建築廃材が敷地内で見つかった!ポイントは施主自身で解決しないこと?

整地された更地に不自然な盛土の痕跡が…。不審に思った施主が盛土を掘り返してみると、そこには建築廃材が埋まっていた!

近年、このような解体工事後のトラブルが数多く報告されています。ではいったい、この建築廃材の処理は誰が責任を取るのでしょう?

ここでは責任の所在が不透明な、敷地内で見つかった「建築廃材」の処理方法についてご紹介致します。

誰が責任を取るのか?建築廃材の処理を巡る問題

まず注文住宅の場合、建築廃材として一番多く発見される事例が、解体業者による建築残土です。

「建築残土」とは、他の解体現場から盛土を運んできた場合に混入されている建築廃材のことです。優良な解体業者は、この盛土に含まれる建築廃材を分別するところから始めています。

建築廃材に含まれているもの
①コンクリート塊
②アスファルト・コンクリート塊
③発生木材
④汚泥
⑤紙くず
⑥金属くず
⑦ガラスくず
⑧陶器くず

少量の建築廃材ならば敷地内で「ゴミ」として処理できますが、コンクリート片や得体の知れない金属片などが混じっている場合は、施主自身で建築廃材を処理することは絶対にしないで下さい!

実際、建築廃材を見つけてしまうと、慌ててしまい冷静な判断ができないものです。まずは不動産会社・解体業者に連絡し、建築廃材の状況証拠をしっかり残しておくことが重要です。

なぜならば、不動産売買においては瑕疵担保責任という買主(施主)に不利にならない法律が定められているからです。

「瑕疵担保責任」とは…

売買契約の目的物(宅地または建物)に、契約の締結当時に既に欠陥・キズ(隠れた瑕疵)があった場合、売主が買主に対して負う責任のこと。売主が買主に対して負う責任とは、瑕疵の修復をしたり、損害が発生した場合に損害金を支払うこと。売主が責任を負う期間は、民法では、買主が瑕疵を知ってから1年以内としている。

宅建業法では、売主が不動産会社の場合は、引き渡しの日から2年以上とする特約を除き、民法より不利な特約は結べないことになっている。

このように施主は法律によって保護されています。施主が行うべき事としては、建築廃材の現状を不動産会社に報告し、盛土の痕跡の写真などを撮っておくことです。

また、契約を交わす前に取り寄せた見積書の内容を再度見直してみることも、重要な状況証拠となります。このように、証拠となる報告事項が多いほど不動産会社との建築廃材の処理に関して、交渉がスムーズに進みます。

建築廃材の処理は行政機関ではどう判断するか?


建築廃材を発見した場合、施主は不動産会社以外に相談をする相手はないのでしょうか?仮に不動産会社との話し合いが上手くいかなかった場合には、行政機関に相談してみることをお薦めします。

中立的な立場で建築廃材の状況を判断してくれますので、そこでの相談内容を元に不動産会社に対して再度交渉をしてみることです。お互い感情的になっていた部分が、行政機関のアドバイスを取り入れることによって、交渉が好転する可能性があります。

都道府県における建築廃材の処理責任について

東京都の例

平成23年4月より、廃棄物処理法の改正が施行されたことにより、建築廃材は、工事の元請業者を排出事業者とすることが明確にされました。

これにより、元請事業者が廃棄物処理法における排出事業者として建築廃材の処理責任を負うこととなり、マニフェストの発行、処理業者との委託契約の締結などは全て元請業者が行わなければならないことが明確になりました。

 
ここで注意しなければならないのは、当事者が判明しない場合の自己負担による建築廃材の撤去・処分です。建築廃材の処理責任が明確にならなかった場合、建築廃材処理費を負担しなければならないので注意しましょう。

※環境省では都道府県ごとに専用窓口を設けていますので、参考にされてみてはいかがでしょうか?

➡ 産業廃棄物不法投棄情報受付専用窓口一覧

建築廃材のトラブルを円満解決するためには?

