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じん肺、中皮腫、肺がん…実際の事例から見るアスベストの脅威

人体に被害を及ぼすことが発覚し、問題視されるようになったアスベスト

「騒ぎになっていたのは昔だし、今の建築物は大丈夫」「自分の身体には何の異変もないし、問題ない」など、自分とは関係のない問題だと思っていませんか?
実は、今現在もアスベスト含有の建築物は多く存在します。
そして、アスベストが人体に潜伏する期間は30~50年。今は身体に何の異変も起こっていなかったとしても、思いもよらないある日に、突然病に侵されてしまうかもしれません。

今回は、実際にアスベスト被害が起こった過去の事例をもとに、アスベストが人体に被害を及ぼす理由、そして対策などをご紹介していきます。

現在でも問題となっているアスベスト

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アスベスト問題は、何も過去のことではありません。
たしかに、アスベストが問題視され、騒ぎになったのはおよそ12年前。それ以前から少しずつアスベストの規制がされるようになっていましたが、完全に製造・輸入・使用などが禁止されるようになったのはその頃からです。
しかしそれは禁止されて以降の建設時に使用することが禁止された、ということ。かつてアスベストを使用して建てられた建築物は、まだ日本中に残ってしまっているのです。

アスベスト含有の建築物は、破損・倒壊したり、解体したりする際に大量のアスベストを飛散させてしまいます。現在もアスベスト含有の建築物が残っているということは、現在にもアスベストが飛散してしまう危険性があるということなのです。

アスベストの性質や危険性について、こちらでも詳しくご紹介しています。
解体工事の前に知っておくべきアスベストの危険性と処理方法

曙ブレーキ工場問題

アスベスト訴訟、国と元従業員ら和解 じん肺の区分2番目で全国初

羽生市の曙ブレーキなどでアスベスト作業に従事し健康被害を受けた元従業員と死亡した元従業員の遺族ら11人が国を相手取り約1億230万円の損害賠償を求めた訴訟で、国と元従業員ら3人の和解が11日、さいたま地裁(大野和明裁判長)で成立した。

和解したのはいずれも曙ブレーキの元従業員で70代の男性2人と死亡した男性の妻。賠償額は大阪泉南アスベスト訴訟の最高裁判決に沿ったもので、1人当たり賠償基準額の半分の550万円に弁護士費用などを加えた額で成立した。

3人はじん肺法に基づく健康管理区分で4段階のうち「管理区分2 合併症なし」に該当。じん肺の所見がない管理区分1に次いで下から2番目の区分で、じん肺の所見が見られ、将来的に健康被害の可能性があるとされる。

引用:Yahoo!ニュース

曙ブレーキとは、1929年より自動車用ブレーキを中心に生産している自動車部品メーカーです。かつての社名は「曙石綿工業」。その名の通り石綿(アスベスト)を使用し、2000年までブレーキ製造を行ってきました。
しかし、曙ブレーキでは従業員らに対し、マスク着用を義務付けるなどの措置を怠っており、更にはアスベスト被害についての補償をしていなかったというのです。
今回の訴訟は、アスベスト被害に遭った元従業員、そしてアスベスト疾患により亡くなった元従業員の遺族らが損害賠償を求めたということです。

過去に、曙ブレーキは次のように発表しました。2005年のニュースです。

曙ブレーキ,アスベスト疾患による被害者数を公表

曙ブレーキ工業は,アスベスト疾患による死亡者数がこれまでに1人発生していたことを明らかにした。同社では,主に自動車用のブレーキライニングやディスクブレーキ・パッドなどの摩擦材を製造,その原材料の一つとして耐熱性などに優れた白石綿(クリソタイル)を使用してきた。しかし1987年からノンアスベスト製品をラインナップし,1999年にディスクブレーキ・パッドで,2000年にはブレーキライニングで切り替えを完了。それ以降,アスベスト製品は一切生産していない。なお,死亡者数と併せて公表された療養者数は0人。

引用:日経テクノロジー

なお、元従業員らと曙ブレーキ間の訴訟は2015年末に①曙ブレーキ工業による遺憾の意の声明、②相当額の解決金の支払いにより、和解成立しました。
被害者の方々が企業を提訴したのは2012年11月。実に、3年間に渡る裁判となりました。

