相続の相談先はあの人!気になる費用と依頼すべき専門家

相続において「専門家に依頼をしたほうが良い」とアドバイスされたことはありませんか?確かに何人もの専門家に相談をすれば安心かもしれません。

しかし、費用は膨らむ一方です。相続を行うには、複数の申請手続きを行うため、相談費用を知る前に必要な手続きを把握しておく必要があります。

ここでは、一般的な相続で発生する相談費用や業務内容をご紹介します。さらに、どの専門家へ依頼すれば的確かつ効果的なのかご紹介したいと思います。

相続のルール知っていますか?抑えておきたいポイント5選


相続は被相続人が死亡した際、その遺産を子供や家族が引き継ぐことです。基本的に話し合いによって各相続人が相続する財産の割合を決定します。話し合いで決定しない場合は、法律の取り決めによって相続財産を分け合います。また、一定範囲内の親族は遺留分として最低限の財産が保証されています。

ただし、事業承継を実施する場合、遺留分が制限される場合があります。会社経営の維持に必要な株式は、特例によって遺留分の対象外となります。事業承継が関わる場合、他にも通常の相続とは異なります。

①遺言書・相続人・相続財産の確認

最初に必ず必要となるのが遺言書と相続人の確認です。遺言書が無い場合、民法に則って財産を分配します。遺言書がある場合は、遺言書に記載された通りに相続を行います。遺言書の有無を確認せずに、財産分割協議を実行しないように注意しましょう!

後から遺言書の存在が発覚すると、財産分割協議を最初からやり直す必要があります。また、法定相続人についても正確に把握する必要があり、※法定相続人が1人でも不足している場合、財産分割協議の効力は成立しません。当然ながら、相続する財産についても漏れなく把握しましょう。

MEMO
法定相続人とは
法定相続人になれるのは、配偶者と血族です。同じ順位の人が複数いる場合は、全員が相続人となります。また、先順位の人が1人でもいる場合は、後順位の人は相続人になれません。

②遺留分減殺請求について

遺留分減殺請求とは、遺留分が受け取れない事態となったとき、最低限の財産を請求できる権利です。遺言に、「資産全額を寄付する」などと書かれていた場合、この請求を活用できます。

ただし遺留分減殺請求を行えるのは、被相続人の配偶者、子供、直系の尊属にのみ限られます

③相続放棄

相続放棄とは、相続の権利を自ら破棄する行為です。相続では、借金・ローンなどもマイナスの資産も引き継ぎます。マイナスの資産がプラスの資産を上回るケースでは、相続人は損失をだしていますので、相続放棄を行う必要があります。

④遺産分割協議書の作成

相続人や相続財産等が全て把握できたら、遺産分割協議を開催します。遺言書や話し合いを基に、誰がどのくらい財産を相続するか決定します。

話し合いでまとまらないケースでは、専門家に相談した上で、民法の定めにより遺産分割します。

⑤相続登記

相続時に不動産を引き継ぐ場合、不動産の移転登記が必要となります。経営者が事業承継する場合、店舗や会社のオフィスも相続登記の対象となります。また、不動産を現金にしてから遺産分割するケースもあります。その場合、一旦不動産を相続人名義に変える必要があり、売却する相手に所有権移転登記を行います。つまり、二回登記手続きが必要となるのですります。

「困った…」遺産を相続したとき、どこに相談すればいいか?


突然、土地や物件などの不動産を相続したとき、何をするべきなのでしょう?相続を何度も経験した方は珍しいと言えます。もし自分自身が相続について分からないとき、迷ったとき・困ったときどこにすればよいのか?相談先と費用を詳しく見ていきましょう。

専門家への相談が必要なケース

  • とにかく何から始めていいのかもわからない
  • 相続財産がわからない・これで全てなのか不安
  • 相続税の申告が必要かどうか知りたい
  • 相続税の申告方法がわからない
  • 相続人が誰なのかわからない・調査方法がわからない
  • 戸籍を調査したら想定外の相続人が発覚した
  • 遺産分割協議で揉めている

ただ、相続は一般的に複数の専門家(たとえば税理士・司法書士)が関わってくる案件がほとんどで、その場合どこから手を付けて良いのかわからない、誰にまず相談していいのか分からないはずです。

専門家に相続相談で出来ること・出来ないこと

下記の表をご覧頂くと、各専門家にはそれぞれ出来る範囲が異なります。例えば最初に相談したのが税理士だった場合、不動産の名義変更や代理人交渉など、税理士だけでは対応しきれないケースが出てきます。

その場合、最初に相談した税理士の引き継ぎや紹介などで、別の専門家に依頼するのが一般的です。しかし、追加の紹介料が発生したり、不透明な費用の負担が増す可能性もあるのがデメリットです。

法律事務所などは数多くありますが、「相続を専門に扱う」事務所に依頼しないと知識が乏しかったり、あとから高額な費用を請求されることになりかねません。思わぬトラブルに繋がることもあるので、複数の専門家が所属する事務所ですべてのサポートが完了するところならば、無駄な費用はかからないでしょう。

