所有している空き家、崩れそうな状態になっていませんか? 再利用ができないほど老朽化すると解体するしかありませんが、解体費用も結構かかります。
兵庫県姫路市の空き家率は14.2%(平成25年調査)で、兵庫県や全国と比較するとやや高い傾向にあります。
そこで、兵庫県姫路市では危険空き家の解体補助金として最大50万円の補助金制度を設け、木造家屋の解体工事を支援しています。
また、姫路市では倒壊の恐れがある危険ブロック塀など(コンクリートブロック造、レンガ造、石造その他の組積造の塀)の撤去工事費用の一部を補助する制度も設けています。
今回の記事では、補助金制度の概要や手続き方法、危険ブロック塀の撤去補助金について詳しく見ていきましょう。
もくじ
危険空き家の解体補助金についての概要
危険空き家の解体補助金はどういう人が利用できるのでしょうか? まず、申請前に自分が補助の対象であるかの確認と、いくら補助されるのか等を確認したいと思います。(個人の方向けのケースのみお話しします)
補助金の目的
姫路市では、老朽危険空き家の解消を促進し市民の安全と安心を確保するために、老朽危険空き家の解体撤去費用の一部を補助する制度を実施しています。
参考:姫路市公式サイト姫路市老朽危険空き家対策補助金交付制度について
対象物件
次の条件すべてに当てはまる建物が対象です。
- 姫路市内にあり、おおむね10年以上使用されていない
- 一戸建ての住宅(2分の1以上が居住スペース)
- 老朽化の程度の基準を満たすと判定された
- 老朽化により敷地周辺に及ぼす危険性がとても高い
- 土地、建物が借金の担保等になっていない
最初の条件から、長年放置された空き家が対象と分かります。ただし、10年以上経っていなくても対象になる可能性はあります。
また、条件3番目は姫路市の調査結果で判定されます。ひとまず、屋根・外壁・柱等の老朽化が激しく、再利用が難しい空き家を対象物件としてイメージしておきましょう。
対象者
次の条件どれかに当てはまる方(ただし、市税を滞納していない個人に限る)が対象です。
- 対象物件の所有者
- 対象物件の所有者の相続人(子供等)
- 対象物件がある土地の所有者
- 上記のどれかと、ほぼ同じと考えて問題ない方
所有者本人はもちろん、一定の家族でも申請ができます。
ただ、当然ながら市税を滞納していたら補助対象外です。
対象解体業者
次の条件どちらにも当てはまる業者さんが対象です。
- 建築工事業、土木工事業または解体工事業のうち、どれか1つの許可を受けている
- 姫路市の登録業者 または姫路市内に本社、本店を持っている業者
解体業者にも条件があります。特に条件2番目から、姫路市内の解体業者に限定される点は要注意です。
対象外工事
次の条件のどれにも当てはまらない工事が対象です。
- 補助金交付の決定前に着工
- 建物の一部だけの解体撤去
- 他の制度による補助金の交付を受けている(または受ける予定)
- 同一の敷地内で、すでに解体補助金を受けている
最初の条件は、解体業者に見積書作成を依頼するときに注意しましょう。うっかり工事に入らないでくださいね。
また、条件2番目にある通り、建物は全部を解体しなければなりません。
補助金額
解体撤去費用は、解体工事費+解体工事で出たゴミの運搬や撤去費用です。建物内部に残っている家具、ブロック塀や樹木の撤去は対象にならないので気を付けましょう。
そのほか、補助金は解体撤去費用の全額が出る訳ではない点も注意です。追加工事等で想定より費用が高くなっても、上限額の50万円以上は補助されないことは知っておきましょう。
申請受付
補助金交付受付申請書の受付(2019年度)は4月1日~12月25日です。
ただし、予定戸数(13戸)に達した場合は受付が打ち切られますので注意しましょう。
交付申請前に事前調査の申請を11月30日までに行う必要があります。
危険空き家の解体補助金についての手続き方法
続いて、危険空き家の解体補助金の手続き方法についてお話しします。
ご自身が制度の対象になりそうだという確認が取れたら、次に気になるのは申請手順ですよね。以下の表をご覧ください。
↓
現地調査、結果通知
↓
☆解体業者選び
↓
現地調査、見積書取得
↓
☆交付の申請
↓
交付の決定通知
↓
☆解体業者と契約、着工
↓
☆完了報告
↓
補助金額の確定通知
↓
☆交付の請求
↓
補助金交付
「☆」を付けた部分が、手続きが必要なところです。
実は手続きには段階があり、一回申請して終わりではありません。ただ、「☆」を順番通りにクリアしていけば大丈夫ですので、一緒に確認しましょう。