慶応大改修工事問題

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「健康被害に不安」 石綿飛散、建設会社に賠償求める

横浜市港北区の慶応大矢上キャンパスで改修工事の際にアスベスト(石綿)の飛
散防止措置を講じないまま石綿を含む建材を撤去した問題で、現場作業員を支援する県建設労働組合連合会が23日、市役所で会見した。重大な過失があったとして、施工主の大林組に作業員への謝罪に加え、廃棄処分した作業着や健康診断費、慰謝料などの損害賠償を求める申し入れを行った。慶応大にも同様の申し入れを24日に行う。

会見には、1次下請けの30代の男性作業員が同席。男性は天井の吹き付け状況から石綿ではないかと大林組の現場責任者に確認したが、作業の継続を指示された。男性はその後撤去した建材を自ら検査機関に持ち寄り、調べてもらったという。

男性は「ずさんな環境で仕事をさせられた。石綿を吸ったのは事実で(健康被害は)不安しかない。大林組はちゃんと対応してほしい」と訴えた。

作業は昨年11月に2日間にわたって実施された。今回の問題に関して、市は大気汚染防止法に違反するとして、大林組と慶応大に原因究明と再発防止を求めて行政指導を行っている。

引用:Yahoo!ニュース

こちらのニュースは、改修工事の作業員がアスベスト含有の建材を、それと知らずに撤去させられたというもの。申し入れを行った男性は、大手建設会社の大林組の下請け会社に勤めていたのだそうです。
通常、アスベスト含有の疑いのある建築物は従業員も保護具の装着を義務付けられており、現場からアスベストが飛散しないよう前室や負圧除塵機を設置するなどの措置を取らなくてはなりません。然るべき措置を怠ると、作業員の健康を害すばかりでなく、周囲の方々にも被害を及ぼすおそれがあるのです。

震災によるアスベスト飛散問題

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熊本地震で被害のビル アスベスト飛散のおそれ

熊本市は、地震で被災した建物に健康被害を引き起こすアスベストが使われていないか確認する調査を始めました。
熊本市が2日から始めた調査では、アスベストの専門家などが建物の壁に入ったひびをライトで照らして断熱材の素材を確認したり、建物の所有者にいつ建てられたのかを聞き取ったりしていました。
環境省によりますと、規制が強化された平成7年より前に建てられたビルなどでは天井や配管などにアスベストが使用されている可能性があり、周囲に飛び散れば健康被害を引き起こすおそれがあるとしています。

引用:NHKニュース|被災建物のアスベスト使用を調査 熊本

アスベスト含有の建築物が予想外の災害で破損もしくは倒壊してしまい、周囲にアスベストが飛散してしまうという被害は、熊本地震が初めてではありません。
日本国内では1995年に発生した阪神・淡路大震災、そして2011年に発生した東日本大震災。更にアメリカでは、2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件によるビルの倒壊でも、大規模なアスベストの飛散が確認されました。

アスベスト含有の建築物をそのままにしてしまうと、こうした思いもよらない災害時に更なる被害をもたらしてしまうおそれがあるのです。

アスベストによる健康被害

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アスベストが人体に被害をもたらすということは、もうお分かりいただけたかと思います。それでは、具体的にはどのような影響を与えてしまうのか見ていきましょう。