相続の手続きにかかる費用の相場

相続の手続きにかかる費用は、相続財産の総額によって決められるのが一般的です。

相続手続きの費用相場

それぞれ必要に応じて手続きを依頼する場合は、相談先別に費用が発生します

不動産相続がある場合

司法書士への不動産登記手続きの費用
不動産の評価額が高いほど費用も高くなる。
不動産が3,000万円の評価の場合:30万円前後

相続税が発生する場合

税理士への申告手続き費用
遺産総額の0.5~1.5%が相場。
遺産総額が8,000万円の場合:40~120万円

相続争いが起きた場合

弁護士への紛争解決のための費用
着手金:20~50万円
報酬:経済的利益の10%~15%前後

各手続きの費用相場

相続財産の調査:3万円~
遺産分割協議書の作成:3万円~遺産の評価額の0.1%程度
相続不動産の調査:1万円~
財産の名義変更:金融資産の調査:2万円~
預貯金の払い戻しや名義変更:銀行1支店につき2万円~
車の所有権移転登録:5万円~
相続放棄:5万円~

不動産登記の変更には登録免許税もかかり、不動産の登記の際に必要となります。また、相続による所有権の移転にかかる登録免許税は不動産の課税評価額×0.4%です。

登録免許税の料金


(相続による所有権移転登記)

モデルケースを参考に専門家への相続相談をイメージ!


相続に関する手続きや相場をご紹介しましたが、モデルケースを参考に具体的なイメージを膨らませてみましょう!

①50代男性
②相続した財産…土地と建物、預貯金
③遺産額… 土地の評価額を含め800万円(築年数が古かっため、家の評価額はほぼなし)
④預貯金…200万円
依頼した専門家税理士・司法書士へ依頼
⑥専門家に支払った手数料➡約60万円

後悔先に立たず!相続時によくある事例とは?

「不動産の登記が先代のままで、時間とお金がかかってしまった」という声は相続時に頻繁に聞かれます。登記に関して面倒なのは金銭面よりも、時間です。登記簿や戸籍などが遠方にある場合は、役所に何度も足を運ぶことになります。

また、専門家への手数料はそれほど高くなかったにも関わらず、登記にあたり境界の確定が必要になるなど、急きょ依頼した土地家屋調査士の手数料が高いといった思わぬ出費も多いケースです。

このような事態を防ぐためには事前の入年な下調べ、相続を多く扱っている専門家に依頼することが重要です。

専門家の専権事項を改めてチェック!

① 税理士  ➡ 相続税が発生するか?申告が必要か?など税務担当
② 弁護士  ➡ 遺産分割や遺留分減殺請求、相続で揉めているとき
③ 司法書士 ➡ 不動産を相続したとき、相続放棄をするとき、遺言書があるとき
④ 行政書士 ➡ 相続財産の調査、遺産分割協議書作成

税理士

相続というと相続税、相続税というと税理士という感じで思い浮かべる方もいると思います。そして、実際に税理士しかできないことは相続税の申告です。

ただし、相続税の申告は相続が発生した中でも4%程度の人しか関係ないと言われています。つまり、相続税を支払う必要も申告も必要ないのです。

弁護士

弁護士については、調停や審判などの裁判所での手続きになった際は、弁護士しか正式な代理人となることができません。そのため、相続人同士モメてしまっている場合は弁護士を検討することになります。

ただし、実際に裁判で相続人同士が争っている場合ですが、原則的に法定相続分という法律で決められた相続割合になることがほとんどです。また、一般的に費用が高いとされているので、費用を抑えたいという人は他の選択をしたほうがよいでしょう。

司法書士

司法書士については、不動産の名義変更(相続登記)ができます。相続が発生した中でも半数のケースで不動産を相続します。不動産を所有している方は、いずれ司法書士に依頼することになるはずです。

相続税の申告が必要ない、とくに相続人同士で争っていないと場合は司法書士がすべての手続きを扱えるので、相談する方の負担が少なく済みます。

注意が必要なケースは、司法書士事務所によって相続登記しか専門でないという事務所があるということです。

行政書士

行政書士は「行政関係」の官公署や役所に提出する書類を作成するスペシャリストといえます。国民と行政のパイプ役を担う専門家で、のが、行政書士の仕事です。

行政から許可を得るための書類は、専門知識のない人でも作成できないことはありませんが、複雑でなかなか骨が折れる作業なので、時間と労力を省くことができます。

まとめ

相続は必ず訪れます。前もって相続の手続きや費用について準備しておくことが必要です。各専門家によって相談できる内容、費用が異なるため、誰に相談するかは非常に重要となります。相談する相手が実務に強くないケースでは無駄に費用や手間がかかってしまいます。

加えて、相続問題が長引く恐れもあります。法律トラブルの発生時には弁護士、不動産の登記ならば司法書士といった具合に相談相手を選ばなくてはいけません。特に事業承継が相続に絡んでいるケースは相続税にしっかり対処する必要があります。