なお、書類は以下からダウンロードできます。
事前調査の申請
交付の申請前には事前調査が必要です。事前調査は、対象物件のところでお話しした老朽化の程度の基準を満たすかを確認する作業です。基準を満たすと判定されたら、対象条件の1つをクリアしたことになります。
申請には、以下の書類を提出しましょう。
・調査申請書(様式第1号)
さらに、一緒に出す書類があります。
- 位置図(付近見取図)
- 配置図、平面図
- 現在の状況が分かる写真
- 登記事項証明書(土地及び建物)又は所有者を確認できる書類
- 市税の完納を証明する書類
登記事項証明書は登記所、法務局に依頼して入手しましょう。市税の完納を証明する書類は、姫路市にお願いすればOKです。
申請をすると、姫路市による現地調査が行われ、結果が通知されます。
解体業者選び
事前調査の結果が届いたら、次に解体業者に連絡を取り、現地調査と見積書作成(+許可証等の写し)を依頼します。(大体2週間程度かかります)
解体業者は基本的にご自身で探す必要がありますが、ご自身で解体業者の手配をするのがご不安な方は、ぜひ当協会が運営する解体無料見積ガイドをご利用下さい。
解体無料見積ガイド
また、すでに触れましたが、交付申請前のこの段階では、工事に着手すると補助金が受けられなくなります。気を付けましょう。
交付の申請
事前準備が終わったら、ようやく交付の申請を始められます。以下の書類を提出しましょう。
・交付申請書(様式第3号)
また、次の書類を一緒に出しましょう。
- 工事見積書
- 解体業者の解体工事に関する許可証の写し
- 事前調査の結果通知の写し
そのほか、共有している親族等の関係者がいる場合は、追加で同意書等が求められることがあります。
交付の申請が通ると、交付の決定通知が届きます。
解体業者と契約、着工
交付の決定通知が届くの待って、解体工事に着手します。解体業者と契約して解体工事に着工してもらいましょう。
この段階では、特に提出書類はありませんが、完了報告で求められる写真を撮影してもらえるように依頼しておきましょう。
完了報告
解体工事が完了したら、姫路市に以下の書類を提出しましょう。
・完了届(様式第8号)
加えて、次の書類を一緒に提出します。
- 工事の完了写真
- 請負契約書の写し
- 領収書の写し
- 廃棄物に関する処分証明書の写し(マニフェスト)
交付の請求
完了報告をして問題がなければ、補助金額の確定通知が届きます。そしたら、次の書類を出しましょう。
・交付請求書(様式第10号)
以上で、危険空き家の解体補助金の手続きは終わりです。手続きに問題がなければ、数日後ご指定の講座に請求金額が還付されます。
(解体費用はご本人が一旦全額負担する必要があります。)
また、分からないことがあれば、以下にお問い合わせください。
都市局 まちづくり推進部
住宅課 庶務・住宅政策担当
——————————
所在地:〒670-8501 姫路市安田四丁目1番地
電話:079-221-2642
FAX:079-221-2639
姫路市公式サイト:姫路市老朽危険空き家対策補助金交付制度について
書類データは以下からダウンロードできます。
危険ブロック塀の撤去補助金の概要
姫路市では家屋の撤去費用に伴う補助金制度の他にも、老朽化したブロック塀の撤去を対象とした補助金制度も用意されています。
大阪府の北部では地震の影響でブロック塀が倒壊して二次災害をひこ起こしてしまった事例があります。
ブロック塀が老朽化している空き家をお持ちの方はご注意下さい。
それでは、危険ブロック塀の撤去補助金について詳しく見ていきましょう。
補助金の目的
姫路市内に設置された危険なブロック塀等の所有者が、その全部又は一部を撤去する工事に対して補助金を交付することにより、地震等の自然災害や老朽化に伴うブロック塀等の倒壊による被害の軽減を図り、もって安全で災害に強いまちづくりに資することを目的としています。
参考:姫路市危険ブロック塀等撤去支援事業補助金交付要綱
対象の塀
- 姫路市内の個人所有の住宅(2分の1以上が居住スペース)にある、各市立小学校が定める通学路に面するもの
- 塀の高さが60㎝以上で、ブロック塀等点検表に適合しない項目があるもの
・ブロック塀等点検表
ブロック塀点検表(補強コンクリートブロック造の塀の基準)
項目 | 点検内容 |
---|---|
塀の高さ | 地盤から2.2メートル以下である。 |
塀の厚さ | 高さ2メートルを超える塀で15センチメートル以上である又は高さ2メートル以下の塀で10センチメートル以上である。 |
