解体工事のチェックリスト!失敗を防ぐための12の項目

初めて解体工事を依頼される際には、ご不安な点も多いかと思います。工事を無事に終えるためには、業者を選ぶところから最後の手続きまで、流れを把握して一つずつチェックすることが大切です。

この記事では、解体工事における12個のチェック項目を時系列に分けてご紹介いたします。

解体工事はトラブルが多い?

解体工事は工事の内容上、残念ながらトラブルの多い工事だと言われています。

  • 振動や騒音、粉塵によるクレーム
  • 解体業者のずさんな対応によるご近所トラブル
  • 工事期間の大幅な延長
  • 不法投棄
  • 不当な追加費用の請求

トラブルが起きて工事が止まるだけでなく、最悪の場合は裁判にまで発展するケースもあります。注意していても防げない突発的な例もありますが、基本的には業者選びやその後の対応で防げるケースがほとんどです。

どうやって業者の質を見極めるのか、着工前から整地後までに施主が行う事や注意する点は何なのかを細かく確認しておきましょう。

施主と解体業者が友好的解体業者との間に起こりやすいトラブルと対策

解体工事のチェックリスト一覧

安心して解体工事を進めるために、下記のチェックリストで一つひとつ確認を行いましょう。

check1:解体業者探しのポイント
□インターネットで業者のHPを確認した
□解体工事の業績記載を確認した
□電話対応が問題なく出来ているか
□電話での安易な金額提示がないか
check2:現地調査の注意点
□建物の場所・範囲・境界線の確認があったか
□処分出来る物と処分費用の見積りがあったか
□追加費用の説明があったか
□滅失登記の説明があったか
□他社の見積り金額を気にしすぎていないか
check3:許可と届出の確認
□許可か登録を持っているか
□マニフェスト・リサイクル法届出の確認をした
check4:見積り内容の確認
□見積りを数社から取った
□見積書の内容説明の確認をした
□見積書の単位を揃えて比較した
check5:スケジュールと契約書の確認
□工事着工までの手順とスケジュールの確認をした
□工事終了までの期間を確認した
□契約書の重要項目をチェックした
check6:ライフラインの停止と各種届出
□ライフラインの停止を行った
□各種届出の連絡を行った
check7:不用品の処分
□不用品の分別・処分を行った
check8:近隣住民への挨拶
□施主と解体業者で近隣挨拶を行った
check9:事前申請の確認
□建設リサイクル法の届け出を確認した
□道路使用許可申請の届け出を確認した
check10:工事現場の現状確認
□近隣住民に迷惑が及んでいないか
□養生と散水が出来ているか
□工事終了後の工事現場と道路の清掃が出来ているか
check11:契約通りの工事が行われたか確認
□整地の状況を確認した
□近隣へ損傷がないか確認した
check12:必要書類の受け取りと申請
□マニフェストの受取りとサインの確認をした
□建物滅失登記に必要な書類を受け取った
□建物滅失登記の申請を行った

解体業者の選定から現地調査

どの業者を選ぶかによって、金額だけでなく工事内容やご近所への対応が大きく変わります。適切な金額でトラブルなく工事を終えるためにも、業者選びの際は次のチェックリストを確認しましょう。

check1:解体業者探しのポイント
□インターネットで業者のHPを確認した
□解体工事の業績記載を確認した
□電話対応が問題なく出来ているか
□電話での安易な金額提示がないか
check2:現地調査の注意点
□建物の場所・範囲・境界線の確認があったか
□処分出来る物と処分費用の見積りがあったか
□追加費用の説明があったか
□滅失登記の説明があったか
□他社の見積り金額を気にしすぎていないか
check3:許可と届出の確認
□許可か登録を持っているか
□マニフェスト・リサイクル法届出の確認をした

項目ごとに詳しい内容を見ていきましょう。

check1:解体業者探しのポイント

解体工事を安心して終えるためには、優良な業者を選ぶことが重要です。何となく選んで失敗することのないよう事前に確認しておきましょう。

インターネットで業者のHPを確認する

解体業者は昔から、馴染みの不動産や工務店との繋がりで依頼を貰う慣習があります。しかし、紹介により仕事をすると中間マージンが発生するデメリットもあります。

お客様に良い工事を良心的な価格で行いたいと考えている業者は、直接お客様と契約ができるよう、自社でホームページを作成して仕事が受けられるよう配慮する傾向にあります。

