解体工事を行うにあたり、多くの方が悩まれること。
それは、「不用品の処分はどうしたらいいのか?」という問題です。
「解体工事の前に、不用品は自分たちでキレイに片付けたい」「相続した住宅がごみ屋敷状態で、とても手を付けられない」
このように、解体工事をされる方々の想いや境遇はさまざま。
そこで本記事では、解体工事における不用品の処分について詳しく解説していきます。
解体工事の不用品処分についてお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。
不用品処分は依頼する?自分でやる?
不用品処分は、解体業者にお任せもできますが、自分で処分することもできます。まずは、解体業者にお任せしたケースを見ていきましょう。
不用品処分は解体業者に任せられるの?
家具などの不用品は、一般的に工事業者に処分を依頼することが可能です。ただし、解体業者によっては、「特定の不用品のみ」施主に処分をお願いするケースもあります。
そのため「室内に家具などの不用品がたくさんあるけど、忙しくて自分で処分できない」という場合は、念のため取り壊し工事を依頼する業者に、事前に処分を全てお願い出来るか聞いておきましょう。
解体業者に処分を任せることは出来ますが、ご自身で処分するのと解体業者が仕事として処分するのとでは処分方法が変わります。解体業者に任せた場合、処分費用が大きく変わることは注意しておきましょう。
処分費用が変わる理由
同じごみでも、どの立場で処分するかによって処分費用が異なります。住宅を壊して出る廃材等のごみは産業廃棄物として処分が出来ますが、家具や家電等の不用品に関しては産業廃棄物として処理が出来ません。
また、家庭ごみをご自身で処分する場合と、業者が仕事として回収する場合では、処分の過程が異なるため、業者に処分を依頼すると却って費用が高くなるケースも。
そのため、処分費用を抑えるためにはできるだけ自分で処分することをおすすめします。
処分する時期を検討しよう
家具等の不用品処分をご自身で行う場合は、工事の前までに処分できるよう前もって予定を立てておきましょう。資源ごみは毎週回収されますが、粗大ごみやリサイクル家電の処分には、時期によって2~3週間以上回収までに時間がかかることもあります。
2月〜4月の引っ越しが多い時期や大掃除を行う12月などは、通常より回収に時間がかかる事が多い期間です。「処分が間に合わなかった」という事がないよう、しっかり予定を立てて自治体や業者に依頼しましょう。
解体業者に不用品処分を一任する
解体工事前の不用品の処分は、解体業者にもお任せすることが可能です。
解体業者に処分をおまかせするメリット・デメリット
解体業者に処分をお任せするメリット・デメリットは、下記の通りです。
- 【メリット】分別や運搬に手間ひまがかからない
- 【デメリット1】解体工事の見積りに、不用品の処分費が加算される
- 【デメリット2】家庭ごみが産業廃棄物扱いになるため、自分で処分するより割高になる
解体業者の「収集運搬許可」を確認しよう
解体業者が産業廃棄物を収集・運搬するためには「収集運搬許可」という資格が必要になります。しかし、解体業者の中に収集運搬許可を保有していない業者が存在し、産業廃棄物の収集・運搬を他者に外注するケースがあります。
その場合、業者間に発生する中間マージンが見積り金額に上乗せされるため、解体業者を選ぶ際は「収集運搬許可を保有しているかどうか」を確認することをおすすめします。
処分費用の見積りを解体業者に依頼する
不用品の処分を解体業者に依頼すれば、当然ながら自分で分別や運搬をする手間ひまが発生しません。
しかし、解体業者が不用品を処分すれば、処分にかかった費用が解体工事の見積り金額に加算されます。
また、家庭ごみはご自身で処分した場合「一般廃棄物」の扱いであるため処分費がかかりませんが、工事業者が処分した家庭ごみは「産業廃棄物」の扱いとなり、処分費が発生します。
住宅を解体した際に発生する木材・金属・プラスチックなどの廃材は、産業廃棄物として解体業者が適切に収集・運搬を行います。この時、解体業者によっては依頼主の負担を減らすため、不用品の一部(木製のタンスや食器棚など)を廃材と一緒に無料もしくは低い金額で処理してくれるケースがあるようです。ただし、こういったサービスを行っているかどうかは解体業者によって異なります。気になる方は、事前に解体業者に問い合わせをしましょう。
解体業者による不用品処分の見積り事例
不用品の量や種類はご家庭ごとに異なるため、不用品の処分費は一概にいくらと言い切れません。また、解体業者によって費用の算出方法や単位も異なります。
とはいえ、解体工事を行った人が不用品の処分にいくら支払っているのか、気になるところですよね。
