解体工事は、お家に残る家財道具などをすべて撤去・処分するところから始まります。
ただ、それまで生活していたお家を片付けるのはとっても大変!「家財の処分も解体業者さんにお願いできないかな?」と考えてしまいますね。しかし、片付けの段階から解体業者さんにお願いしてしまうと、費用が20~30万円以上、余分にかかってしまう場合もあります。
この記事では、解体前の片付け費用はどれくらいかかるのか、また、解体費用を抑えるために事前に捨てておくべきものについてご紹介します。
もくじ
解体前の片付けは、解体業者さんに頼むと高い!
解体工事の際、家財道具の処分も含めて依頼されるお客様は多くいらっしゃいます。しかし、一般家庭で「燃やせるごみ」として無料または袋代のみで処分できる家財も、解体業者さんが処分しようとすると高額になってしまいます。
なぜ解体業者さんに頼むと高い?
ごみ(廃棄物)には、大きく分けると「一般廃棄物」と「産業廃棄物」があります。解体工事で出た廃材などは産業廃棄物として扱われ、一般廃棄物に比べて処理費用はとても高額です。
さらに産業廃棄物は、いろいろな材質のごみが混ざっていると混合廃棄物として扱われ、処理費用がより高額になってしまいます。
参考に、ある廃棄物処理場の料金表を見てみましょう。
廃棄品名 | 処理料金/m3 | 参考 |
---|---|---|
解体系下ゴミ | 25,000円~ | 解体工事で出た混合廃棄物 |
木くず | 5,000円~ | 再生木くずのみ積載 |
10,000円~ | 他廃棄物との混載等 | |
石膏ボード | 12,000円~ | リサイクル可能品 |
25,000円~ | リサイクル不可能品(雨濡れ、汚れあり等) | |
瓦 | 15,000円~ | アスベストを含んでいないもの |
がれき類および ガラス陶磁器くず | 22,000円~ |
(参考:晴栄運送HPより)
混合廃棄物やリサイクルできない廃棄物の処理費用は、その他のものに比べてとても高額ですね。家財道具を一切合切トラックに積み込んで産業廃棄物として処理すると、混合廃棄物扱いになってしまいます。
一方、木片などのリサイクルできる廃材は処理費用が安価です。そのため解体業者さんは、徹底して分別解体を行い、廃材の種類ごとに処理場へ運ぶようにしています。
ただ、解体業者さんの中には「一般廃棄物収集運搬業の許可」を持っている業者さんがいます。一般廃棄物収集運搬業の許可を持っている業者さんであれば、家財道具を一般廃棄物として処理できるので、処理費用がかなり抑えられます。
参考に、一般廃棄物収集運搬業の許可を持っている解体業者さんが、家財道具の処分も含めて解体工事を行った際の事例を見てみましょう。
実際の事例を見てみよう
事例1 千葉県千葉市 木造2階建て家屋(約28坪)
解体前のお家(手前)です
総工事費(税込)170万円
室内に残る家財道具(室内残置物)の写真も見てみましょう。
工事前、現場状況を確認するために撮られた写真です。かなり片付けてから工事を依頼されたようです
トラックの荷台に室内残置物を積み込んでいるようすです
見積書から「室内残置物」の項目だけ抜き出してみましょう。
名称 | 仕様 | 数量 | 呼称 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|---|
室内残置物 撤去処分 | 一般廃棄物 分別・積込・処分共 | 2 | 台 | 60,000 | 120,000 |
室内残置物の処分費(積込・運搬費込み)は、4トントラック2台分で12万円かかっていました。
以下でもう一件、事例を見てみましょう。
事例2 千葉県千葉市 木造2階建て住居(16.5坪)
総工事費(税込)120万円
室内残置物の写真と見積り金額を見てみましょう。
名称 | 仕様 | 数量 | 呼称 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|---|
室内残置物 撤去処分 | 生活残渣、食品、衣類等 | 4 | 台 | 60,000 | 240,000 |
事例2のお家は、写真に写っている範囲だけでも室内残置物がたくさんありますね。4トントラック4台分、24万円で見積られています。
以上の事例では、室内残置物が一般廃棄物として処理されたので、比較的安く済んでいますが、それでも10万円以上かかっていますね。粗大ごみなど、手間がかかるもの以外のものだけでも捨てておくと、より安く済みます。
もし、解体業者さんに室内残置物の処分も込みで解体工事をお願いするなら、一般廃棄物収集運搬業の許可を持っている業者さんを選びましょう。
片付けを依頼できる業者さんといえば?
