DIYで失敗しないペンキの塗り方・選び方

DIYに欠かせないペンキでの塗装。壁、屋根、小物、椅子、ガーデニングなどはペンキを塗る事で綺麗になり、見栄えが良くなります。
またそれだけでなく、防虫防腐効果や防水効果、耐熱効果、殺菌効果等の保護的な面での性能も上がり、住まいを長い間使い続けて行くために欠かせない手入れとなります。

しかし今までペンキを扱った事の無い方は、いざ塗装しようと思ってもどのペンキを使っていいかわからないですよね。
ペンキを適当に選んで素材との相性が悪かった、正しい塗り方がわからずに自己流で塗ってしまったなどのやってしまいがちな失敗を避けるために、ペンキの知識をつけて選ぶ時も塗る時も困らないようにしましょう。

油性ペンキと水性ペンキの違い

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数あるペンキをざっくり2種類に分けると油性ペンキと水性ペンキに分けられます。
油性水性と言われるとペンを思い浮かべませんか?
油性ペンはガラスや金属にも書けて水に強いですが、水性ペンは水に弱くガラスなど表面がつるつるしたものにははじかれてしまいます。

水性ペンキもペンと同じように水に弱いもでしょうか。
双方のペンキの特徴を比べてみました。

【油性ペンキ】
・臭いが強い
・「ペイント薄め液」で希釈する
・手等に付着したら薄め液でないと落ちない
・シンナー等の有機溶剤が含まれる
・乾燥時間が短い
・耐久性が強い
・金属にも塗りやすい
・火気厳禁
・屋外の塗装に適している
【水性】
・臭いが少ない
・「水」で希釈する
・付着しても水で落とせる
・有害物質を含んでいない
・しっかり乾かせば耐久性は強い
・金属部の塗装ははじかれる部分もある
・屋内の塗装に適している

油性ペンキにはシンナー等の有機溶剤が多く含まれており、臭いが強いです。
室内の塗装に使用すると長い間臭いに悩まさますし、体にも悪いため適していません。
雨水に強く耐久性に優れているため、屋外の壁やガーデニング等の塗装にピッタリです。

反面、水性ペンキは有害物質が含まれておらず臭いが少ないです。また扱いが簡単で初心者でも使いやすく、室内の塗装に適しています。
だからといって耐久性が弱い、水に流れやすいという訳ではなく、しっかり乾燥させれば高い耐久性を発揮するので屋外の塗装にも使用されています。

使用の際、油性ペンキは「ペイント薄め液」で薄めて使用します。手に付着してしまった場合や使い終わった刷毛を洗う時は薄め液を使わないと洗い落とせないため手間とお金がかかってしまいます。水性ペンキは「水」で薄めます。乾く前なら付着部や刷毛も水で洗い流せるので油性ペンキより手軽で経済的にも優しいです。

乾燥時間は温度や湿度にも左右されますが、基本的には油性ペンキは1時間ほどです。水性ペンキは表面は2時間前後で乾くのですが中まで完全に乾くのには最低でも1日は待たなければいけません。

また、保管する場合油性ペンキは固まらないように薄め液を加えて膜を張っておきましょう。燃えやすく火気厳禁なので、火の気がない所で管理する必要があります。
水性ペンキは水を加えてから6カ月ほどで使えなくなってしまいますが、保管時の注意点等はありません。

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水性ペンキは使いやすく価格も安いため、ペンキを初めて扱うという方にもお勧めです。
油性ペンキは水性より価格は高いですが、その分乾燥が早く耐久性も安定しています。
特に金属の塗装は、部分によっては水性ペンキがはじかれてしまうことがありますが、油性ペンキは金属のつるつるしたペンキがはじかれやすい部分でも綺麗に塗れます。

最近は油性ペンキに劣らない耐久性を持つ水性ペンキが開発されていますが、まだ価格が高めです。
徐々に安くなっていくと言われていますので、いずれは全てのペンキが水性に移り変わると予想されています。
人体への影響や環境的な面でも水性ペンキが注目されていて、今や高級ドイツ車の筆頭ベンツやBMWの塗装も水性になっています。