Q:分譲されている土地を購入しました。
先日地盤調査が終わりましたが、何ヵ所か機械が刺さらない部分(説明がうまくできずすみません)があったとのことで、コンクリートなどが埋まっている可能性があると言われました。

土地の売り主との契約では、瑕疵担保責任は引き渡しから6ヶ月となっています。

売り主へ地中の埋設物があった場合のことを確認しましたが、自然物以外のものは売り主が負担するが、石などの自然物は負担しないと言われました。

これから地盤改良の為に土地を掘り起こすため、どのような物が出てくるのか分からないのですが、例えば石でも地盤改良に妨げになるようなものは瑕疵にはならないのでしょうか?

埋設物の掘削、処分費用が追加でかかるのが不安で仕方ありません。

A:建築廃材のコンクリートの事をガラと云うますが、昔はよく地中に埋めました。

よくある話ですが鉄骨などあると厄介です。除去には数百万かかる場合もあり建築を断念する事も暫しあります。

今回は購入側で瑕疵担保責任で補償されると思いますが、逆にあなたが売却する時には逆に訴えられますので、ちゃんと除去した方が良いでしょう。

ご子孫時代に知らなかったでは済みませんし、不動産価値が下がります。もちろん一生使うなら問題はありません。

yahoo! 知恵袋

ここで、施主がやらなければいけないことは何でしょうか?

真っ先に思い浮かべるのは建築廃材の撤去だと思います。しかし、最優先にやらなければならないことがあります。それは隣地の所有者への説明です。

施主の敷地内ならまだしも、隣の敷地まで建築廃材が埋まっている訳ですから、現在の建築廃材の処理状況をしっかりと伝えることが大切です。

余計な不安や誤解を招かないためにも、隣地の所有者に対して、誠実な対応をすることがトラブルを未然に防ぐ手段です。

そして、不動産会社から「瑕疵担保責任に該当する」と了解が得られれば、全額費用負担で建築廃材の撤去工事を行ってもらいましょう。

建築廃材対策のポイントは2つ!「書面の事前確認」と「負担金額の確保」

①トラブルが生じた場合の対応策を確認すること。

「もし、地中に建築廃材があり、撤去するのに多額の費用がかかったら、瑕疵担保責任に該当しますか?」 「契約時と異なった状況になった場合の保証を明確にしてください」など、確認項目を事前にチェックしておくことです。

そして、やり取りは書面に残しておきましょう。後々、施主と不動産会社が揉めないようにするために重要なことです。

②建築廃材等が発見された場合に不動産会社は誠実にしてくれるか?

もし、金銭で建築廃材のトラブルを解決するとなった場合、不動産会社側に支払い能力があるかどうかです。いくら「瑕疵担保責任」に該当するといっても、金銭を負担する不動産会社側が了承しなければ、話は先に進みません。

最悪の場合、法定で争うことになります。瑕疵担保責任に該当するとしても、支払い能力がなければ建築廃材の撤去さえもができないのです。

建築廃材についてのまとめ

建築廃材のトラブルは解体業者・不動産会社側に責任があります。しかし、敷地内で建築廃材が見つかった以上、所有者は放置しておくわけにはいきません。

建築廃材の危険性、健康面などの不安を考えた場合、最終的に撤去しなければならないのです。まず大切なことは近隣住民に事情を説明し、トラブルが発生しないよう心掛けることです。

また、建築廃材処理については慌てずに売主・行政等に相談し、施主自身で解決しようとしないことです。「早く建築廃材を撤去したい」という気持ちは分かりますが、不安・疑問が解消されるまではじっくり応対することが大切です。

ご不明な点は「あんしん解体業者認定協会」へ

2 Comments

山口りん

初めまして、よろしくお願いいたします。
建て替えのため、解体をしていましたら、昨日ガラが出てきたので、今日立ち合いで実証検分しました。結果たくさんのコンクリートへんが出てきました。
500ミリの深さと言われ、建物がたつところだけガラを取り除くことにしまして、4トン車6~7台分のゴミとして100万くらいかかると言われました。作業代金は別のようです。この金額は妥当でしょうか?もしくは他のやり方はあるでしょうか?市に相談、又はハウスメーカーで撤去を頼もうかとも考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

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アバター画像 市川善勝

コメント拝見いたしました。
地域ごとに金額の変動はありますが、4トン車6~7台分のコンクリートガラ(作業代金は別)で100万円は高いですね。
おっしゃる通り市役所やハウスメーカーに確認・相談していただくのをオススメいたします。
ご自身で確認なさる場合は、マニフェスト票のコピーを施工業者から取得して下さい。

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