解体前の片付けを、解体業者さんではなく、他の業者さんにお願いする手もあります。うまく活用できれば、解体工事まで一括で依頼するよりも安く済ませられるかもしれません。
以下で各業者さんの特徴を見ていきましょう。
不用品回収業者・便利屋さん
(引用:株式会社スマップHPトップより)
特徴
不用品回収業者さんや便利屋さんは、タンス1個など、少量から一軒まるごとの不用品を回収してくれます。トラック積み放題サービスをやっている業者さんや、家財道具のリサイクルをやっている業者さんにお願いできれば、比較的安く済む場合があります。
ただし、液体が残っているものなど、回収してもらえないものもあるので、回収後にある程度は自分で片付ける必要があります。
目安の金額例
15,000~29,000円
(参考:くらしのマーケットHP、株式会社スマップHPより)
37,000~60,000円
(参考:くらしのマーケットHP、パワーセラーHPより)
遺品整理業者さん
(引用:NICObit HPトップより)
特徴
遺品整理を専門に行っている業者さんは、遺された家族に代わって真心こめた片付けをしてくれます。例えば、故人が大切に保管していたアルバムや手紙など、他人が見れば不用品と思われるものでも丁寧に扱い、業者さんによっては遺品の供養もしてくれます。
また、孤独死の現場など、部屋に汚れや臭いが酷く残っている場合、遺品整理業者さんは特殊清掃まで請け負っているところが多いので安心です。
目安の金額例
15万円~40万円
(参考:みんなの遺品整理HPより)
ゴミ屋敷専門片付け業者さん
(引用:こころテラスHPトップより)
特徴
ゴミ屋敷のごみの量は凄まじく、生ごみや液体物があまりに多い場合など、他の業者さんでは断られてしまうケースもあります。そのため近頃は「ゴミ屋敷専門」で片付けを請け負う業者さんが増えています。
ゴミ屋敷専門業者さんも特殊清掃を受け付けているところが多いです。
目安の金額例
約32万円、約40万円、42万円など
(参考:こころテラスHP『実績紹介』より)
どこの業者さんも、お家を丸ごと片付ける場合は、見積りをしてからでないと正確な片付け費用はわかりません。よく検討した後、思い切って見積り依頼をしてみましょう。
片付け費用を抑えるために捨てておくべきもの
ここからは、解体業者さんにお家の片付け込みで解体工事を依頼するとして、処分しておくと費用がぐっと抑えられるものをご紹介します。
生活雑貨
タンスやクロゼット、本棚や食器棚の中身は極力捨てておきましょう。
特に捨てておくとよいもの
- 布団、衣類などの布製品
- 食器、花瓶などの陶器類
- 書籍、雑誌など
以上の項目は、解体業者さんが処分しようとすると特に高くついてしまうものです。
一方、木製の収納棚や鉄製の棚などは、解体業者さんによってはサービスで解体・処分してくれる場合もあります。家屋解体をしている業者さんにとって、家具の解体はお手のものですし、廃木材はリサイクル、鉄製品は有価物として買取業者さんに引き取ってもらうため、格安で処分できるからです。
タンスや棚の撤去ができない…とお悩みでしたら、解体工事の見積り時などに、解体業者さんに相談してみましょう。
リサイクル家電
リサイクル家電は、解体業者さんによってはリサイクル料金と運搬費だけで引き取ってくれる場合もありますが、回収していない場合もあるため、ご自身で処理の手配をしておくとよいでしょう。
リサイクル家電4品目
- エアコン
- テレビ
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
以上のリサイクル家電は、粗大ごみには出せません。
どうやって回収してもらう?
リサイクル家電を回収してもらうには、次のような方法があります。
- 家電小売店に引き取りを依頼する
- 指定引取場所に持ち込む
- 市区町村に問い合わせ、回収しに来てもらう
買い替えの場合や、家電を購入した店が分かる場合は、お店に引き取りを依頼しましょう。もし小売店に引き取ってもらうのが困難な場合は、指定引取場所に直接持ち込む方法もあります。
全国の指定引取場所は以下のページでご確認ください。
参考 指定引取場所のご案内指定引取場所のご案内また、リサイクル料金に加え運搬費がかかりますが、市区町村がリサイクル家電を回収してくれる場合もあります。各地域によって受付先が異なりますので、回収に来てもらいたい場合は市区町村に問い合わせましょう。
(例えば、東京23区では「東京二十三区家電リサイクル事業協同組合」がリサイクル家電を回収しています)
いくらかかる?
各リサイクル家電のリサイクル料金を見てみましょう。
品名 | リサイクル料金 |
---|---|
エアコン | 1,404~9,720円 |
テレビ | 1,836~3,688円 |
冷蔵庫 冷凍庫 | 3,672~6,037円 |
洗濯機 衣類乾燥機 | 2,484~3,310円 |
(参考:福岡市東区HPより)
リサイクル料金は、家電の大きさや性能、製造メーカーごとに異なります。以下のページではメーカー名でリサイクル料金を検索できますので、ぜひご覧ください。
参考 家電リサイクル料金一覧 | RKC 一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センター家電リサイクル料金一覧 | RKC 一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センターまとめ
解体工事を前にして、お家の片付けに取り掛かろうにも、家財道具で溢れた室内を見ると途方に暮れてしまいますね。
心も体も疲れ切ってしまわないように、業者さんに片付けを依頼するのは、多少お金がかかっても有益だと言えます。
解体工事の見積りは、家財道具の処分費も込みで工事金額を見積れます。見積り金額を確認してから片付けを考えてもいいかもしれません。
私たち、あんしん解体業者認定協会は、全国の優良解体業者さんをみなさまにご紹介するサービス、解体無料見積ガイドを運営しています。解体前の片付けに関するアドバイスなどもお任せください。専任スタッフが親身になって対応いたします。
まずはご相談だけでも、お気軽にお問い合わせくださいね。