ホームページがない業者が高いとは限りませんが、一つの目安としてホームページがあるかを調べてみましょう。

解体工事の業績の記載

ホームページが確認できたら、解体工事の実績があるのかを確認しましょう。「施工事例」などの欄に、実際にどのような工事を行ったのかが記載されています。

実績を確認する際は、写真が載っているかどうかと工事の内容を見比べましょう。業者によって鉄筋アパートなどの大きな建物を多く担当している業者もあれば、木造住宅を得意とする業者も在ります。

ご自身が依頼する建物の構造にあった工事を得意とする業者を選んだ方が、費用面でも安心して依頼できる確率が高まります。

電話対応が問題なく出来ているか

ホームページだけでは、業者さん個人の対応を見ることは出来ません。電話を掛けてみてお客様対応に慣れていなかった場合、普段は不動産からの紹介で工事を行っている可能性があります。

その場合普段はお客様と接する機会が少ないため、近隣住民への配慮が薄くなる事が考えられます。電話口での対応が問題ないか、しっかりと見極めましょう。

また、解体に限らず建物の工事には急な対応が必要になるケースがあります。いざという時に連絡が取れ無いことを防ぐため、電話は繋がりやすいのか、折り返しがあるかの確認が必要です。

電話での安易な金額提示がないか

解体工事は、同じ大きさの建物でも、立地や条件によって工事費用が大きく異なります。その為、電話口で幾らで工事が出来るのか提示する解体業者は、電話での見積金額と実際の請求金額が大幅にズレる可能性が高くなります。

電話で見極めるポイントとしては、「東京にある約◯平米の木造住宅ですが、幾らで工事出来ますか?」と聞いてみましょう。

良心的な解体業者なら「◯◯万円ですね」とは言わず、他に壊すものは無いか、車が通れるスペースがあるか等、詳細な質問をした上で工事の流れを説明してくれます。

check2:現地調査の注意点

解体工事は実際に現地を見ないと工事日程や見積りが出せないため、日程を合わせて現地調査を行います。現地調査の際は立ち合いを行い、重要な点について質問しながら解体業者の対応を確認しましょう。

建物の場所・範囲・境界線の確認があったか

近隣住民の所有物であったブロック塀を壊してしまった、隣家の所有地に許可なく侵入してしまった等、取り壊し工事では少なからず境界線に関わるトラブルがあります。このようなトラブルを防ぐ意識がある解体業者は、解体工事を行う前に境界線の確認を行います。

また、正確な見積りを出すために、現地調査では塀や樹木等を含めた取り壊す場所や範囲を施主にヒアリングします。単に建物の確認しているかだけではなく、工事内容をしっかり聞いてくる業者は金額や安全への意識がある解体業者です。

処分出来る物と処分費用の見積りがあったか

解体工事の前には、室内にある不用品の処分が必要です。ご自身での処分が難しい場合は、解体業者に処分を依頼することも出来ます。ただし、処分品の中には一般廃棄物許可や古物商許可が必要なものがあるため、現地調査の際に解体業者に処分が可能かどうか確認しましょう。

また、処分が可能な場合は何tトラックで約何万円程度なのか、といった見積りを出してもらいましょう。

追加費用の説明があったか

残念ながら解体工事では、追加費用が発生するケースがあります。不正に追加費用を請求する悪徳業者も少なからず存在しますが、事前に見積りが取れない追加費用もあります。

主な追加費用としては、地中埋設物とアスベストがあげられます。地中埋設物は建物を取り壊して基礎部分の撤去をしないと判断が付きづらいため、見積り内容に詳しく記載ができないのです。

但し、地中埋設物やアスベストが出てくることは稀ではないので、どのような場合に追加費用が掛かるのか解体業者は把握しています。

そのため、追加費用がどのような場合に発生するのか、といった説明があるのか確認しておきましょう。

手でバツを作る「地中埋設物の撤去」での不当な追加費用を避けるポイント

滅失登記の説明があったか

解体工事の後には、滅失登記という手続きをする事が義務付けられています。ご自身で手続きすることも可能ですし、行政書士などに委託する事も出来ます。どちらにしても滅失登記を行うには解体業者の書類が必要です。