一般的な塗り分けとしては

金属・ガラス・屋外…油性
屋内・木材…水性

と考えておけばまず間違いはないでしょう。

ただし、油性ペンキで屋外の塀や屋根を塗装する時は臭いやペンキの飛び散りで近隣へ迷惑がかからないように配慮しなければいけません。
また自身もシンナーの臭いにあてられないようにマスク等の防護をして作業しましょう。

綺麗に塗るためのポイント

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初めてペンキを塗ると、ムラが出来てしまった!なんだかテカテカベタベタしている…等綺麗に塗れないという失敗が多く見られます。
ペンキ代も安くはないですし、塗るのには意外と時間もかかります。出来れば1回で綺麗に塗りたいですよね。ペンキを初めて触ります、という方でも知っておけば綺麗にペンキが塗れる方法をご紹介します。

ペンキを塗る前の下準備

ペンキを塗る前に、塗装したい部分を雑巾などで軽く拭き取り、ほこりなどのゴミを取り除き綺麗な状態にしておきましょう。ひっかかりやごみの巻き込みが少なく、スッと滑らかに塗れます。
水拭きをする場合は、必ず素材が完全に乾いてから塗り始めて下さい。水を含んだ状態の素材にペンキを塗ってしまうと、ペンキと素材の密着性が通常より薄れてしまい、耐久性が弱まりはがれやすくなってしまいます。
研磨ペーパーで塗りたい部分の表面をこすっておくとさらに綺麗に塗れます。

また、ペンキを使うには希釈をする必要があります。希釈とは、水や専用の薄め液を使ってペンキを薄める事を指します。希釈に使った水や薄め液はペンキが乾燥すると蒸発して無くなってしまう「塗りやすくするために入れる」だけなので、希釈に使う水を少なくすれば耐久性が強くなるなんてことはありません。缶に記載されている量に従って希釈しましょう。
この時、缶の下部分にペンキが沈着している場合があるので、全体をよく混ぜてから使用しましょう。

ペンキを塗る環境

油性ペンキも水性ペンキも、素材が湿った状態で塗装をすると密着度が低くなり耐久性が弱くなったり、防腐防虫効果が正しく発揮されなくなります。
また綺麗に塗れなかったり、乾きづらくなってしまいます。

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室温が低かったり、湿度が高いと乾くのにかなり時間がかかってしまいます。
晴れている中、綺麗に塗り終わったのに乾かしている途中で雨が降ってきてしまったら努力が水の泡です。
乾くまで最低1日は置いておきたいので、気温が高く天気が安定している期間を狙って塗装しましょう。梅雨など天気が変わりやすい季節は十分注意しましょう。

まずは手軽なものから

初めてペンキを使うのに、いきなり壁や屋根など大掛かりな物は失敗しやすいです。
まずは小さいものを塗って、コツを掴んでから徐々に大きい物に移していくのが好ましいです。
水性は初心者でも扱いやすいので、一番最初は水性をお薦めします。

色のもたらす効果

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色には見栄えなどの他に人の精神にも影響を与えると言われています。
例えば病院の待合室は青や緑などの寒色系が多く使われますが、これは気持ちを落ち着かせる沈静効果や時間の経過を遅く感じさせる効果があります。
逆に賑やかな飲食店は赤などの暖色系が使われる事が多いです。赤系の色は興奮色と言われ、気分を高揚させる効果や時間の経過が早く感じる作用があります。また、赤は食べ物をより美味しそうに、魅力的に見せる事ができるのです。

このように色がもたらす心理的効果を知っておけば、理想の雰囲気の住まいへDIYする事が可能です。

暖色系

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赤・オレンジ
上記の通り赤、そしてオレンジにも興奮作用や時短効果がありますが、他にも暖かさをもたらす効果があります。実際に、青などの寒色系の部屋と暖色系の部屋では同じ温度でも数度違って感じられるといいます。
食べ物を魅力的に見せる食欲増進効果もあるリビングやダイニング、日が当たらない寒い部屋に適しています。

興奮色というだけあって、娯楽施設には適するが部屋を赤メインせ使うと苛立ちやすくなったり、落ち着かなくなりやすいです。
ドアやカーテン、小物、絨毯などワンポイントで使うとバランスが良いです。

