不動産には評価額が複数あります。主に不動産の評価額は売買をする時と税金の計算をする時で異なります。そのため、同じ不動産であっても状況に応じて評価額を使い分けなければなりません。
特に、税金の計算をする時に使う評価額は複雑です。そこで、不動産の評価額について種類と確認方法を整理しました。
不動産の評価方法はまず、建物と土地で分ける
不動産の評価額は建物と土地でそれぞれ計算方法が違います。
建物の評価方法は簡単
最初は建物の評価額を把握しましょう。建物の評価額は土地の評価額を理解する際の参考になります。
なお、建物の評価額には売買をする時に使う「時価」と税金の計算をする時に使う「固定資産税評価額」の2つがあります。
「時価」は自分では分からない
一般的な相場や大まかな概算ならネットでも簡単に調べられます。ただし、建物の間取りや状態によって時価は左右されます。そのため、正確な評価額を把握するには不動産会社に査定をしてもらうしかありません。
なお、ネットで検索をすれば不動産の一括査定サイトはたくさんあります。一度の問い合わせで複数の不動産会社から査定してもらえるので、建物の時価を知るのはそれほど難しくありません。
最先端の不動産査定サイト「HowMa」
「不動産会社の営業がしつこくないか不安」「売るつもりはないけど査定額だけ知りたい」といった方は、無料の査定サイト「HowMa」がおすすめです。
匿名でご自宅の時価が調べられるので見積りの後に営業を掛けられる心配はありません。さらにAIを駆使して常に最新の情報を収集した上で査定をしてくれるので、一般的な机上査定に比べると信ぴょう性が高いのが特徴です。
訪問や測量をしないで過去のデータのみを参考に査定する方法。
参考 HowMa(ハウマ)を実際に使ってみて分かった向き不向きの物件不動産売却の教科書
「固定資産税評価額」は市区町村で確認
建物の評価額のうち、各自治体によって派遣された不動産鑑定士が決めた評価額を「固定資産税評価額」といいます。
固定資産税評価額は毎年4月~6月の間に徴収される固定資産税の計算に用いられる評価額で、3年に一度見直しが行われます。
固定資産税評価額の確認方法
建物の固定資産税評価額は各自治体から毎年送られてくる課税明細書から確認できます。

明細書の課税標準額に記載された金額が固定資産税評価額です。
もし、課税明細書が手元にない場合は管轄の市区町村で固定資産課税台帳を閲覧すれば確認できます。
土地の評価額は全部で4つ
土地の評価額は一物四価といわれ、同じ不動産でも4つの評価額が存在します。詳しく見ていきましょう。
一物四価の内訳を知る!
土地が持つ4つの評価額を確認しましょう。
評価額の名称 | 説明 |
---|---|
実勢価格 | 市場価格、市場相場のこと |
公示価格 | 国土交通省が毎年定めている基準価格 |
相続税評価額 | 路線価を元に計算される。相続税の計算に使われる |
固定資産税評価額 | 管轄の自治体が決める価格。固定資産税の計算で使われる |
実勢価格は時価
表にある「実勢価格」がいわゆる時価にあたります。
土地の時価を調べる方法はいくつかありますが、ネットで調べられる最も手軽な方法は国土交通省が運営するサイトを使って検索する方法です。
国土交通省が管理している「不動産取引価格情報検索」では、土地の売却で実際に売買された取引金額が収集されており、調べたい時期とエリアごとに検索ができます。もちろん無料です。

一物四価のうち、実勢価格を除いた「公示価格」「固定資産税評価額」「相続税評価額」の3つは税金の計算に関わる評価額です。
なお、固定資産税評価額と相続税評価額は公示価格を元に金額が調整されています。
土地の税金決定に伴う評価額の関係
公示価格を100%とすると相続税評価額は80%、固定資産税評価額は70%程度になるよう調整されています。なお、公示価格は税金の支払いを優遇するため実勢価格よりも安く設定されています。
公示価格の確認方法
公示価格は国土交通省が運営するサイトから無料で確認できます。

土地の相続税評価額は路線価が基準
相続税評価額は路線価を元に計算します。
路線価も国税庁のホームページから確認ができます。
相続税評価額は路線価に面積を掛けて評価します。
相続税評価額=路線価×面積
例えば、路線価図に「260D」と記載された道路に面して30坪(100平方メートルで計算)の土地を持っていた場合、土地の相続税評価額は2,600万円になります。
固定資産税評価額
土地の固定資産税評価額は管轄の自治体によって決められます。なお、土地の固定資産税評価額も建物と同様に毎年送られてくる納税通知書から確認できます。

もし、納税通知書が手元にない場合も、各市区町村で管理されている固定資産課税台帳から確認ができます。
土地にあって建物にない評価額
建物の評価額が2つなのに対して、土地の評価額は4つありました。
名称 | 建物 | 土地 |
---|---|---|
実勢価格(時価) | 有 | 有 |
公示価格 | なし | 有 |
相続税評価額 | なし | 有 |
固定資産税評価額 | 有 | 有 |
土地はいくら使っても摩耗による価値の低下がありません。一方、建物はそもそもの大きや構造、価格が大きく異なります。さらに、築年数の経過によって確実に価値は下がります。そのため、公示価格のような評価基準が設定できません。
また、建物には相続税評価額がありません。そのため、建物の相続税評価額は固定資産税評価額で代用されます。
税金ごとに使われる評価額を整理
不動産には税金がつきまといます。持っているだけでも毎年固定資産税が発生しますし、売買、相続、譲渡など場面ごとに税金が伴います。ただし、税金の種類ごとに評価額が存在するわけではありません。
そこで、税金ごとにどの評価額を使って税額を計算するのか整理しておきましょう。
税金の種類 | 基にする評価額 | 詳しい計算方法 |
---|---|---|
不動産取得税 | 固定資産税評価額 | 東京都主税局|不動産取得税計算ツール |
固定資産税 | 固定資産税評価額 | 東京都主税局|固定資産税・都市計画税 |
都市計画税 | 固定資産税評価額 | 東京都主税局|固定資産税・都市計画税 |
相続税 | 建物:固定資産税評価額 土地:相続税評価額(路線価) | 国税庁|相続税の計算 |
贈与税 | 建物:固定資産税評価額 土地:相続税評価額(路線価) | 国税庁|土地家屋の評価 |
登録免許税 | 固定資産税評価額 | 登録免許税の税額表 |
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不動産の評価額についてのまとめ
不動産の評価額は建物と土地で算出方法が異なり、それぞれ複数の評価額を持っています。なお、売買と税金の計算では元にする評価額が異なり、状況に応じて評価額を使い分ける必要があります。
ただ、税金の種類ごとに評価額が決まっているわけではありません。
各種税金の計算には、どの評価額を使って計算するのか確認が必要です。