不動産売買で利用する「レインズ」って何?知っておきたいメリット・デメリット

持ち家や土地の売却をお考えの方。「レインズ」をご存じですか?

レインズは、「Real Estate Information Network System」の略。
日本語で言うと「不動産流通標準システム」という、不動産の情報バンクのことです。
レインズは、土地や住宅等の不動産のご購入をお考えの方が最新の情報から検討できるように、そして、売却をお考えの方が不動産業界と連携して買い手を探すことができるように、双方の願いを実現させるために団結して誕生したシステムなのです。

今回は、レインズの概要から売却についてまで、詳しくご紹介いたします。

レインズとは何か?

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レインズが誕生したのは今から26年前にあたる、平成2年。
不動産流通機構の近代化方策として、コンピューターを使用したネットワークシステムを現在の国土交通省が企画し、不動産情報の標準化・共有化を目的に作られました。

レインズはもともと、不動産会社がリアルタイムにて情報を交換、共有できるものとして、売買取引を安心かつ迅速に行えるシステムとされてきました。現在では、国土交通大臣の指定を受けた4つの指定流通機構により、レインズが運営されています。

  • 公益社団法人 東日本不動産流通機構
  • 公益社団法人 中部圏不動産流通機構
  • 公益社団法人 近畿圏不動産流通機構
  • 公益社団法人 西日本不動産流通機構
  • そして2016年1月より、上記4つのWEBサイトから、売却依頼主(売主)が取引状況について確認できる専用のページが提供開始され、物件情報の登録項目が拡充されました。

    具体的な仕組みって?

    不動産を売却する際、不動産会社に売却の依頼をし、依頼した1社がサイト・広告・情報サイトなどで宣伝をして、顧客につなげる…というイメージが一般的にあると思いますが、実際の仕組みは少し違います。

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    不動産会社に依頼したあと、契約媒介が何かにもよりますが、不動産会社が物件情報をレインズに登録しなくてはいけません。
    レインズに登録されたあと、物件情報は複数の販売協力会社によりホームページ・折込広告・情報サイトなどを介して利用して宣伝し、買主である顧客へつなげていくのです。

    もしもレインズのシステムがなかったら。一社の不動産会社のみに依頼し、その一社が宣伝したとしても、早期の成約は難しくなってしまいますよね。
    レインズは複数の不動産会社と連携することで、買主の目に留まりやすく、早期の成約を望めるシステムになっているのです。

    レインズに登録するメリット・デメリット

    では、レインズを利用することによるメリット、デメリットは何なのでしょうか?

    レインズを利用するメリット

    レインズのメリットといえば、先述のとおり早期の成約が期待できること。
    そして、複数の不動産情報を把握できることから適正価格や動向を確認できるため、売主にとっても買主にとっても市場価格がわかるというのも大きなメリットになります。

    レインズを利用するデメリット

    反対にレインズを利用するデメリットですが、多くの不動産会社を介して、たくさんの人の目に触れるということは、悪用もされやすくなってしまうということ。
    勝手に物件情報を他社のホームページに掲載されてしまったり、レインズで空き部屋情報を確認し、その物件で不正購入品を受け取るなどの犯罪行為に利用したりといった事案は少なくありません。

    また、レインズでは早期の成約が期待できるということをお話しましたが、逆に、いつまでも売れ残ってしまうということもあり得ます。
    レインズでは物件情報が次々に更新されていきますので、少しでも古くなった情報は埋もれてしまったり、買主の目に留まったとしても「現在まで売れていないということは、何か問題がある物件なのかもしれない」と思われてしまうことも多く、早期に成約がなかった場合は、その後の成約率が下がってしまう可能性が高いのです。

    不動産を売却する際の契約媒介

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    媒介契約は、売主が不動産を売却する際に依頼する業務の仕様や仲介手数料等を明確にし、仲介業務に関する不動産会社とのトラブルを未然に防ぐ為に選択します。
    依頼を受けた不動産会社には、宅地建物取引業法にて媒介契約の締結が義務付けられていて、売主が媒介契約の選択をすることが売却活動の重要なポイントとなるのです。
    ご自身でそれぞれの媒介契約について理解し、どれを利用して不動産を売却するか決めるようにしましょう。

    専属専任媒介契約

    専属専任媒介契約は、仲介の依頼を1社のみに絞り、依頼した不動産会社を通して取引することが義務付けられています。
    原則として複数の不動産会社に重ねて仲介の依頼をすることは禁じられていて、また、自分自身で見つけてきた買主との取引でも、不動産会社を介さなくてはいけません
    ですから、例えばご自身の親戚や知人と直接交渉した場合においても、不動産会社にその旨を相談し、取引をしなくてはならないのです。

    メリットとしては、有効期間中の3ヶ月間は取引の状況を1週間に1回以上報告する義務が不動産会社側にありますので、頻繁に物件の現在の状況を報告してもらうことが出来ます
    また、レインズへの登録も義務づけられており、媒介契約の締結日から5日以内に、レインズの登録を不動産会社が行わなくてはなりません。

    専任媒介契約

    専任媒介契約とは、専属専任媒介契約とほとんど同様に1社のみにしか依頼してはならない契約ですが、専属専任媒介契約と違い、ご自身で見つけた買主と交渉した場合には、不動産会社を介さずに契約して良いという規則になっています。
    また、契約有効期間の3ヶ月間の不動産会社から売主への報告義務の頻度も、専属専任媒介契約よりも少し低く設定されており、2週間に1回以上の報告が義務付けられています。

