解体工事はよほど馴染みがある方でなければ、そう何度も経験することではありません。
そのため、「そもそも何処に頼めば良いのか分からない」「何から手を付ければ良いか分からない」といった悩みをお持ちの方が多いです。
そこで、この記事では上尾市内で解体工事をお考えの方のために、業者さんの探し方や工事の進め方などを詳しくご紹介していきます。
解体工事はそもそも何処に頼めば良い?
建物の解体や撤去を検討する際、基本的には取り壊し工事を専門に扱っている「解体業者」に依頼するのが一般的です。なお、「建設業者」や「工務店」の中には、一部で解体工事を扱っているところもあります。
ただし、解体工事は様々な専門知識が必要です。狭小地での危険な作業や費用を抑える取り組など、業界ならではの常識や工夫があります。依頼する際は、実績や経験が豊富なところにお願いしましょう。
市内にはどれくらいの業者があるの?
工事を依頼する業者は、必ず各自治体から「解体業者登録」もしくは「建設業」のいずれかの許可を取得している必要があります。
仮に、無許可で営業している違法な業者に頼んでしまうと、トラブルがあった時に依頼主であるお施主様にも責任が問われる場合がるのでご注意ください。
なお、上尾市内で解体工事に必要な許認可を取得している業者数は以下の通りです。
対象の許認可 | 取得業者数 |
---|---|
解体業登録 | 11社 |
建設業許可 | 540社 |
ただし、建設業を取得している業者の多くは建築を専門としているため、解体工事を頼めない場合があります。
実際に業者を探す際は、許認可を取得している業者の中から探すのではなく、知り合いからの紹介やインターネットなどで情報収集をするのが現実的です。
必要な許認可を取得しているかどうかの確認は、依頼できる業者に目処が立ってからにしましょう。
どうやって業者を手配すれば良いの?
「詳しい人が周りに居ない」「専門的な知識がない」という方は、業者のまとめサイトなど利用するのが良いかもしれません。ただし、「せっかく問い合わせても解体工事をやっていなかった」「既に廃業になっていた」といった会社が含まれている場合があるので、最新の情報に更新されているページを参考にするようにしてください。
なお、以下のページはインターネットで検索できる解体業者の情報をまとめた記事です。中でも、当協会(あんしん解体業者認定協会)の審査基準を満たしている優良な業者さんについては、詳しいインタビューも掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。
解体業者を選ぶ時のポイント
工事の手配をしたくても、「業者に問い合わせるのがおっくうだ」「なるべく費用はかけたくない」など、色々な悩みをお持ちの方が多いと思います。
特に、費用面では「法外な金額を請求されるんじゃないか」と不安になっている方もいるでしょう。
実際、解体費用の見積りに関しては業者ごとに測量の方法や見積書の書き方が異なるので金額は同じになりません。そのため、業界的には複数の業者から見積りを取って比較する相見積りが一般的とされています。
解体工事をするにあたって自治体の許認可が必要なことは前述しましたが、建物の廃材を処分場に運ぶには、別途に廃棄物の「収集運搬許可」が必要です。
また近年は、廃材の処分費が高騰を続けているため、一部の心無い業者によって行われた不法投棄などのニュースが後を絶ちません。業者選びの際はくれぐれもご注意ください。
適正価格を事前にチェック
解体費用は地域ごとにある程度の相場があります。上尾市の費用相場は以下の通りです。
上尾市の解体費用相場 | 費用幅 |
---|---|
29,555円/坪 | 18,667~37,500円/坪 |
情報元:一般社団法人あんしん解体業者認定協会(参照データ28件)
なお、一般的な2階建ての木造住宅であれば延床面積は約30坪ほどなので、上尾市で解体工事をする場合の相場は88万6,650円だと分かります。
ただし、坪単価で計算できる費用はあくまでも建物の撤去に必要な金額のみです。
建物の取り壊しでは、その他にも付帯工事や諸経費が掛かるため、30坪ほどの家でも総額では100~130万円前後の費用が掛かるでしょう。
付帯工事の項目例 | 金額の目安 |
---|---|
仮設養生 | 10万円前後(一般的な戸建て) |
重機回送費 | 5~10万円 |
樹木・塀の撤去 | 都度見積り |
以下の記事では、上尾市で行われた解体工事のお見積りデータを掲載しています。費用の項目や具体的な金額など参考にしてみてください。
注意しておきたい追加費用の項目
上記の表でご紹介した付帯工事の項目以外にも、現場の状況や使われている建材によって追加で発生してしまう費用があります。以下は解体工事に伴う追加費用の例です。
