解体工事が割高になる中間マージンが発生する依頼先とは?

建設業界や解体業界は多重の下請け構造になっているため、業者さんに直接頼むことができれば中間マージンをカットすることができます。

しかも直接下請け業者に頼まなかった場合の工事に比べて20〜30%ほど費用が割安になるとも言われており、数ある費用節約方法の中で最も金額を抑えられる可能性を秘めた方法です。

ですが、「どうやって直接頼めばいいの?」「安くなる代わりにデメリットもあるのでは?」等々、不安に思う点も生まれるかもしれません。

本記事では、解体工事を直接業者に依頼するための方法を解説します。

建物の解体工事はどんなところに依頼できる?

建て替え・空き家対策・更地にした後の土地売却や駐車場経営等……建物の撤去工事が必要になるタイミングはなんとなく分かりますよね。でも、どういうところに頼んだらいいのでしょうか?

そんなとき皆さんは、まずハウスメーカーや地元の工務店、建築事務所などが思い浮かぶでしょうか。確かにこれらの会社に頼むことは可能ですし、実際頼んでいる人も多いです。

なんでも請け負ってくれるイメージがありますし、知名度もあって依頼する側からは安心感がありますよね。

ですが、解体工事は直接専門の解体業者にも頼めるということをご存知でしょうか。

これは例えるなら、皆さんが旅行に行く時に航空チケットやホテルの手配を旅行代理店に頼まず、自分で直接最安値のチケットや滞在プランを探すようなもの。

今は解体工事も旅行と同様に、中間業者を通さずに直接インターネットで業者を探すことが可能な時代です。

依頼先によって発生する中間マージン

解体工事をハウスメーカーや工務店などに依頼した場合、実際の解体工事は自社では行わず、下請け業者や協力会社に委託されて行われることとなります。

この委託の際にはハウスメーカー等の取り分である”中間マージン”というものが発生し、解体業者に直接依頼する場合より費用が2〜3割高くなるという現象が起きます。

この上乗せされる料金は、解体業者の仲介料や管理料、いざというときのためのトラブル対応費などとして保険のような安心料に近いもので、依頼主であるあなたが負担することとなるのです。

納品が更地である解体工事で中間マージン分の付加価値を見いだせるか?

一般的に「建てる」ことであれば、デザインや部材の質・耐震性など、こだわりたい部分がたくさんあって、多少高くても自分の欲求を満たしてくれる住宅メーカーの方を選ぶこともあるかもしれません。

ですが、逆の「毀し(こわし)」で建物がなくなってしまう解体工事についてはどうでしょうか。解体工事では「その土地を更地にする」というゴールはどの解体業者でも同じなので、できれば安い方を選びたいというのが心情ではないでしょうか。

自分で解体業者に直接依頼することができる時代で、2~3割の中間マージンに見合う納得や安心が得られるかどうか、まずは考えてみてください。

※ただし、解体工事でも解体にかかる費用や整地(更地の地面をならすこと)の綺麗さ、ゴミが残っているかどうか、工事中に近隣への配慮が行き届いていたか等の出来映えの差は多く存在します。

解体工事費中間マージンカット

解体工事だけ別会社に頼むことなんてできるの?

ズバリ「解体工事」と「外溝工事」であれば、専門業者に直接頼むことが可能です。この建て替え工事を行う業者とは別の業者に工事を頼むことを”分離発注”といいます。

外溝工事はフェンスやカーポート・造園植栽などの建物周辺の工事のことです。新築のときでも外溝工事であれば、住宅メーカーに一括発注せずに分離発注することで、割安に済ませられるケースがあります。

ハウスメーカー等への一括発注のメリット

一般的に、ハウスメーカー等に一括発注をして住宅の建て替えなどを行う場合、様々な業者が加わり、それぞれの専門業者のコラボレーションによって工事が進められていきます。

解体工事、外溝工事、木工、内装、左官、塗装、ガス・水道・電気設備等の各種業務や専門業者をハウスメーカー等が一元管理することで、依頼主であるあなたの負担を軽減するというメリットをもたらしているのです。

そういった一元管理等にかかる費用の対価として、あなたが解体業者へ直接依頼する場合より2〜3割ほど高くなるという費用構造になっています。

分離発注のメリット

建築工事については、それぞれの工程を別々に分離発注するということは非現実的ですが、「解体工事」と「外溝工事」については、分離発注で専門業者に直接頼むことが可能です。この場合、中間マージンをカットすることができ、建物の解体費用を2〜3割安く済ませられるでしょう。

分離発注のデメリット

直接解体業者に依頼する場合、中間マージンがないというメリットを得るのはあなたです。ですので、ある程度自己責任や手間も発生するということは認識しておく必要があります。

例えば、次のようなことは自分でやる必要があります。

  • 解体業者を探して見積りを依頼する
  • 見積りの際の現地調査に立ち会う
  • 解体業者との契約の締結
  • 工事終了後の現場の確認
  • 解体業者へ料金を支払う際の手続き

