梅雨の時期、頭を悩ませるのが室内の湿気。
湿気は不快なだけでなく、木材を腐らせ、建物を簡単にダメにします。
また、建物だけでなく、私達の健康を蝕む原因にもなります。
家を守り、快適に過ごす為に、私達に出来ることを見ていきましょう。
1.湿気を放っておくと危険!?家と身体への被害とは
湿気は、放っておくと建物と人体に悪影響を及ぼします。
対策法の前に、まずは湿気の危険性を再確認しておきましょう。
意外と知らない、湿気の知識
私達は、湿気が多いとカビが生えるようなイメージがありますが、そもそも湿気とは何なのでしょうか。
湿気とは、気体になった水「水蒸気」を指します。
大気には常に水蒸気が含まれており、気温の変化などによって液体として現れます(結露)。
空気中の湿気の度合いを表す単位として、「湿度」があります。
天気予報などでよく耳にしますね。
でも、一体何%からが高いのか、気温と違ってピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省の定めた基準では、適正湿度は40〜70%とされています。
2 空気環境の調整
つまり、基準を考えると70%を越えたら湿度が高いと言えます。
では、梅雨の湿度はどのくらいなのでしょうか。
以下は、2018年の平均湿度と平均気温を月ごとにまとめた表です。
月 | 平均気温 | 平均湿度 |
---|---|---|
1月 | 4.7℃ | 54% |
2月 | 5.4℃ | 56% |
3月 | 11.5℃ | 65% |
4月 | 17.0℃ | 66% |
5月 | 19.8℃ | 71% |
6月 | 22.4℃ | 80% |
7月 | 28.3℃ | 77% |
8月 | 28.1℃ | 77% |
9月 | 22.9℃ | 86% |
10月 | 19.1℃ | 74% |
11月 | 14.0℃ | 72% |
12月 | 8.3℃ | 61% |
参考: 気象庁|東京 2018年 (月ごとの値)詳細(気温・蒸気圧・湿度)
気象庁のデータによると、6月から9月にかけては、急激に湿度と気温が上昇している事が分かります。
適正湿度を大きく上回っているので、やはり梅雨の時期からは湿気対策が必要になります。
最大の敵「結露」
冬、寒くなると窓に結露(水滴)が出ることがありますね。
梅雨の時期も同様に結露が発生しやすくなります。
結露は、気温が低くなると発生すると思われがちですが、厳密には少し違います。まず、空気中に含める水分量は、気温が低いほど少なくなります。例えば、空気を器として考えると、気温が低い時は小さい器になるので、水がすぐに溢れてしまうのです。容器から溢れた水は、結露として現れます。しかし梅雨の場合、器は普通サイズなのですが、湿度が高すぎるせいで水が溢れているのです。
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カビの発生
湿度を上げる事でカビの発生を促します。
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害虫の発生
湿気が大好きな害虫達の活動を促します。
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木材の腐敗
木造建築の場合、結露を放置しておくと、柱や壁などを腐らせます。さらに、表面的には見えなくても、木材の内部から腐敗していく事もあります。
結露を放っておくと、当然湿度は高くなります。
そのため、カビや害虫の発生も促してしまうのです。
カビの発生
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湿度が70%以上
カビは湿度20%から発生すると言われますが、最も元気に活動するのは70%以上です。梅雨の殆どの日は湿度が70%を越えます。
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気温が20~30℃
梅雨にカビが繁殖しやすいのは「適度な気温」も一因です。30℃を超える真夏日になると暑すぎて、繁殖スピードは比較的落ちます。
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栄養が豊富な場所
カビにとっての栄養とは「ホコリ・人間の汗や垢・プラスチック」などです。カビは、特殊な分解酵素を持っており、栄養になり得ないものを自力で栄養源にする力があります。
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感染症
カビが影響する感染症の代表は「水虫」です。ほとんどの場合は足に発生します。
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アレルギー疾患
カビの胞子により、鼻炎や喘息を引き起こす恐れもあります。
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カビ中毒
カビが食材にも侵食していた場合、食中毒を引き起こす恐れがあります。
害虫の発生