- アスベストの除去
アスベストは人体に有害な物質なので状況によって特殊な除去工事が必要です。なお現在アスベストの使用は禁止されています。
- 手壊し解体
隣接する道路が狭くて重機を搬送することができない場合など、やむを得ず手作業で工事をする際は、人件費が余計に掛かるので費用が割増しになります。
- 残置物の撤去
建設リサイクル法の定めにより分別解体が義務付けられているため、家財道具や不用品などは廃材とまとめて処分することができません。
また、解体業者に処分を依頼すると産業廃棄物として扱われるので費用が高額になる傾向があります。
業者によっては見積りの項目に漏れがある場合がありますので、ご自身でも見積書をしっかり比較して確認してみてください。
優良な解体業者の見分け方
更地にした後、新しく家を建てたり駐車場にしたりして土地活用をする場合は、近隣とも友好な関係を築いておきたいですよね。だからこそ解体業者を選ぶ際は、金額以外の部分も重要です。
例えば、トラブルを未然に防ぐためにどういった対策をしているのか、具体的な手法などについて見てみると優良な業者を見極めることができます。
- 周囲には足場と養生を設置してホコリや騒音を防いでいる
- 事前のあいさつ回りを徹底している
- 小まめに連絡が取れる
- 事故に備えて損害賠償保険に加入している
- 工事の前後で現場周辺の清掃を欠かさない
- 喫煙マナーをしっかり守っている
後で失敗しないためにも業者選びは慎重に行いましょう。
「何から始めれば良いの?」事例に沿って詳しく解説
続いては、実際にどのように工事を進めていけば良いのか上尾市で行われた解体工事の事例をもとにご紹介していきます。
業者はどうやって探せば良い?
ご紹介するのは、土地の売却に伴って住宅を解体されたお客様の事例です。
もともとお取引がある知り合いの不動産会社に解体業者を手配してもらえる段取りだったそうですが、費用が200万円以上掛かると言われてしまい、もっと金額を抑えられないかご自身でもネットで業者を探されていたそうです。
その結果、当協会のホームページをご覧になりお問いわせいただきました。
ハウスメーカーや不動産会社に取り壊しを依頼すると、多くは下請け業者が解体工事を担当するので余分な中間マージンが発生してしまいます。そのため、解体業者は直接ご自身で手配するのがおすすめです。建て替えなどを検討している方は「分離発注」も視野に入れて業者を探してみてください。
戸建て住宅の見積り金額の例
解体工事をするにあたって一番はじめにやるべきことは業者選びです。今回の事例では当協会にご連絡をいただいて間もなく、お近くの解体業者さんを3社ご紹介させていただきました。現地調査を行った上で出してもらった各業者さんのお見積り金額は以下の通りです。
業者 | 金額 |
---|---|
A社 | 135万円 |
B社 | 114万円 |
C社 | 103万6,800円 |
見積り金額が一定にならない理由
ご紹介した3社のお見積りはいずれも、当初お客様がお知り合いの不動産会社からご提示されていた金額よりも安く抑えられていました。しかしながら、ご紹介した業者さんの間でも約30万円の差があり、お客様は金額に対してご不安だったようです。
このように、業者間で金額に差が出てしまう理由のひとつとして見積り方法の違いがあげられます。坪当たりの工事費が違うのはもちろんですが、その他の付帯工事についても業者さんによって項目や金額が異なるわけです。
各業者ごとの実際の見積書
最終的には見積書の項目が詳細で分かりやすく、「アスベスト」などの追加費用についても漏れなく記載があったC社に工事を依頼することになりました。
A社の見積書(135万円)
B社の見積書(114万円)
C社の見積書(103万6,800円)
なお、見積書の見方については以下の記事で詳しく解説しているので、詳しい内容が気になる方はぜひ参考にしてみてください。
解体工事の坪単価はどれくらい?その他かかる費用もあわせて紹介
残置物の量で工事費が変わる
解体工事をする際、建物内に残った残置物の撤去は追加費用の対象です。さらに、残置物の撤去を解体業者に依頼した場合は産業廃棄物として扱われるため費用が高額になります。
そのため、お見積りを依頼する前に家財道具や不用品を撤去しておくのがおすすめです。
不用品に関しては地域ごとのルールに沿ってゴミ出しの日に処分していただくのが良いでしょう。ただし、上尾市では60cm×30cmを超えるゴミを集積所に出すことができません。
大型のゴミは西貝塚環境センターで粗大ごみ10kgにつき80円で持ち込み処分を行っているのでそちらを利用してみてください。なお、持ち込みができない場合は電話連絡のうえ戸別収集も行っています。
必要な届け出は?
