解体費用を抑える充実助成制度‐品川区編

東京都には、「木造住宅密集地域」(木密地域)と呼ばれる地域があるのはご存じですか?山手線外周部を中心に広がっている地域で、公園や道路などの公共施設などの整備が遅れ、老朽化した木造住宅の割合が高い地域のことを指します。このような地域は万一震災が発生した場合、建物の倒壊、火災の発生の恐れがあり、都民の安全が著しく脅かされかれてしまう可能性が高いのです。そのため、東京都では、「木密地域不燃化 10 年プロジェクト」を掲げ、区と連携しながら木密地域の整備の促進を目指しているのです。

実は品川区も、木密地域に指定された地域が多く、「木密地域不燃化 10 年プロジェクト」の一環として、特に改善が必要な地域を、「不燃化特区」として、老朽家屋の解体費用補助など、特別な助成制度を設けているのです。

「木密地域不燃化10年プロジェクト」と「不燃化特区支援制度」


まず最初に、「木密地域不燃化10年プロジェクト」と「不燃化特区支援制度」、この2つの違いを簡単に見てみましょう。

東京都のプロジェクト「木密地域不燃化10年プロジェクト」

東京で大震災が起こった場合に、木密地域では非常に大きな被害が予想されるため、東京の最大の「弱点」である木密地域の改善を目的とし、平成24年よりプロジェクトが進められています。10年間の集中的な取り組みで、特に大きな被害が予想される地域を対象に、木密地域を「燃え広がらない・燃えないまち」にすることを目標にしています。

  • 「燃えないまち」の実現⇒不燃領域率を 2020(平成 32)年度までに 70%に引上げ
  • 「燃え広がらないまち」の実現⇒る主要な都市計画道路の整備を 2020(平成 32)年度までに 100%達成
  • この目標の実現をよりスムーズに進めるために、プロジェクトの一環として、区と連携した支援制度の推進や主要な都市計画道路の整備を推進しています。

    東京都と連携した品川区の制度「不燃化特区支援制度」

    「木密地域不燃化10年プロジェクト」の整備地域の中で、特に地域危険度が高く、重点的な改善が必要と認められた地域を、東京都が「不燃化特区」として指定しています。品川区で指定された地区は以下の9地区になります。

  • 東中延一・二丁目、中延二・三丁目地区]
  • 補助29号線沿道地区
  • 豊町四・五・六丁目、二葉三・四丁目及び西大井六丁目地区
  • 旗の台四丁目・中延五丁目地区
  • 戸越二・四・五・六丁目地区
  • 西品川二・三丁目地区
  • 大井五・七丁目、西大井二・三・四丁目地区
  • 放射2号線沿道地区(荏原1・2丁目、西五反田5・6丁目の各一部)
  • 補助28号線沿道地区
  • 品川区では、指定された地区の環境改善をよりスムーズにすすめるために、「不燃化特区支援制度」を制定しているのです。

    不燃化特区支援制度
    ①老朽木造建築物の解体除却費用の助成
    ②取り壊し、建て替えに関する専門家による無料相談
    ③引っ越し費用の助成
    ④耐火・準耐火建築物にするための費用の助成
    ⑤固定資産税・都市計画税の減免

    つまり、東京都が防災を目的とした街づくりを進めるために行っているのが、「木密地域不燃化10年プロジェクト」。このプロジェクトをよりスムーズに進めるために、品川区が都と連携して制定した制度が「不燃化特区支援制度」ということになります。

    それでは、今回は「老朽木造建築物の解体除却費用の助成」の内容を詳しくみてみましょう。
    ※この制度は、平成32年度までの期限付きの制度となっているので、ご検討の際はお早めに!

    老朽木造建築物の解体除却費用の助成


    この制度は、老朽化した木造の建築物を解体して除却しようとする方に、補助金を交付する制度です。

    対象建築物
    ■不燃化特区内にある
    ■平成17年3月31日以前に建てられた木造建築物(平成5年6月25日以降にたてられた、3階建て以上の建築物および延べ面積が500平方メートルを超える建築物は除く)
    ■昭和56年5月31日以前に建てられた軽量鉄骨造の建築物
    ■区によって危険と認められた築年不明の木造建築物
    ※宅地建物取引業者が、解体後に建築、販売を目的としている場合は対象外です。

    助成を受けられる方
    ■対象建築物を所有する個人、または中小企業
    ※共有者がいる場合は、共有者が合意した代表者。区分所有建築物の場合も、同様に区分所有者により合意された代表者。

    助成金額
    ■木造:床面積1平方メートルあたり最大26,000円(上限13,000,000円)
    ■鉄骨造:床面積1平方メートルあたり最大37,000円(上限18,500,000円)

    申請の流れと方法

    申請の流れ
    ①老朽建築物除却支援助成申請書を区に提出
    ②区による審査(約2週間)
    ③解体業者と契約
    ④着手届けを区に提出 延焼防止上危険な老朽建築物除却工事着手届(第4号様式)挿入
    ⑤解体工事
    ⑥老朽建築物除却支援助成金交付申請書を提出
    ⑦区による審査⇒交付額の決定(約2週間)
    ⑧老朽建築物除却支援助成金交付請求書、口座振替依頼書の提出
    ⑨助成金の受取、入金の確認