滅失登記をする時に困ることの無いよう、解体業者に滅失登記のために貰う書類について質問した際、きちんと答えてくれる業者を選びましょう。

他社の見積り金額を気にしすぎていないか

現地調査に来た時に調査や説明などをせず、他社の見積金額を質問してくる業者には注意が必要です。

「他の業者はいくらでした?そこよりも安くできますよ」等と言ってくる業者は、自社の見積り計算に根拠がない場合が多く見受けられます。

実際に他社よりも安く工事が出来たしても、解体工事にかかる必要経費を削らないと出来ないため、不法投棄等を行う違反業者の危険性が高くなります。

check3:許可と届出の確認

解体工事は誰でも自由にできる訳ではなく、許可や登録を得ている業者しか工事を行うことは出来ません。また、解体工事では重機等を使用するため、解体工事の内容によっては届出が必要です。

違法に解体工事が行われないためにも、許可や届け出の確認を行いましょう。

許可か登録を持っているか

解体工事を行うためには、解体業許可か解体工事登録を受ける必要があります。無許可で営業を行うような解体業者に依頼することがないよう、事前に解体業許可または解体工事登録を得ているかの確認を行いましょう。

リサイクル法・マニフェスト届出の確認

解体工事を行うには、前後にいくつかの手続きが必要です。中でも事前にチェックしたいのが、マニフェスト建設リサイクル法の届出です。

マニフェスト表とは、産業廃棄物が正しく処理されたのかを記載するものです。廃棄物の処分料を減らすため不法投棄を行った事例もあり、違反行為に巻き込まれないためにもマニフェスト表をチェックする必要があります。

建設リサイクル法とは、建物に使用されている資材をリサイクルするため作られた法律です。解体する建物が建設リサイクル法の対象であった場合、都道府県知事へ申請をしなければなりません。一般的に解体業者が申請しますが、厳密には申請の義務は施主にあります。

マニフェストと建設リサイクル法の申請は法律で決められた内容なので、これらの説明を行ってくれるのか、また説明がなかった場合は「工事の後マニフェスト表を確認できますか?」「リサイクル法の届出は頼めますか?」と聞いてみましょう。

質問に対してしっかりとした答えが得られない場合、不法投棄を行う業者、または申請をしたことがない違法業者の可能性があるので注意が必要です。

見積り

現地調査の内容をもとに、約1週間で見積書が送られています。不当な追加費用を請求された、不法投棄などの違法行為をする悪徳業者だった、等のトラブルを避けるためにも、しっかりと見積り内容をチェックしましょう。

check4:見積り内容の確認
□見積りを数社から取った
□見積書の内容説明の確認をした
□見積書の単位を揃えて比較した

check4:見積り内容の確認

解体業者が現地調査に来たあと、郵送等で「見積書」が通常約1週間で届きます。見積書の合計金額だけに注目して、実は損をしている事に気づかない、後から不当な追加費用の請求があったという事を防ぐためにも詳しいチェックが必要です。

見積りを数社から取る

解体工事は建物の条件によって費用が大きく異なるため、2~3社の業者に見積りを貰うことで、解体予定の建物の相場が把握できます。

ホームページや電話だけでは分からない事も多いので、実際、現地調査に来た時の反応と合わせて、見積書の確認を行いましょう。

見積書は合計の金額だけを見るのではなく、項目ごとの内容と合わせて金額をチェックすることが重要です。そのためにも、数社から見積書を受け取り見比べることをお勧めします。

見積書の内容説明の確認をする

見積書には見慣れない言葉が使われているので、一般の方が一見しただけでは難しい内容も含まれています。

お客様の立場に立っている解体業者なら、見積書の内容で分かりづらい箇所を説明してくれます。しっかり説明をしてくれる業者は、工事が始まった後もアフターフォローがある業者の可能性が高くなります。