    レインズへの登録は、媒介契約の締結日から7日以内に必ず行わなくてはいけません。

    一般媒介契約

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    一般媒介契約とは、複数の不動産会社に重ねて依頼することができ法令上の契約有効期間も存在しない契約です。ご自身で複数の不動産会社に仲介を依頼することができるため、レインズへの登録義務もありません。もちろん、任意で登録することは可能です。

    また、デメリットとして大きいのが、取引状況の報告義務が不動産会社側にないことから、取引状況の把握がしづらい、ということでしょう。
    もちろん、レインズに登録していれば登録状況を自らで確認することはできますが、ご自身で複数社に依頼しレインズを利用していなかった場合には、不動産会社に自ら報告を求めることになるでしょう。

    売り主が利用できるレインズ

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    2016年1月より、4つのエリアのWEBサイトから、取引状況を売主側が確認できるようになりました。「売却依頼主用の物件確認画面」にてIDとパスワードを入力すれば、ご自身の依頼した物件の情報を見ることができ、このIDとパスワードは、レインズの登録証明書に記載されており、証明書は契約した不動産会社から受取ります。

    なお、売主がネット上で確認できるのは専属専任媒介契約・専任媒介契約で契約した物件であり、2016年1月以降にレインズに登録・変更・再登録された物件です。
    一般媒介契約の物件の場合、レインズに登録していた場合にもご自身による確認はできませんので、注意しましょう。

    確認できる3つの項目と登録項目の拡充

    売主がサイト上で確認できる情報は、次のうちの3つです。

  • レインズに登録されている物件の情報
  • 登録図面
  • 現在の取引の状況
  • なお、取引状況は公開中書面による購入申込みあり売主都合で一部紹介停止中の3種類の中から不動産会社が選択し、設定します。
    「公開中」は問い合わせを現在も受け付けている状態、「書面による購入申込みあり」は不動産会社が購入申込みを受けた状態、「売主都合で一部紹介停止中」は、売主の事情によって物件の紹介を停止しており、問い合わせを受け付けていない状態ということです。

    追加された登録情報項目

    物件情報についても、中古住宅の評価等を正しく行うことを目的として、新たに登録情報項目が追加されることになりました。
    追加されたのは、物件の性能・建物検査・住宅履歴・リフォーム・空き家バンク登録の有無等の17項目。ただし、これらの登録は任意とされています。
    買主にとっては購入したい物件の性能や品質の情報が入手しやすくなりますので、追加された情報は非常に重要となりますから、成約につながりやすくなるはずです。

    取引が透明化し、囲い込み防止へ

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    「囲い込み」とは、売主から売却依頼を受けた物件を、依頼された不動産会社が自社で抱え込み、他社に紹介しないという行為のことをいいます。
    不動産会社が勝手に物件を抱え込んでしまうとどうなるかというと、もちろん売主としては買主の目に留まる機会が減ってしまうわけですから、売却に不利になってしまいます。

    仲介手数料目当ての囲い込み

    では、どうして囲い込みをしたがるのかというと、その理由は仲介手数料にあります。

    不動産会社に売却の仲介をお願いすると、売主側は不動産会社に仲介手数料を払うことになります。手数料は国で上限額が定められており、売却価格の3~5%を支払うことになります。これは購入時も同様で、不動産会社を介して住宅や土地を購入した場合も、買主側でも仲介手数料を支払う必要があるのです。

    もしも売主がA社に仲介を依頼した場合、A社は売主から仲介手数料をもらうことができます。そして、レインズから物件情報を宣伝したB社が買主を見つけ購入につながると、B社は買主から手数料をもらうことになります。
    しかし、もしも買主もA社で見つけることができていたなら…A社は売主と買主の双方から手数料をもらえることになり、ひとつの仲介で倍の利益が得られることになります。

    不動産会社はこれを狙って「囲い込み」を行おうとするのです。

    売主が状況を確認できることで改善が期待できる

    こうした問題を解決するため、売主が売却状況を確認できる仕様が追加されました。
    不動産会社に任せきりにしてしまうと、もしもほかの不動産会社から問い合わせを受けても「既に他で買い取りの相談を受けている」と嘘をついたり、売主に対しても「まだ問い合わせが来ていない」と虚偽の報告をすることが簡単にできてしまいます。
    しかし、こまめに売主が状況を確認することで、不動産会社がこうした囲い込みをしにくくなり、より売主にメリットの多い取引が期待できるようになったのです。

    不動産会社の選び方については、こちらで詳しくご紹介しています。
    不動産を売却したい!信頼できる不動産会社を選ぶには?

    まとめ

    今回は、不動産売買の際に利用する「REINS」についてご紹介いたしました。

    土地や住宅といった不動産の売買は、人生で何度も行うことではない上、決して安くない金額のやり取りをするわけですから、売主にとっても買主にとっても不安なもの。できることなら、信頼できる会社に仲介を依頼し、自分にとって得な取引をしたいですよね。

    専属専任媒介契約・専任媒介契約の場合、レインズの登録は必須ですが、中には利益を優先しレインズにわざと登録しないような不動産会社も存在します。
    会社の利益ばかりを優先するような会社では、早期の成約も、高く売れることもあまり期待できません。売主側の立場にたって仲介をしてくれる会社に依頼したいものですね。

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