    申請の際は、まず、老朽建築物除却支援助成申請書と9つの添付書類を併せて提出します。

    添付書類1

  • 登記事項証明書(建物)(写し)
  • 固定資産税・都市計画税の納税通知書および課税明細書(写し)
  • 老朽建築物の状態が確認できる写真(1 週間以内の日付入り)
  • 履歴事項証明書(申請者が個人以外の場合のみ必要)
  • 老朽建築物の所在がわかる地図
  • 工事工程表
  • 工事見積書(内訳書を含む)
  • 委任状(老朽建築物が共有名義の場合)
  • その他必要な書類
  • ※工事の工程表や見積もり書などは、殆どの解体業者は契約する前に出して頂けます。申請書を提出の段階では契約せず、区からの審査結果の通知書が届いてから契約しましょう。先に契約してしまうと、助成金が受けられません!

    https://blog.kaitai-guide.net/blog/wp-content/uploads/2017/08/shinagawasjoseishinseisho.pdf

    申請書を提出したら、約2週間ほどで区から審査結果が届くので、助成制度を受けられることが確認でき次第、解体業者を契約を結びましょう。契約後、解体工事を始める際には、延焼防止上危険な老朽建築物除却工事着手届 を区に提出するのを忘れないでください。添付書類は以下の2点です。

    添付書類2

  • 内訳書を含む除却工事に係る契約書
  • 工事工程表(申請時から変更が合った場合)
  • 対象の解体工事が終了したら、老朽建築物除却支援助成金交付申請書と添付書類をを区に提出します。その後、区が審査を行い、約2週間ほどで助成金の交付額の決定通知が届きます。

    添付書類3

  • 除却工事が実施されたことが確認できる写真(日付入り)
  • 除却工事費用に係る領収書
  • その他区長の必要と認める書類
  • 交付額の決定通知書が届いたら、老朽建築物除却支援助成金交付請求書口座振替依頼書を提出し、助成金の受取を確認して下さい。

    その他の支援制度について


    不燃化支援制度は、先にも述べたように、老朽家屋の解体以外に対しても助成金をやサービスを提供しています。ここでは、その他の支援内容を簡単にご紹介していますので、参考にして下さい。

    支援制度2:取り壊し、建て替えに関する専門家による無料相談

    この制度は、建て替えや、権利移転に関する相談に、弁護士や税理士等の専門家を無料で派遣してもらえる制度です。原則として、同一申請者につき、当該年度5回まで限度としています。

    無料相談対象者
    老朽木造建築物の解体除却費用の助成の対象建築物の所有者や、対象建築物が建っている土地の所有者。

    派遣できる専門家
    弁護士、税理士、一級建築士、不動産鑑定士、公認会計士、不動産コンサルタント、ファイナンシャルプランナー、土地区画整理士

    支援制度3:引っ越し費用の助成

    この制度は、老朽建築物の解体のために、住み替えなどに要する費用を助成する制度です。転居一時金(礼金、仲介手数料、権利金)、移転費用、家賃3ヶ月分が助成されます。

    助成金の交付対象となる方
    品川区の除却支援制度【支援制度1】などを利用して、除却する建物に平成28年5月31日以前から継続して使っている建物の所有者、もしくは賃借人(個人のみ)。

    助成金額

    対象老朽建築物の使用面積転居一時金(礼金・権利金・仲介手数料)移転費用(1回分)家賃(最大3ヶ月)
    30㎡未満262,000円100,000円262,000円
    30㎡以上60㎡未満315,000円130,000円315,000円
    60㎡以上420,000円160,000円420,000円

    ※建物所有者は、転居一時金、移転費用(往復路)、家賃が対象となり、賃借人は、転居一時金と移転費用(往路のみ)が対象となります。

    支援制度4:耐火・準耐火建築物にするための費用の助成

    この制度は、老朽建築物を除却し、耐火・準耐火建築物を建てる時に不燃化構造にするために要する費用を助成するものです。

    助成金の交付対象となる方
    ■品川区の除却支援制度を利用して老朽建築物を除却した方

    補助金額
    面積によって助成金額が変わってきます。

    支援制度5:固定資産税・都市計画税の減免

    この制度は、老朽化した家屋を解体して更地にしたり、建て替えを行った際に、固定資産税、都市計画税の減免を受けられる制度です。ただし、減免を受けられる建物の要件は、上記の支援制度とは異なるので注意しましょう。(詳細は品川都税事務所固定資産税班へ:03-3774-6677)

    更地にした場合
    ■土地に対する固定資産税・都市計画税が5年間8割の減免
    ※土地の適正管理が要件なので、毎年手続きが必要です。(毎年6月30日までに申請)

    住宅に建て替えた場合
    ■家屋に対する固定資産税・都市計画税が5年間10割の減免
    ※解体した家屋と、新築家屋の所有者が同じで、新築家屋の居住部分が1/2以上必要などの条件があります。

    相談窓口

    品川区では、不燃化特区内の老朽家屋の除却や、建て替えの無料相談窓口を開設しているので、解体工事や建て替えのお悩みがあれば、まずは窓口に相談してみて下さいね。弁護士、税理士、一級建築士が相談個別相談を承っています。
    不燃化特区支援制度の申請詳細はこちら

    住所:品川区豊町3丁目2番1号(シルバー高山101号室)
    電話:03-6421-6777
    受付時間:午前10時~午後6時(水曜・日曜・祝祭日・年末年始を除く)
    ※品川区から委託を受けた大成建設株式会社が運営しています

    まとめ

    都心であっても、老朽化した家屋や、災害に強くない建物は多く存在します。そのような建物が多く集結している地域は、万一災害が起こった際の被害の大きさは著しいものとなってしまうでしょう。東京都が推し進めている「木密地域不燃化10年プロジェクト」と品川区で連携している「不燃化特区支援制度」は期間限定の制度なので、もしも老朽家屋をお持ちでしたら、助成制度を利用して、より安全な街づくりに携わってみてはいかがでしょうか。