ただ、解体業者は職人気質の方が多いので、説明を細かくしない業者のほうが多いのが現状です。

説明がなかった場合は不明点などを質問して、説明が丁寧かどうかといった点で見極めましょう。

見積書を見比べる

見積書に決まった形式はないため、数社に見積りを依頼すると、業者ごとに違った書式の見積書が届きます。

総額だけを見て安くても、必要な項目が漏れているため安い・単位が違うため安く感じるといった失敗があります。

後から金額面で後悔しないためにも、見積書の項目と単位を揃えて内容を見比べることをお勧めします。

見積書を比較するにあたって、特に注意したいことは次の3点です。

  • 税抜と税込どちらで表示されているか
  • 単位がそろっているか
  • 廃棄物や樹木の撤去など抜けている項目はないか

消費税の在る無しでも、10万円単位で金額が変わってしまいます。単位に関しては、解体工事の項目の建物の大きさを表す単位と、付帯工事の項目の廃材や残置物の撤去費用の単位に注意しましょう。

  • 建物の大きさの単位→坪かm²(平米)に統一
  • 廃材の処分費用→(立米)かt(トン)のどちらかに統一

処分費用は廃材と室内の不用品の処分に分かれます。室内の処分費用に関しては、単位表示が難しいため「〇tトラック×台数」で計算します。

4人家族の荷物を載せた場合、4tトラック(1台約7万~10万)×2台が一つの目安です。

実例を見ないと分かりづらい箇所もあるため、上記の「例:見積り比較表」をご参考に、実際の見積書を見比べてみましょう。

解体業者と契約

解体業者を決定したら、契約内容をしっかり確認した上で契約を交わしましょう。契約は立ち合いが好ましいですが、日程が難しい場合は契約書を郵送することも出来ます。

どちらにしても口頭ではなく、必ず書面での契約を交わしましょう。事故が起きた・裁判に発展した等の最悪の事態を想定して、問題が起きてしまったときの対処についても、契約書での確認が重要となります。

check5:スケジュールと契約書の確認
□工事着工までの手順とスケジュールの確認をした
□工事終了までの期間を確認した
□契約書の重要項目をチェックした

check5:スケジュールと契約書の確認

解体工事後の予定に影響がないよう、スケジュールを明確にしましょう。また契約書において、問題が発生した時にトラブルにならないよう書面での明記が必要です。

工事着工までの流れの確認

解体工事が終わる時期が予定とズレてしまうと、売却や新築など解体後のスケジュールにも影響が及んでしまいます。解体工事が長引いたことが要因となり、費用が追加でかかってしまうケースも考えられます。

工事の正しい流れとしては、契約を交わした後書類の申請と工事の準備を行います。そして、近隣挨拶が終わったあと解体工事着工という流れで進みます。

しかし、解体工事を終えるまで時間が少ない場合、契約の順番が変わってしまうことがあります。

書類の申請と工事の準備を完了して、ご近所挨拶を終えたあと解体工事着工直前に契約を交わすというケースです。

解体工事着工の直前に契約を交わした場合、状況によっては工事期間がズレてしまう可能性が高まります。

解体業者が決まったら、解体工事着工までの流れに関して、スケジュールに影響が出ないよう確認をしておきましょう。

工事終了までの期間の確認

解体工事の契約に関しては、流れだけではなく明確な期間についてもすり合わせをしておくことが重要です。ご自身の予定だけではなく、近隣の方に工事はいつ完了するか伝えるためにも、日程の確認を行いましょう。

  • 解体工事の契約をいつ交わすか
  • 解体工事のスタートはいつからか
  • 解体工事終了はいつの予定か
  • やむを得ない理由での工期延長のケースについて

解体工事にも繁忙期があり、優良な業者ほど工事の件数が埋まってしまいます。理想では約2か月前、遅くても解体工事の1か月前には、解体工事の契約を交わしましょう。

また、解体工事が1週間以上延長することは滅多にありません。地中埋設物等により、やむを得ず工期延長になることもありますが、工期が伸びるケースがあることは予め解体業者も把握しています。

「解体工事完了の日程は〇日です。ただ、天候や地中埋設物の発見などの突発的なことがあった場合、工期が伸びる可能性があります。」と事前に説明してくれるかどうかも、契約を交わす前に確認しておきましょう。

契約書の重要項目をチェックする

契約書の内容に関しては、工事の内容・金額・期間・必須項目の4点をチェックしましょう。

  • どのような構造の建物の解体工事か記載がある
  • 解体工事の総額の見積り金額に間違いがないか
  • 工事完了の日程が合っているか
  • 契約内容に必須の内容が明記されているか