そこで、当協会を介して実際に行われた解体工事の見積り事例をご紹介いたします。
不用品の処分にどのくらいの費用を支払っている事例があるのか、こちらをぜひ参考になさってください。
なお、「数量」や「単価」は、解体する物件ごとに異なります。
解体工事の見積書には、様々な費用項目が記載されています。その中で、不用品の処分にかかる費用については「室内残置物撤去費(または残置物撤去費)」などと表記されることが多いです。
【見積り事例1】立米(m³)で算出されるケース
下記の見積りは、処分した不用品の量(m³)で処分費を算出した事例です。
こちらの解体業者では、処分する不用品の単価を1m³あたり8,000円と定めており、実際の解体工事では28m³の不用品を処分したため、室内残置物撤去費として224,000円が発生しています。
建物の種類/構造 | 木造住宅2階建て |
---|---|
坪数 | 30坪 |
建物解体費用 | 80万7,300円 |
総額 | 150万円 |
品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|
木造住宅27坪2階建て | 30 | 坪 | 26,910 | 807,300円 |
CB倉庫1階建て | 11 | 坪 | 15,273 | 168,000円 |
養生費 | 210 | m² | 800 | 168,000円 |
植木・植栽撤去 | 3 | 台 | 28,000 | 84,000円 |
室内残置物撤去 | 28 | m³ | 8,000 | 224,000円 |
ブロック塀撤去 | 1 | 式 | 0円 | |
諸経費 | 0円 | |||
値引き | -67,404円 | |||
小計 | 1,383,896円 | |||
消費税 | 116,104円 | |||
合計金額 | 1,500,000円 |
【見積り事例2】車両台数で算出されるケース
下記の見積りは、不用品の収集・運搬に使用した車両の数(台)で処分費を算出した事例です。
こちらの解体業者では、処分する不用品の単価を車両一台あたり35,000円と定めており、実際の解体工事では車両10台ぶんの不用品を処分したため、室内残置物撤去費として350,000円が発生しています。
建物の種類/構造 | 木造住宅2階建て |
---|---|
坪数 | 30坪 |
建物解体費用 | 112万5,895円 |
総額 | 221万4,000円 |
品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|
木造住宅2階建て | 30 | 坪 | 37,530 | 1,125,895円 |
CB倉庫1階建て | 11 | 坪 | 19,741 | 217,152円 |
養生費 | 286 | m² | 600 | 171,612円 |
土間コンクリート撤去 | 19 | m² | 1,168 | 22,200円 |
ブロック塀撤去 | 1 | 式 | 70,560円 | |
植木・植栽撤去 | 2 | 台 | 35,000 | 70,000円 |
門扉撤去 | 1 | 箇所 | 10,000円 | |
室内残置物撤去 | 10 | 台 | 35,000 | 350,000円 |
諸経費 | 20,000円 | |||
値引き | -7,419円 | |||
小計 | 2,050,000円 | |||
消費税 | 164,000円 | |||
合計金額 | 2,214,000円 |
【見積り事例3】一式で算出されるケース
下記の見積りは、不用品の処分費を「一式」で算出した事例です。
こちらの解体業者のように、細かい測量は行わず、処分した不用品を全てまとめて「一式」として扱うケースもあります。
建物の種類/構造 | 木造住宅2階建て |
---|---|
坪数 | 25坪 |
建物解体費用 | 84万5,500円 |
総額 | 126万3,600円 |
品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|
木造住宅2階建て | 25 | 坪 | 33,820 | 845,500円 |
養生費 | 1 | 式 | 100,000円 | |
植木・植栽撤去 | 1 | 式 | 35,000円 | |
室内残置物撤去 | 1 | 式 | 165,000円 | |
諸経費 | 25,000円 | |||
値引き | -500円 | |||
小計 | 1,170,000円 | |||
消費税 | 93,600円 | |||
合計金額 | 1,263,600円 |
不用品の処分費用を低く抑える方法