オレンジは安心感を与え、健康的なイメージです。淡い色味であればどこにでも使いやすいですが興奮作用があるため、勉強部屋など集中力が必要な部屋、寝室には向きません。

黄色
明るい、希望、温かいイメージのある黄色は目立つ色なので、注意喚起の看板などによく使われます。神経を刺激し集中力を高める効果があります。濃い黄色は使いすぎると圧迫感を感じてしまうのでアクセントに使う事で部屋の雰囲気を明るく、華やかにします。白や茶色と組み合わせやすいです。

リビングやトイレ、玄関に適しています。

茶色
インテリアで一番多く使われる落ち着いた茶色。
気を連想させる自然な茶色は目にも優しく、緊張を和らげたり安心感をもたらす効果があります。
明暗の幅も広く、インテリアでは一番使いやすい色です。

リビング、寝室、玄関などどこにでも使える親しみのあるカラーです。

寒色系

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清潔感があり、沈静作用が強い青は心を落ち着ける空間を作り出します。安眠作用や集中力を高める効果があるので寝室や勉強部屋、仕事部屋に向きます。
寒色系なので室温が低く感じられます。日の当たらない部屋は避けて使いましょう。
また、青を多く使いすぎると冷たく陰気な雰囲気になってしまうため暖色や無彩色と組み合わせると良いです。


草木、花など自然のイメージが強く、リラックス効果があります。
旅館の和室など、穏やかな雰囲気を演出する場によく使われていますよね。
リビング、バスルーム、書斎などに適しています。

どんな色とでも相性が良く、温度を感じさせない色なのでメイン色にもアクセントにも使えます。
しかし、濃い緑と淡い緑では与えるイメージが大きく異なるので注意しましょう。

中間色、無彩色

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薄い紫は鎮静効果がありますが、はっきりとした紫は興奮作用があります。
ゴージャスで優雅なイメージがあり、非日常を求めている部屋に適しています。
あまりにもはっきりとした紫を使うと落ち着きのない印象になってしまいますが、淡い紫はクリアな空気を演出しますし、暗い紫は大人っぽい、落ち着いた印象を与えます。

白・黒
無彩色の白と黒は生活感を感じさせない色です。

黒は、重みや静けさを感じさせる色です。
落ち着きを求める部屋には適していますが、黒一色で統一してしまうと閉鎖的で圧迫的な空間になってしまいます。また、気分を沈ませる効果もあるので温かみを持たせる場合は白や茶色と合わせると良いでしょう。

白は清潔感、純粋、誠実といったクリアな印象を与える色です。
解放感を感じられ、空間が明るく、大きく見える白は実は緊張感を伴う色です。
さらに白で固めすぎると冷たい印象になってしまいます。アクセントで明るい茶色を加えたり、照明を暖かい色にすると優しい雰囲気を出せます。
また、白は汚れが目立ちやすい色なので実用性も考えて配色を決めましょう。

白と黒を組み合わせてモノトーンにし、オレンジや黄などの暖色をワンポイント加えると無機質ながらも安心感を与えることが出来ます。リビングや寝室、バスルームに適します。

色を組み合わせる事で起きる効果

色には軽い色と重い色があります。例えば黒いカバンと白いカバンがあったとして、重さは同じなのに持った時黒い方が重いと感じてしまいます。引っ越し業者の段ボールが白い理由はこういった所にあります。
安定感のある部屋にしたいなら、床→壁→天井といった順に明度をあげていくと良いでしょう。
天井だけ明度の低い色を使うと、天井に重みを感じて圧迫感のある部屋にできます。

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また、青色は距離を長く見せる効果があります。
廊下を長く見せたい、部屋を広く見せたい場合は壁の一面だけ青色にすると効果的です。
反対に、赤を使うと距離を短く見せる事ができます。

このように、のもつ性質や組み合わせて起こる効果を使って理想の空間を作り出せる色選びをしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

塗装したい場所、素材の性質によって油性ペンキか水性ペンキかを決めましょう。天候も気にしながら余裕を持って塗装できる時間を設けられるのが理想です。
最初から塗る範囲の広い物を塗ってしまうと疲れてしまいますし、失敗しやすくなってしまいます。小物やガーデニング道具から初めてペンキを塗るコツを掴み、徐々に大きいものに挑戦していきましょう。

また、色の選択も重要になってきます。色のもたらす効果や全体的なバランスも考慮して配色を決めてみましょう。
ペンキ選びから塗りまで、失敗しないDIYを行いたいですね。

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