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ダニ
ダニは高湿度、高温度を好み、梅雨の時期に最も元気に活動します。
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ヤスデ
ムカデに良く似ていますが、毒性はありません。しかし、長い雨の後に大量発生し、家の周囲に落ち葉や廃材が多いと狙われやすくなります。
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チャタテムシ
マイナーな名前ながら、湿気とカビが大好きなので実は梅雨時に良く見かけている虫。毒性や攻撃性はありません。
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シロアリ
1年中活動をしていますが、湿気が大好きなので6~7月にかけて最も活発になります。シロアリは木材を食べて栄養を摂ります。
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ダニ
種類によって被害は分かれますが、ダニの死骸がアレルギー疾患を引き起こしたり、噛まれる事で皮膚病になる恐れがあります。
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チャタテムシ
虫自体に有害性はありませんが、ダニの餌になります。なので、放っておくと結果的にダニが大量発生します。
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シロアリ
木材を食べることで、家の建築材がボロボロになります。家の強度が下がり、最悪の場合倒壊に至ります。
2.イヤなジメジメ、どうにかしたい!おすすめの対策法を紹介
まずは、結露を発生させない為に、徹底的に湿気を取り除く事が先決です。
では、湿気を取り除く為にはどうすれば良いのでしょうか。
次は、手頃に出来る対策法を紹介していきます。
手軽に出来る対策3選
まずは、今すぐにでも出来る方法を3つ紹介します。
換気
一番手軽かつ有効な手段です。
まずは、室内の湿気た空気を外に追い出しましょう。
換気の際に大事なのは、空気の流れを作る事です。
窓を開ける際、扇風機や換気扇を併用するとより効果的に換気が行えます。
また、雨の日は窓を開けづらいと思いますが、家の中に雨が入ってくるほどの豪雨で無ければ、基本的には換気を行いましょう。
雨の日であっても、外の湿度より室内の湿度の方が高いので、充分に効果があります。
エアコン(除湿機能)
エアコンが設置されている部屋では、除湿機能もおすすめです。
1日中つけている訳にはいきませんが、確実に湿度を下げてくれる点では、有効な手段です。
また、エアコンの除湿機能には主に「再熱除湿」と「弱冷房除湿」の2つがあります。
再熱除湿 | 部屋の温度は下がらないが、電気代が高額。 |
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弱冷房除湿 | いわゆるドライ。部屋の温度は下がるが、電気代は比較的安価。 |
部屋を寒くしたくない方は、室温を下げない再熱除湿がおすすめですが、電気代は弱冷房除湿の2倍~3倍ほどかかります。
室内の扉を開けておく
室内の空気を留めておかない事も重要です。
部屋や廊下の扉はもちろん、「キッチン・シンク・押入れ」の扉も定期的に開けておきましょう。
水場もあり、火気もあるキッチンの中でも、特に湿気が籠もるのはシンク下です。
シンク下に食料品を入れている家庭もありますが、大変危険です。
シンク下の湿気を防ぐためには、物を出来るだけ詰め込まず、定期的に扉を開けて換気をするのが大切です。
効果アリ!おすすめ除湿アイテム
それでは今度は、手軽に手に入って効果の高いおすすめ除湿アイテムを紹介します。
除湿アイテムを置くことで、より効率的に湿気を取り除けます。
重曹

料理にも使われる重曹ですが、重曹には除湿・消臭効果があります。
お皿や瓶などに入れて、クローゼットや靴箱に入れておくだけで効果が出ます。
また、リビングなどにおく時は、容器にガーゼを被せて輪ゴムなどで止めておくと、簡易除湿機になります。
安いものは300円程度で購入できるので、是非お試しください。
木炭

木炭にも、除湿・消臭効果があります。
炭には無数の小さい穴が空いており、湿気や臭いを吸い取ってくれるのです。
目につく場所に置きたい時は、籠に入れておくだけでインテリアとしても活用出来ます。
また、炭は洗って乾燥させれば繰り返し使うことが出来ます。
除湿剤

除湿剤の中に入っている粒は「塩化カルシウム」です。
塩化カルシウムは、空気中の水分を吸収して溶かす性質を持っており、殆どの除湿剤で採用されています。
手に入れやすさ、手軽さ共に高い除湿グッズです。
比較的安価で手に入り、開封をするだけですぐ使えるのがメリットです。
溜まっている液体は水のようにも見えますが、塩化カルシウムが液化したものなので、再利用せずに溜まったらちゃんと捨てましょう。
3.あなたの空き家は大丈夫?住んでいないからこそ湿気対策を!