建物の対象物や日程、金額に関して、解体業者と口頭で話した内容と違っている箇所がないのか必ず確認します。また、契約内容に必須な内容が含まれているかどうか確認が必要です。必須項目として、下記の内容が書かれているのかを確認しましょう。

  • 工事を請け負った解体業者が、工事期間中に解体工事に必要な機材道具に関して、近隣住民など第三者に迷惑にならない処置を、自己で行わなければならない。
  • 解体業者は解体工事に関して、業者の責任により近隣住民など第三者に損害を与えた場合、自己の責任で問題解決をして賠償の責任を負わなけれなならない。
  • 施主と解体業者に問題が起きた場合、双方が認めた第三者に仲介を依頼するか、法が定めた建設工事紛争審査会により、問題を解決しなければならない。
  • 解体業者は工事完了後、マニフェスト表(産業廃棄物処分の証明)の提示を施主に求められたら、マニフェスト表の映しを提示しなければならない。

言葉が違ったとしても、上記の内容が書かれているか、契約書の内容を確認して、明記されていない場合は追加の要求をした後契約を交わしましょう。

工事着工前

契約が済んだら、解体工事が始まる前に終わらせておく連絡や申請があります。解体業者が行うものが多いですが、施主がやるべき事もあるので、工事が始まって困ることのないよう準備しておきましょう。

check6:ライフラインの停止と各種届出
□ライフラインの停止を行った
□各種届出の連絡を行った
check7:不用品の処分
□不用品の分別・処分を行った
check8:近隣住民への挨拶
□施主と解体業者で近隣挨拶を行った
check9:事前申請の確認
□建設リサイクル法の届け出を確認した
□道路使用許可申請の届け出を確認した

check6:ライフラインの停止と各種届出

解体工事前に施主が行う手続きが、ライフラインの停止と郵便物の停止等の各種届出です。ライフラインの停止は業者が行う事も可能ですが、契約者以外が手続きをすると時間がかかる事が多いため、基本的には施主が行います。

電気やインターネット回線で必要のない料金を払い続けたり、解体中の建物に郵便物が届いて困ることの無いよう、事前に手続きをしておきましょう。

ライフラインの停止

解体工事が始まる前に、電気・ガス・水道をいつ頃止めれば良いのか、解体業者に確認を行いましょう。通常ガス・電気等のライフラインは、工事における危険を防ぐため、解体工事が始まる前に止める手続きをします。

但し、解体工事中の粉塵対策のために水を使用するため、水道はそのままにしておくケースが多いです。

また、室内での作業に電気が必要になる場合もあるため、ライフラインについては、停める前に業者に確認を行いましょう。

各種届出の連絡

電気・ガス・水道の他にも、郵便物・インターネット等、定期契約していたサービスの停止や移転の届出を行いましょう。

電話に関しては使用しない場合は解約ですが、再度使用する場合は『一時中断』の手続きをしておけば、移転手続き後同じ番号を使う事が出来ます。

また、引っ越しなどで解体する場合は、転居届けも忘れずに提出しましょう。その他、健康保険・国民年金・電話会社・ケーブルテレビ等、状況によって移転や停止の手続きが必要です。

check7:不用品の分別と処分

取り壊し工事の際は、住宅の中に物がある状態の方が多いと思います。思い出として取って置きたい物と、処分するモノに分けて、さらにご自身で処分するものと業者に依頼するものに分別しましょう。

物の量によっては不用品を全てご自身で処分するのは大変なので、ご自身で処分した方が安く済むもの・業者に依頼した方が安くすむものだけでも分けておくことをお勧めします。

解体工事は大きなお金が必要になるため、節約出来る所は可能な範囲で安く抑えましょう。

check8:近隣住民への挨拶

解体工事は工事の内容上、配慮しても一定の騒音や振動などで、近隣住民の方へストレスを与えてしまいます。そのため、解体工事の最中はトラブルが起こりやすく、工事の中断や裁判にまで発展してしまうケースもあります。

可能な限りトラブルを防ぐためには、事前に近隣の方への理解を得るため、しっかりと近隣挨拶をしておくことが重要です。

近隣挨拶は、解体業者と施主が一緒に伺うことが一般的です。工事で迷惑を掛けてしまうお詫びと、工事内容の説明を行います。近隣挨拶の際はより丁寧な印象になるため、出来るだけタオル等の粗品を持っていくことをお勧めします。