控壁 | 塀の高さが1.2メートル超の場合、塀の長さ3.4メートル以下ごとに、塀の高さの5分の1以上突出した控壁がある。 |
基礎 | コンクリートの基礎がある。 |
傾き、ひび割れ等 | 塀に傾きやひび割れがない。人の力でぐらつかない。 |
上記の全ての項目において基準を満たす場合は、次の項目を図面等で確認する
項目 | 点検内容 |
---|---|
鉄筋 | (塀の壁内) 直径9ミリメートル以上の鉄筋が、縦横とも80センチメートル以下の間隔で配筋されており、縦筋の末端は壁頂部及び基礎の横筋に、横筋は縦筋にそれぞれかぎ掛けがされている。 (控壁の壁内) 直径9ミリメートル以上の鉄筋が配筋されている。 |
基礎 | 塀の高さが1.2メートル超の場合、基礎の丈が35センチメートル以上、根入れ深さが30センチメートル以上ある。 |
ブロック塀点検表(組積造の塀の基準(補強コンクリートブロック造の塀を除く)
項目 | 点検内容 |
---|---|
塀の高さ | 地盤から1.2メートル以下である。 |
塀の厚さ | 各部分の厚さがその部分から壁頂までの垂直距離の10分の1以上ある。 |
控壁 | 塀の長さ4メートル以下ごとに塀の厚さの1.5倍以上突出した控壁がある又は壁の厚さが必要寸法の1.5倍以上ある。 |
基礎 | コンクリートの基礎がある。 |
傾き、ひび割れ等 | 塀に傾きやひび割れがない。人の力でぐらつかない。 |
上記の全ての項目において基準を満たす場合は、次の項目を図面等で確認する
項目 | 点検内容 |
---|---|
基礎 | 根入れ深さ20センチメートル以上である。 |
引用:姫路市公式サイト危険なブロック塀等の撤去費を補助します
制度の目的から、条件に当てはまればレンガ造や石造でもOKです。ただし、通学路に面する部分だけが補助の対象です(きっかけの地震では、児童が被害に巻き込まれました。「子供たちを危険から守る」というのが、制度を創設した最大の目的です)
対象者
次の条件すべてに当てはまる方が対象です。
- 対象ブロック塀等の所有者
- 同一の敷地で、ブロック塀撤去の補助金の交付を受けていない方
- 暴力団と関係がない方
特に注意点はありませんが、同じ敷地で2回以上補助を受けることはできません。
ちなみに、危険空き家の解体補助金と一緒には利用できません。(解体補助金の条件により不可)
対象工事
次の条件すべてに当てはまる工事が対象です。
- 請負契約に基づく工事
- 同一敷地内における対象ブロック塀等を、すべて塀の高さ60cm未満まで撤去
- 道路内にあるブロック塀等は、その全部を道路の地面の高さまで撤去
- 対象工事に対して、国、地方公共団体等から他の補助金等の交付を受けていない
基本的に、ブロック塀等を全撤去する工事なら対象です。
補助金額
・対象経費×2/3
・道路側から見た、撤去するブロック塀等の面積(㎡)×1万円
・20万円
対象経費には撤去費、廃棄物の運搬費、処分費、仮設費、諸経費(それぞれ通学路に面する部分のみ)が入ります。
対象外の部分も一緒に撤去工事を行う場合は、見積書の明細を対象部分と対象外部分とで分けるように依頼しましょう。
申請受付
受付期間(2019年度)は4月1日~12月27日です。
姫路市役所5階の建築指導課で申請してください。
申請の流れ
申請の流れは以下の通りです。
↓
☆工事業者に見積依頼
↓
☆交付の申請
↓
交付の決定通知
↓
☆工事業者と契約、着工
↓
☆完了報告
↓
補助金額の確定通知
↓
☆交付の請求
↓
補助金交付
補助金の申請手順は危険空き家の解体補助金と同じです。
ただし、補助金の申請には事前相談が必要です。姫路市役所の建築指導課防災・耐震担当に問い合わせて事前相談をお願いしましょう。
建築指導課 防災・耐震担当
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所在地:〒670-8501 姫路市安田四丁目1番地
電話:079-221-2547
FAX:079-221-2548
姫路市公式サイト:危険なブロック塀等の撤去費を補助します
まとめ
今回は、兵庫県姫路市の危険空き家の解体補助金と危険ブロック塀の撤去補助金をご紹介しました。解体工事は費用が高額になるため、補助金制度が利用できると心強いですね。
ただし、補助金制度を利用するには申請手続きの順序が重要です。これから老朽化した空き家の解体工事をお考えの方はまず、姫路市役所で事前相談をお願いしましょう。
姫路市公式サイト:姫路市老朽危険空き家対策補助金交付制度について