の間取りから一般的にはどの程度、処分する家財が出るのか、また、各サイズのトラックにはどの程度の荷物が積めるのかを表にしてあります。
(※1立米とは、1m×1m×1m = 1㎥(立方メートル)のこと)
(参考:不用品回収と片付け代行コーモド『家財道具の処分費用』より)
例えば、軽トラック1台(最大3立米)では、どれくらいの家財が載せられるのでしょう?
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- ベッド(以上すべて一人暮らし用)
- 収納棚
- 45リットルゴミ袋×10個ほど
このように、軽トラックでは、1Rのお部屋で荷物がそこまで多くなければ、家財がギリギリすべて積み込める程度です。
また、以下の業者さんが載せている写真を見ると、5立米・7立米の処分品がどの程度のものかわかりやすいので、ぜひ参考になさってください。
参考 『丁寧な作業』をご希望の方に、ご好評をいただいております。|くりりあ(日本屋)の不用品回収 / 2トントラック積み放題 - くらしのマーケット『丁寧な作業』をご希望の方に、ご好評をいただいております。|くりりあ(日本屋)の不用品回収 / 2トントラック積み放題 - くらしのマーケットちなみに、先ほどの2DKのゴミ屋敷の片付けでは、処分品は全部で25立米ほど出たそうです。
「25立米なら、大きなトラック3台分くらいかな?」と思えますが、実際は荷物をパズルのようにぴったり積むのは難しいですよね。25立米分の処分品を運ぶとなると、4トントラックが7台分ほど必要になることもあるのです。
また、本棚やタンスなどは中身をすべて出さないと、お家の中から運び出せません。中身も捨ててもらうなら、ダンボールや袋に詰める作業も必要になるし、その分も荷台の幅を取りますね。
「家の中にある家財は何立米ほどあるのか?」予測することは難しいかもしれませんが、少し多めに見積もっておいて、ご実家のある地域の片付け業者さんが、どの種類のトラックで、1台あたりどれくらいの料金を提示しているのかを参考にしながら、費用を算出してみましょう。相場とはかなりギャップがあるかもしれません。
また、4トントラックは2トントラックの倍の大きさだと思いがちですが、実際のところ、荷台の広さは2トントラックと同じであることもあります。
以上のように、トラックは種類によって積み込める量に差が出ますので、「トラック積み放題」などを依頼する際は、業者さんにトラックのサイズや型をよく確認しましょう。
平ボディとバンボディの違いについては、以下のサイトに写真があり、わかりやすいので、ぜひご覧ください。
参考 事業用トラックの種類事業用トラックの種類
実際の事例を見てみよう
それではここで、実際のお家の片付け費用がいくらかかったのか、事例を見てみましょう。私たちは建物の解体工事を専門としているのですが、工事前に室内の片付けの依頼を受けることも多くあります。
こちらの住宅は木造2階建て、16.5坪(約54.5㎡)という比較的小さなお家です。実際の見積書を見てみましょう。
室内の片付け費用は、NO.3の「室内残置物 撤去処分」という項目にあたります。書き出してみると、以下のように見積もりが出ています。
3 | 室内残置物 撤去処分 |
生活残渣、 食器、衣類等 |
4台 | 60,000 | 240,000 | 4t車 |
実際の室内のようすはこちらです。

たくさんの荷物があるのがわかりますね。部屋の一角の写真しかありませんが、こちらの住宅は2階建てなので、まだまだたくさんの荷物があったのでしょう。
片付け費用は、4トントラック(単価60,000円)が4台分で240,000円となっています。

こちらの住宅も木造2階建て、18.6坪(約61.5㎡)という大きさのお家です。見積書を見てみましょう。

室内の片付け費用はNO.2の「室内・室外 外残置物 撤去処分」の項目にあたります。
2 | 室内・室外 残置物 撤去処分 |
混合廃棄物 分別・積み込み ・運搬・処分共 |
16㎥ | 10,000 | 160,000 |