頭を下げている女性解体工事のその前に!失礼のない近隣挨拶とは

check9:事前申請の確認

工事の内容においては、解体工事を行う前に建設リサイクル法の申請道路使用許可の申請、そしてアスベストの届け出が必要です。

一般的に申請は解体業者が行いますが、厳密には申請の義務は施主にあります。申請が遅れて罰則等の対象にならないよう、工事が始まる前に提出の確認をしておきましょう。

建設リサイクル法の届け出を確認

建設リサイクル法は、建設に関わる資材のリサイクルの為に設けられた法律です。主に以下の条件に該当する場合、建設リサイクル法の対象となります。

  • 特定建設資材を用いた建築物
  • 床面積の合計が80m²以上

上記に当てはまる場合、決まられた届出を1週間前までに役所へ届けます。ご自身で行うと慣れないことも多いため、前編でご紹介した通り業者に届出をしてくれるか聞いた上で、工事の前に提出がされたかの確認を行うことをお勧めします。

道路使用許可の申請を確認

解体工事では、建物を解体したり廃材を運び出したりするため、重機や車の搬出入が必要になります。敷地や近隣状況によって、重機や搬入車を停めるスペースがない場合、道路使用許可申請を行います。

道路使用許可申請は、主に解体業者が有償で提出します。見積りに「道路許可申請費用」という項目があるはずですが、交渉次第では値引き代わりにサービスしてくれるかもしれません。

アスベストの調査と届け出を確認

アスベストによる健康被害が社会問題になったこと等を背景に、石綿(アスベスト)飛散防止対策が平成26年6月から強化されました。

大気汚染防止法の改正により解体工事の発注者(又は自主施工者)が、石綿(アスベスト)の有無について事前調査と結果の掲示をすることが義務付けられました。

アスベストの飛散を防ぐために、解体工事を行う前に石綿の調査と調査結果の書面による説明・解体工事現場への掲示を行う必要があります。

また、調査により石綿の使用が確認された場合、レベルによって解体工事の作業を始める14日前までに届け出を行います。

解体工事中

工事前の準備が終わったら解体工事に取り掛かります。工事が始まっても安心せずに、現状を把握しておきましょう。

check10:工事現場の現状確認
□近隣住民に迷惑が及んでいないか
□養生と散水が出来ているか
□工事終了後の工事現場と道路の清掃が出来ているか

check10:工事現場と解体業者の現状確認

解体工事におる近隣トラブルを防ぐためには、工事前の挨拶と工事中の対応が重要です。知らずに対応が遅れたために、被害が大きくなってしまうことの無いよう、工事中も注意が必要です。

近隣住民に迷惑が及んでいないか

解体工事を実際行う従業員によって、近隣の方への印象は大きく変わります。常識のない格好をしていたり、近隣の方の迷惑になる場所で喫煙をしていると、工事の騒音等のストレスに加わり悪印象になります。

出来れば工事現場に足を運んで、近隣住民の方の迷惑になる行動がないか確認しておく事で、トラブルを未然に防ぐことが出来ます。

養生と散水が出来ているか

解体工事の前には、騒音や粉塵を防ぐために養生を施します。養生をしていなかったり破れた養生を使っていると、ご近所へ被害が及ぶだけでなく大きな事故にも繋がります。

安全への意識やご近所への配慮がある解体業者なら、しっかりと養生を施した上で解体工事を行います。解体工事前に養生が行われているか確認の上、疑問な点があったら業者に質問しましょう。

また、解体工事中に埃が飛ぶのを防ぐための散水や、工事後の清掃が出来ているかもチェックすることをお勧めします。


養生シート
解体工事の養生は義務?養生シートでわかる解体業者の質

工事終了後!書類の手続きもチェックしよう

解体工事終了の連絡がきたら、現場の確認をすると共に、書類の受取を行います。解体工事が完了したあとは、法律に基づいた手続きを行いましょう。

check11:契約通りの工事が行われたか確認
□整地の状況を確認した
□近隣へ損傷がないか確認した
check12:必要書類の受け取りと申請
□マニフェストの受取りとサインの確認をした
□建物滅失登記に必要な書類を受け取った
□建物滅失登記の申請を行った