普段私達が生活している家は、湿気対策が出来ますが、空き家を持っている場合はどうでしょう。
空き家も同じく梅雨を迎えるのに、換気すらしなかったら大変な被害に遭うのは容易に想像できます。
では、空き家の湿度管理はどうすれば良いのか。一緒に見ていきましょう。
とにかく換気をしよう
空き家は人が住んでいない為に、空気の流れが極端に悪くなります。
そして、湿気た空気が全く循環せずに湿度が上がり続けるのです。
そのため、空き家ではしっかり換気をして、留まった空気を循環させなくてはいけません。
換気の際、ただ入り口を開けておくのではなく、家のあらゆる扉をあけておいたり、扇風機を使って循環を助ける事で、より効率的になります。
しかし、空き家の換気は、なにも梅雨に限った話ではありません。
実は、空き家を管理するためには換気を始めとした「3大メンテナンス」を「定期的に」行う必要があるのです。
梅雨だけじゃない、3大メンテナンスとは
空き家を管理する場合は、梅雨に限らず定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
空き家を放置すると、設備の劣化や害虫被害に蝕まれるため、衛生環境が劇的に悪化します。
そのため、定期的に空き家に訪れ、掃除や設備の確認をしなくてはなりません。頻度としては、1ヶ月に1回以上が理想です。
そして、必ずやるべきメンテナンス内容を3大メンテナンスと言います。
換気 | ただ家の扉を開けるのではなく、押入れやクローゼットなど、湿気が溜まりやすい場所もしっかり換気をしましょう。 |
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通水 | 水道管は、あまりに使わないと錆びてしまいます。また、錆によって水道管が破裂する恐れもあるので、メンテナンスの際は必ず水道から水を流しましょう。 |
掃除 | 室内の掃き掃除はもちろん、庭の手入れも重要です。雑草が生い茂っている状態では、害虫の住み家になってしまいますし、近隣にまで迷惑がかかってしまいます。 |
その他にも、既に害虫被害がある場合は駆除をしなくてはいけませんし、雨漏りなどの欠陥がある場合は補修が必要です。
誰も住んでいないからと、管理が軽視されがちな空き家ですが、維持をするなら適切な管理が必要不可欠なのです。
「定期的にメンテナンスをしないといけないなんて……」と驚いた方もいると思います。
ですが、実はまだ「空き家管理」としては序の口です。
空き家を管理したい場合、メンテナンス以外にも知っておくべき知識はまだまだあります。
下記の記事では、メンテナンスの話にも触れつつ、空き家管理についてさらに詳しく記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
空き家を放置すると税金が上がる理由とは?「空き家対策特別措置法」について解説
住宅の湿気についてのまとめ
梅雨の時期、上がりに上がった湿度を放っておくと、建物にも人体にも悪影響が及びます。
しかし、除湿方法は決して難しいものではありません。
まずは窓を開けて、内に籠もった空気を外に出すことから始めましょう。
湿気を徹底的に取り除き、快適な梅雨ライフをお過ごしください。