解体工事にはまとまった費用が必要になるため、処分費用はできるだけ低く抑えたいですよね。処分費用は一括で業者に任せる場合と、ご自身で分別して処分するのでは大きく処分費用が異なります。
しかし、不用品が多いと全てをご自身で処分するのも大変です。この項目では、ご自身で処分した方が費用を抑えられる不用品と、業者に任せた方が良い不用品をご紹介します。
自分で処分した方が費用を低く抑えられる不用品
ご自身で処分した方が費用が低く抑えられるものが、下記の不用品です。
- 紙、布製品(カーペット・カーテン・洋服など)
- 陶器(食器などの陶器製品)
- リサイクル家電(エアコン・テレビ・洗濯機・冷凍、冷蔵庫)
- 食品、台所用品
生ごみ等の食品類や紙製品は、資源ごみとして回収できる範囲なら殆ど無料で回収してもらえます。しかし、業者に処分を頼むと産業廃棄物として区分されるため、処分費用がかえって高くなってしまいます。
紙・陶器・食品・台所用品に関しては、分別を行い自治体ごとの回収日に合わせて処分しましょう。布とリサイクル家電の処分方法に関しては、「不用品の処分方法」の章をご参考ください。
業者に処分を依頼した方が良い不用品
業者に処分を依頼した方が良い不用品は下記の通りです。
- 木製家具(箪笥や机など)
- プラスチック製品
- 鉄製品、金属製品
木製家具・プラスチック製品・金属製品に関しては、工事業者に処分を依頼した方が、処分費用が低く抑えられる不用品です。業者からスクラップ業者に直接処分を依頼しやすいので、低い費用で処分することが可能なのです。
木製のタンスやスチール棚などの家具は、ご自身でごみ処理場まで持っていくのは労力ですし、大きさによって数千円の処分費用がかかります。
家具の種類や素材によっては工事業者が無料で処分してくれるケースもあるため、見積り時に業者にどの位の処分費用が掛かるか確認してみましょう。
自分で捨てる場合の不用品の適切な処分方法
自分で処分すると言っても、不用品ごとに処分の方法が違うので、処分方法を迷うものも多いですよね。
ここでは、不用品の適切な処分方法をご紹介します。
リサイクル家電の処分方法
リサイクル家電は粗大ごみとして地域で回収が出来ない不用品です。粗大ごみとして回収出来ないものは、「テレビ・エアコン・洗濯機・冷蔵庫」の4品とパソコンです。
これらは解体業者によっては、施主に処分の連絡をお願いするケースもあります。リサイクル家電の処分方法は、次の2つの方法があります。
- 家電量販店に処分を依頼する
- 自治体又は家電リサイクルセンターに確認する
家電リサイクル法により、「テレビ・エアコン・洗濯機・冷蔵庫」の4つの家電は決まった処分が必要な家電です。
家電を購入した・又は新しく家電を購入する家電量販店か、購入した家電量販店がわからず東京にお住まいの場合は、家電受付リサイクルセンターに連絡します。他の地域の場合は市町村によっても処分が異なるため、お住まいの地域のホームページにリサイクル家電対応の記載があることが多いです。
また「家電量販店名 リサイクル家電」で検索すると、処分費用や申し込み方法が見つかりやすいです。家電量販店が近くにない場合は、お住まいの自治体に確認してみましょう。
2001年4月より施工された法律です。特定家庭用機器再商品化法という法律があり、これが一般的に家電リサイクル法と呼ばれています。環境汚染を防ぐため、「リサイクル」がどんどん必要とされる時代であることから制定されました。
パソコンの処分方法
パソコンは家電量販店かメーカーごとに回収を依頼しましょう。お近くの家電量販店での処分が難しい場合、「パソコン3R推進協会」という社団法人が全てのメーカーの処分依頼を受けつけています。
パソコン3R推進協会での回収が主ですが、一部の地域ではパソコンの回収も行っています。パソコン3R推進協会のホームページでは、ご自身の地域で回収が出来るかや、出来ない場合はどう処分するかを知ることが出来ます。
家具の処分方法
木製家具は、工事業者に処分を依頼した方が、費用を低く抑えられる不用品です。解体業者に依頼する以外には、以下の方法で処分することが出来ます。
- リサイクルショップでの買い取り
- アプリやオークションでの販売
- 買い替えによる引き取り
- 引っ越し業者による回収
- 自治体へ回収を依頼する
- 回収業者へ処分を依頼する
オークションなどの販売は、相手への配送日程が工事前に終わるよう調整が必要です。また、回収業者によっては悪質な業者も存在するので、トラブルに巻き込まれないよう注意しましょう。
カーペット・布団の捨て方
カーペットは大きさや素材によって、「可燃ごみ・不燃ごみ・粗大ごみ」として処分が分かれます。自治体によって処分の基準は異なりますが、小さい物でイ草や麻100%の素材は可燃ごみ・小さいサイズでアクリルなどの合成繊維は不燃ごみ、通常の大きさのカーペットは粗大ごみという扱いが多いようです。