check11:契約通りの工事が行われたのか確認

解体工事は建物を壊して終わりではなく、廃材を分別回収して地面を整えた「整地」にした状態で一連の工事が終わります。

契約した通り整地までの工事が終了しているか、また工事によって近隣住民へ何かしらの被害を与えていないかどうかを、しっかり確認しておきましょう。

整地の状況を確認する

解体費用を支払う前に、敷地内と道路が清掃されているか、地面に凸凹がなく整った状態になっているかの確認が大切です。

整地の確認をする前に費用を払ってしまうと、不備があっても取り合ってもらえない可能性があります。

特に解体工事後に売却や新築の予定がある場合は、解体工事後の状態によって売却に影響が及んだり、更地にするために余計な費用を払う必要が出るかもしれません。

後から困ることの無いよう、工事終了の連絡を貰ったら、実際に現場に赴いて契約通り工事が終了したか、確認をしましょう。

夕日に照らされた工事現場解体工事後の整地はきれいとは限らない!施主が確認すべき点

近隣へ損傷がないか確認

あってはならない事ですが、重機の使用や車の搬出入の際に、近隣の家屋に傷を付けてしまう事があります。

業者から事故の報告があるのが当たり前ですが、報告がなくトラブルがあったことを知らなければ、被害を受けた方に何の対応も出来なくなってしまいます。

解体工事中に近隣住民とのトラブルや被害がなかったか、対応が遅れることの無いよう業者へ確認が必要です。

また、解体工事の前だけではなく、工事が終わった後も近隣挨拶をして、迷惑を掛けなかったかの確認を行いましょう。

check12:必要書類を受け取り申請する

解体工事後の現場確認を終えたら、追加費用が発生していないか、また内訳に間違いが無いか確認の上で費用を支払います。

解体費用の支払後、マニフェストの確認と滅失登記に必要な書類を受取り、期間内に申請を行いましょう。

マニフェストの受取りとサインの確認

マニフェストとは、解体工事で排出される産業廃棄物の、運搬から最終処分までの過程を明記した表のことです。

産業廃棄物の不法投棄があった場合、違法行為を行った業者だけでなく、施主に疑いが及ぶ可能性もあります。違法行為を防ぐためにも、適切な廃棄処理が行われたか、マニフェストの確認を行いましょう。

解体工事後にマニフェストE表のコピーを受取り、業者のサイン・受取印・日程の記入が漏れなく明記されているかチェックが必要です。


工事におけるマニフェスト制度
工事におけるマニフェスト制度とは?

取り壊し証明書と印鑑証明書の受取

建物を解体して登記されていた建物が存在しなくなったら、「建物滅失登記」という手続きを行うことが義務付けられています。建物滅失登記は施主が登記するか、土地家屋調査士などに委託して申請します。

どちらが行うにしても、建物滅失登記には解体業者から以下の3つの書類を貰う必要があります。

  • 取り壊し証明書
  • 解体業者の印鑑証明書
  • 解体業者の会社登記事項証明書

期間内に登記を行うため、解体業者からこれらの書類を忘れずに受け取りましょう。

建物滅失登記の申請

建物の解体が終わったら、ご自身か業者に依頼して、建物滅失登記を1ヶ月以内に法務局へ提出します。

建物滅失登記の義務を怠った場合、10万円以下の過料に処される可能性があるため、必ず期間内に申請しましょう。

土地家屋調査士や司法書士に委任するここも出来ますが、相場として4~5万の費用が発生します。手間がかかるので依頼する、費用を抑えるためご自身の申請する、どちらにして不備の無いよう期間内の提出が必要です。

滅失登記マニュアル解体工事後の必須事項!「滅失登記」とは何なのか?

解体工事のチェックリストについてのまとめ

解体工事のチェックリストと、解体工事中から工事終了までの項目に関してご紹介しました。解体工事を安心して終えるためには、業者選びから始まり工事終了後の申請までを滞りなく行うことが重要です。

チェックする内容が多く面倒に感じますが、トラブルが起きてしまうともっと労力が必要になったり、余計な費用が掛かってしまう可能性が増えてしまします。どの項目も大切ですが、チェックリストの中でも特に重要なのは、安心して工事を依頼できる解体業者を選ぶことです。

失敗して後悔する事の無いよう、チェックリストを元に時期ごとに一つひとつ確認を行うことをお勧めします。

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