……などなど。

「え!こんなに自分で作業をしなきゃいけないの!?」

「やったことないし、とても不安。やっぱりハウスメーカーとかに一括して任せた方がいいのでは?」

と思われる方もいるかもしれません。

ですが実際、官公庁や公団などではほとんどの解体工事が分離発注されていますし、民間でも不動産会社などで積極的に分離発注を行ってコストダウンをしている例はたくさんあるのです。

2〜3割の中間マージンを施工管理の妥当な対価と考え一括して依頼するかどうかは、あなたの価値観次第。

自分で行う分の手間を惜しまなければ、建物の解体は専門の解体業者に直接依頼した方が断然お得といえるでしょう。

まずは見積りを無料の範囲で取得してみる

仮に考えてみましょう。

3社ほど解体専門業者に相見積りを依頼して、現場調査の立ち会いまで行った場合の所要時間は数時間程と仮定できます。

その数時間の作業で数十万円ほどが節約できたのなら、普段自分が使えるお金と照らし合わせてみてどれ程のメリットとなるでしょうか。

私だったら、とりあえず無料の見積りを複数の業者さんからとってみて、不安なところがあれば業者に相談しながら比較してみたいと考えます。

相談しながら相見積りをとるのは、価格の比較のためだけでなく、複数の業者と話してみることで自分の理解が深まり不安も解消されてゆき、なおかつ自分に合った業者を見極めやすくなるというメリットがあるからです。

解体工事の依頼の際にで抱える不安は「経験がなく、自分が詳しくないものごと」に対して湧いてくるものが多いため、業者さんとの話を通して知識がついてくれば解消できるものがほとんどです。

「手続きの手間を掛けたくない」「不安だから専門の人に全て任せたい」といった気持ちでハウスメーカー等に一括して任せるかどうかはあなた次第です。

先程挙げた旅行で例えるなら、旅行代理店に一括してすべてを手配してもらえる方が楽でいいと思うのであれば分離発注は向いていませんし、逆に旅行代理店に任せていた業務の一部を自分でやるかわりにホテルをアップグレードできたら嬉しいと感じる人であれば、とてもおすすめです。

解体工事の分離発注を申し出てメーカーに断られることはあるか?

中には「自分にできるか?」「ハウスメーカーに一括で任せたほうが安心では?」「メーカーとの関係が悪くなったらどうするの?」といった不安を持つ方もいるかもしれません。

ですが、解体工事を頼まなかったからといってハウスメーカー等との関係が悪くなることはありませんし、工期にもほとんど影響はありません。

ハウスメーカー等に建て替え工事等の見積りの段階で分離発注する意向を伝えておけば、解体工事後の建築工程もスムーズに引き継ぎをすることができるはずです。

もしハウスメーカー等に分離発注を申し出て難色を示すようであれば、一定の利潤を確保しておきたいから削れないといった意図もあるかもしれません。

また、分離発注を相談した際にハウスメーカー等から「解体工事で発生するトラブルに対しても一貫して責任を全うできる」「特に解体工事は騒音や埃などでご近所からクレームが来る可能性が高い」「解体時に発生する廃棄物の処理に対して不法投棄などが行われないよう自社の管理下においておけば安心」といったメリットを説明されるかもしれません。

確かにそれも一理ありますが、分離発注でも実績のある優良な解体業者であれば、そういったトラブルが発生しないよう、工事前のご近所への挨拶周りから最後の整地まで円滑に作業を進めてくれることでしょう。

滅失登記も自分ですれば3〜5万円の節約が可能

滅失登記はあまり聞き覚えのない言葉かもしれませんが、これは解体工事完了後に法務局で登記する必要がある手続きのことです。

通常、ハウスメーカー等が斡旋する司法書士や土地家屋調査士に依頼してしまうことも多いですが、この手続きも自分ですることで3万円~5万円程度の費用を節約することが可能になります。

行政手続きなので法務局で詳しく教えてもらえますし、郵送対応も可能となっているので、必ずしも専門家に頼む必要はありません。

解体工事の中間マージンについてのまとめ

解体工事で最も費用を抑えられる方法は、中間マージンの削減です。中間マージンとは、ハウスメーカー等が自社で行えない工事を下請けなどの別会社に委託する際、工事費用に上乗せされる手数料を指します。

この手数料が上乗せされることで直接依頼した場合に比べて解体費用が2〜3割ほど高くなりますが、施工管理等の妥当な対価として見るかどうかはあなたの価値観次第です。

自分で作業をする手間は発生するものの、節約した数十万円を新居の家具購入費などに回した方がいいと考える人には、撤去工事を専門業者に依頼する分離発注が向いているといえるでしょう。

また、直接解体業者に工事を依頼する際には、実績があって安心して任せられるような業者選びも大切ですので、覚えておきましょう。

今は、インターネットで直接解体業者を探したり比較したりすることが可能な時代です。

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