布団は粗大ごみとして処分する地域が殆どです。ただし、ごみの回収は自治体ごとで違いがあるので、「カーペット お住まいの地区名 粗大ごみ」や「お住まいの地域 ごみ 回収」等と検索して、素材と大きさによって、お住まいの地域ではどんなごみの扱いになるのか調べておきましょう。
粗大ごみの処分方法
粗大ごみって、いざ捨てようと思っても処分方法が難しいですよね。ここでは、一般的な粗大ごみの出し方を見ていきましょう。
- 電話かインターネットで粗大ごみの回収を申し込む
- 指定された金額のごみ処理券を購入する
- ごみ処理券に必要事項を記入して指定の時間までにごみを出す
粗大ごみはこのように連絡して回収に来てもらう為、日時の指定が出来ず回収までに時間がかかります。解体工事前に回収が終わるよう早めに連絡をしておくと安心ですね。
地域によって処分費用や、何が粗大ごみになるかも変わります。そのため「お住まいの地域 粗大ごみ」と検索して、お住まいの地域の処分費用と方法を事前にご確認下さい。
失敗を防ぐ!不用品処分における注意点
家具を含めた不用品の処分方法は、次の4つが挙げられます。
- 解体業者に処分を依頼する
- 自治体に回収してもらう
- リサイクルショップに買い取りしてもらう
- 不用品回収業者に引き取ってもらう
処分を依頼した後に困ることの無いよう、次は、処分方法に関する注意点を見ていきましょう。
不用品処分の時期と金額に関する注意点
「解体業者・自治体・リサイクルショップ」での処分に関しては、時期と金額に関しての注意が必要です。解体業者に関しては、ごみの種類によって処分費用が高額になります。解体業者に任せる場合、分別をしっかり行うことで、処分費用を低く抑えることができます。
自治体に依頼する場合は、回収までの期間がかかるため、解体工事が始まる前に回収できるよう時期に注意が必要です。
また、リサイクルショップへの持ち込みは、労力がいるため、つい後回しになってしまいがちです。いかなる処分方法でも、時間に余裕を持って行うよう心がけましょう。
悪徳回収業者に注意
不用品が室内にたくさんあると、分別するのも運ぶのも大変なので、不用品回収業者に全て依頼したくなりますよね。
優良な不用品回収業者もいらっしゃいますが、残念ながら中には悪質な回収業者も存在します。お金が手に入るどころか、後になって高額な回収費用を請求される被害も発生しています。
また、無料で引き取って貰って安心していたら、「回収業者が不法投棄していて犯罪に巻き込まれてしまった」というケースも。
無料回収する業者は選ばず、事前に見積りをとって回収費用を確認するよう注意しましょう。
不用品を第三者に譲る方法
不用品を自分で処分する場合、まだ使用できるものは第三者に譲ることもできます。
代表的な方法は、「フリマアプリ」「リサイクルショップ」「掲示板アプリ」です。
フリマアプリに出品する
不用品は「メルカリ」「ラクマ」などのフリマアプリ出品することがおすすめです。
自分の好きな金額に出品金額を設定できるメリットがありますが、送料が発生するため大型の家具・家電などには不向きかもしれません。
また、売れるまでに日数がかかったり売れなかったりする場合もあるので、解体工事に間に合うようスケジュールにゆとりを持って出品する必要があります。
リサイクルショップで買い取ってもらう
不用品は、リサイクルショップで買い取ってもらうことも可能です。
すぐに査定金額がわかるメリットがありますが、買取価格が思いのほか低かったり値段がつかなかったりする場合もあります。
また、「セカンドストリート」「ハードオフ」などの大手リサイクルショップでは出張買取も行っているので、大型の不用品の運搬にお困りの方には便利です。
無料の広告掲示板で欲しい人を募る
「ジモティ」などの掲示板アプリには「中古あげます・譲ります」といったページがあり、不用品の譲渡が盛んに行われています。
都道府県・市町村ごとにページが分かれているので、解体工事を行う地域のページで不用品をもらってくれる人を募ることができます。
家具の処分についてのまとめ
本記事では、解体工事における不用品の処分方法について詳しく解説してきました。
不用品の処分方法やかかる費用について、大まかなことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
不用品の処分は自分たちで行う必要はなく、解体業者にお任せすることも可能です。
ご自身のおかれた状況にあわせて、無理のない処分方法を決めましょう。
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