室内に残っていたものを見てみましょう。


2枚目の写真は台所ですが、冷蔵庫の正面には食器棚も置いてありました。ただ、廃棄物の量は事例1に比べてかなり少なかったようです。室外の廃棄物も含めて16立米(㎥)と記されていますね。
片付け費用は、1立米(㎥)あたり10,000円で、160,000円となっています。
以上2つの事例は、家屋の解体工事の前に行われた片付けの事例ですので、片付け専門の業者さんが提示する料金とは多少差があるかもしれません。ただ、目安となれば幸いです。
プラス料金がかかるもの・こと
ここで、片付け料金とは別途でお金がかかることがある項目について見ていきましょう。
- 作業員さんの人数を増やしてもらう
- 休日や夜間の作業をお願いする
- 積み込みに時間がかかってしまう
- トラックを停めておく駐車場代
- 2階以上のお部屋
- リサイクル家電の処分費
- 片付け後のクリーニング代
- 仏壇などの供養代
- 特殊清掃が必要なお家の片付け
大型の家具がある場合、どうしても人手がないと運べません。作業員さんを増やしてもらうとその分、人件費がかかります。
(例:1人12,000円など×日数)
(例:作業費3割増しなど)
物がたくさんある場合はもちろん、いるものいらないものを分別しておらず、その度に依頼主の確認が必要であったり、お家の近くにトラックが停められず、処分するものを遠くまで運ばなければならない場合、作業に時間がかかってしまいます。人手や日数がかかるほど料金は割高になります。
家のそばにトラックを停められず、コインパーキングなどを利用する必要がある場合、駐車場代が別途かかることがあります。
2階以上に大型の家具があると、階段を下りられないこともあります。そんなときは家具を窓から吊り下げて地上へ下ろしたり、家具を解体してしまう必要があります。
(例:家具の解体5,000円~など)
家電リサイクル法により、テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機などの家電は、回収してもらうのにリサイクル料金を支払う必要があります。ただ、片付け業者さんでは片付け料金に込みとしている場合も多いので、確認してみるとよいでしょう。
片付け後のお部屋をクリーニングしてもらいたい場合は、追加料金で請け負ってもらえるかもしれません。もともと片付け料金に含まれていることもあります。
仏壇や位牌などの供養をしてくれる業者さんも多くいます。特に遺品整理を専門にしている業者さんは、供養についても詳しいので、わからないことがあれば気軽に相談しましょう。
(例:仏壇供養20,000円~など)
ゴミ屋敷や孤独死の現場など、片付け作業の前に臭いや汚れを取り除くため、特殊清掃が必要な場合は別途料金がかかります。
(例:水回りクリーニング・除菌消臭40,000~、特殊清掃78,000円~など)
どんな業者さんに片付けを依頼すべき?
「片付け業者」と一言で言っても、インターネットで検索すると、不用品回収業者さんや遺品整理業者さんなど、いろんな業者さんが見つかるでしょう。
それでは、どんな業者さんにお願いするべきなのでしょうか?以下で比べてみましょう。
不用品回収・便利屋さん
「不用品回収」と聞くと、引っ越しのときや、大型の家具をいくつか捨てたいときに依頼するというイメージがあるかもしれません。しかし最近では、お家一軒まるごとの片付けを請け負ってくれる業者さんも増えています。
不用品回収業者さんの特徴は、その名のとおり「不用品」をどんどん「回収」してくれるという点です。手際よく不用品を運び出し、作業日数も少なく済む場合が多いです。
より安く短期間で作業してもらいたい場合には、不用品回収業者さんや便利屋さんに掛け合うとよいでしょう。
事前に、一軒まるごと片付けてほしいこと、提示された料金がどこまで込みなのかをしっかりと確認しましょう。
遺品整理業者さん
近年、少子高齢化・核家族化が進んだ日本では、遺品整理を専門にしている業者さんが増えています。