工事を依頼する業者が決まったら続いて必要な届け出を済ませていきます。なお、解体工事に伴う必要な届け出は以下の6つです。
- ライフラインの停止
- 建設リサイクル法に関する届出
- アスベスト除去の届出
- 道路の使用許可申請
- 建築物除去届
- (工事後)建物滅失登記申請
とはいえ、基本的にご自身で行うのはライフラインの停止くらいで、残りは依頼する業者さんに代行してもらえるものがほとんどです。場合によっては届け出自体が不要になるものもあります。
ただし、工事が始まるとホコリが飛散するのを防ぐため散水をしながら作業を行うのが一般的です。そのため、水道に関しては工事の完了後に停止するようにしましょう。
その他、自治体の届け出を代行してもらう場合は委任状が必要なケースがあるため、ご不安な方は着工前に業者さんに確認してみてください。
届け出に伴う相談先 | 上尾市建築安全課 |
---|---|
住所 | 〒362-8501 上尾市本町3-1-1 本庁舎6階 |
TEL | 048-775-8490 |
ホームページ | https://www.city.ageo.lg.jp/soshiki/s358000/ |
着工前には挨拶周りが欠かせない
建物の解体は騒音や振動を伴う危険な工事です。そのため、近隣とのトラブルが起こりやすいと言われています。だからこそ、苦情やクレームを未然に防ぐためには近隣への配慮が欠かせません。
優良な業者さんであれば挨拶周りも代行してもらえる場合が多いので、お見積りの際に確認してみてください。
工期はどれくらい?
必要な届け出や事前の挨拶周りが終わったらいよいよ着工です。一般的な木造住宅であれば工期はおよそ2~3週間前後が目安と言われています。
特に今回の事例は土地の売却が決まっていたため、期限内に工事を終わらせる必要がありました。

なお、実際に工事が始まった後は、お施主様の方では特にやることはありませんが、稀に追加工事が発生する恐れがあるので完了までは気が抜けません。
解体工事契約から完了までの全体の流れとかかる時間はどれくらい?
基礎の構造により追加費用が発生
順調に進んでいた工事ですが、終盤になってひとつ問題が発生しました。
建物の基礎部分が「ベタ基礎」と言われる頑丈なつくりになっていたため、追加費用の対象になってしまったのです。

ベタ基礎は「布基礎」と呼ばれる通常の基礎に比べて使われているコンクリートの量が多く、壊す手間も廃材を処分する手間も余分に掛かってしまいます。
ただ、今回は事前にベタ基礎である可能性についても業者さんからしっかりと説明があったため、大きなトラブルに発展することなく、お施主様も納得したうえで工事が進められました。

工事の後は重機を使って地面に填圧をかけて整地をしていきます。今回の事例では、途中で追加の工事などもありましたが期限内に滞りなく工事が完了しました。
埼玉県上尾市の解体事例まとめ
この記事では、上尾市で解体工事をするにあたって業者の探し方や工事の進め方などをご紹介しました。
上尾市は業者の数に恵まれており、相見積りが取りやすい地域だといえます。ぜひ、実際に問い合わせてご自身でも見積りを取ってみてください。
また、解体工事は残置物の処分や関係各所への届け出など、事前の準備に手間が掛かるほか、予想外の追加工事が発生する恐れがあります。期限などが明確になっている場合は特に余裕を持って取り組みましょう。