「不用品回収」との違いは、より丁寧にお家の中の品々と向き合い、供養をしたり、捨てる物の中から思い出の品などを選別するなど、故人と、遺された家族に寄り添いながら作業をしてもらえる点です。
遺品業者さんの中には「遺品整理士」という資格を取得し、遺品の仕分け方や適切な処理方法、供養品の取り扱い方などを学んだスタッフさんがいることも。家族と同じような思いで作業してもらえるとなると、こちらも救われますよね。
ただ、より丁寧に片付けを行うため、作業日数が多くかかる傾向にあり、費用がその分割高になると言えるでしょう。
参考 実家の片付け・遺品整理の業者を探すならみんなの遺品整理みんなの遺品整理
市役所など、行政で紹介してもらう業者さん
片付け業者さんは全国に数多く存在します。しかし、法外な請求をしてくる悪質業者やグレーな業者が後を絶たない業界でもあります。
そこで市区町村など、実家がある地域の行政の力を借りてみるのもよいでしょう。まさにご実家の片付けをされた方の以下のブログ記事をご覧ください。
参考 3軒分の実家の遺品を30万円で整理した話: エムズの片割れエムズの片割れ金額だけでなく、捨てた物の量、片付けにかかった期間や実際の請求書など、とても参考になる情報が書かれていますね。
筆者の方は、市役所に行って“推薦の業者”を紹介してもらったということです。結果、予想していたよりも遥かに安く、さらに細かい金額の内訳や領収書なども提示してもらえ、とても満足できたそう。
ご実家が空き家になってしまっているのなら、それは管轄の行政にとっても悩み事の一つです。思い切って相談してみてもいいかもしれません。
自分たちで事前にできることは?
お家の片付け作業は、期間は短く・人手は少なく進められれば、費用も安く済みます。作業が迅速に進むためのポイントを確認しましょう。
- いるもの・いらないものが分けてある
- いらないものがダンボールや袋に詰めてある
以上のようなことだけでも事前にできていれば、作業の効率は格段に上がります。それでは、具体的にどのようなことをしておくとよいのでしょうか?
必要なものは回収しておく
例えばアルバムや手紙、その他思い出の品など、捨ててほしくない物は探して回収しておきましょう。「家に残っているものはすべて捨ててください」と言えると話が早いからです。
ただ、大型の家具など、捨ててほしくないがまだ回収できない物や、見つからないが回収したい物もありますよね。そんなときはメモに書き出して事前にしっかりと伝えておくだけでも、作業はしやすくなります。
また、依頼主が作業に立ち会いできれば、その場で「いる・いらない」の判断ができるため、安心ですし、効率も良くなる場合が多いでしょう。
捨てられるものは捨てておく
収納棚やタンスの中身などは、一般ごみとして事前に出しておくと、業者さんが分別・梱包する手間を省くことができ、廃棄物の量も少なくなるため、料金はより安くなると言えます。捨てるまでできない場合でも、ダンボールや袋に詰めておくだけで作業の効率は格段に上がります。
また、特に大変なのが、調味料や整髪料など、液体が残っている物の処分です。液体を容器から出してしまう作業だけでもかなりの時間と手間がかかりますよね。不用品回収業者さんの中には「液体が入っている物は回収できません」としていることもあります。
中身の入っているものは、タンスでもお醤油でも、中身を処分しておくとよいでしょう。
まとめ
ご実家が遠方にあると、片付けにもなかなか通えず、気になることとして心に引っかかったまま、ただ時間だけが過ぎていってしまいますね。
だいたいの片付け費用が予想できたら、いよいよ見積もりをとってみましょう。最近では、お家の鍵を渡せば、依頼主が立ち会わなくても見積もりができる業者さんも多くなっています。
見積もりはできれば数社からとり、料金の内訳や各業者さんの雰囲気を見比べてから、依頼する業者さんを決定しましょう。
もし、片付け後のご実家の解体をお考えでしたら、ぜひ当社の解体無料見積ガイドをご利用ください。専任スタッフが親身になって対応いたします。
なお、お家の片付けから依頼できる業者さんもご紹介できます。お気軽にご相談ください。