アスベスト吸引が引き起こす病

悪性中皮腫
悪性中皮腫とは、肺を取り囲んでいる胸膜や、肝臓・胃などの臓器を囲む腹膜などに発生する悪性の腫瘍で、ほとんどがアスベスト吸引が原因とされています。
しかし、アスベスト吸引時から中皮腫が発生するまでの期間は平均40年ととても長く、また、症状も胸痛・咳・発熱・体重減少など、特徴的な症状ではないため早期の発生も難しい病気です。
中皮腫は発生から2年の生存率が約30%と非常に予後が悪く恐ろしい病気です。
肺がん
肺がんとは、肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞が何らかの原因により癌化してしまったもので、進行するにつれ周囲の組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパに乗って広がってしまいます。
肺がんの原因はアスベスト吸引だけではなく、喫煙や排ガスのばく露など様々です。アスベスト吸引が原因であった場合、アスベスト吸引から肺がんの発生までの期間はおよそ20年~30年。
発生からの生存率は約15%と、予後も非常に悪い病気です。
じん肺
じん肺とは、正しくは塵肺と書きます。アスベストなどの粉塵や微粒子を長い期間に渡り吸引した結果、肺の細胞に蓄積することにより起こる肺疾患を総称して「じん肺」と呼びます。
アスベストの吸引により起こる石綿肺には本質的な治療方法がまだ存在しないほか、肺結核や肺がん、悪性中皮腫を合併して引き起こすことが多いとされています。アスベストの吸引からじん肺の発生まで、10年程度の潜伏期間があるといわれています。
びまん性胸膜肥厚
びまん性胸膜肥厚とは、肺を覆う膜である臓側胸膜の慢性繊維性胸膜炎の状態で、呼吸障害を徐々に進展させるほか、慢性呼吸不全に陥ることもあります。
こちらの病気も潜伏期間は30~40年と非常に長いですが、アスベストを3年以上日常的にばく露してきた場合に発生することがほとんどだと言われており、一般環境においてのばく露での発症は現在まで報告されていません。

何故アスベストが健康被害を引き起こすのか?

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ではなぜ、かつて「奇跡の鉱物」とまで称讃されたアスベストは、人体に健康被害を及ぼしてしまうのでしょうか。

アスベストの繊維は約0.02μm~0.08μm程度の大きさと、人間の肉眼では認識できないほど非常に細かいものです。
そのために飛散してしまうと空気中に浮遊しやすく、吸引すると人の肺胞に沈着してしまいやすいのです。また、丈夫で変化しにくい性質であるがために体内に滞留してしまいやすく、これが肺の繊維化や、肺がん、悪性中皮腫につながってしまうとされています。

アスベスト被害を防ぐために

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アスベストが人体に与える恐ろしい影響についてここまででお分かりいただけましたね。
では、アスベストによる被害を防ぐためには、いったいどうしたらよいのでしょうか?

アスベスト含有建築物はそのままにしておかない

アスベスト含有の建築物をそのままにしてしまうと、災害時など予想外の事態で破損・倒壊してしまったときなどに、アスベストがそこら中に飛散してしまうおそれがあります。
また、破損や倒壊が起きるような大規模な事故や災害がなかったとしても、建築物の劣化・老朽化により建材がむき出しになり、気づかぬ間にアスベストをばく露していた、ということがあるかもしれません。

アスベスト含有の判断材料となるのは、建築物の築年数です。
その建築物が建てられたのがアスベストの使用が禁止される以前であった場合、アスベスト含有のおそれがある、ということになります。
アスベストの製造・輸入・提供・譲渡・使用が完全に禁止されたのは、今より10年前の2006年。
2006年以前に建てられた建築物の全てにアスベストが使用されているというわけではもちろんありませんが、可能性がゼロではないということは頭に置いておきましょう。

それぞれの地域の取り組み

多くの自治体で、アスベスト除去に関する補助制度が施行されています。
例えば、アスベスト含有の調査を無料で行ってもらえる制度や、アスベスト除去に係る費用の一部を補助してもらえる制度。
「お金がかかるから、今はまだやらなくてもいいかな」と思わず、早めにアスベストの有無をたしかめ、然るべき除去作業を行いましょう。

アスベストの除去は、個人で行ってはいけません!
お住まいの地域に相談し、くれぐれも専門機関に行ってもらうようにしましょう。

石綿健康被害救済制度

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アスベストによる健康被害の迅速な救済のため、アスベストによる健康被害を受けた方々や、アスベスト被害による亡くなった方のご遺族に対し、医療費等の救済給付を支給する「石綿健康被害救済制度」が、今より10年前の平成18年3月27日に施行されました。この法律のことを、石綿健康被害救済制度といいます。

対象となるのは、悪性中皮腫・肺がん・石綿肺・びまん性胸膜肥厚に罹った方のうち、労災保険などの補償を受けていない方と、そのご遺族の方です。

療養中の方への給付内容
医療費 :医療費の事故負担分
療養手当:103,870円/付き
葬祭料 :199,00円(認定後に亡くなられた場合)
ご遺族の方への給付内容
特別遺族弔慰金と特別葬祭料:2,999,000円

法律施行意向、未申請のまま亡くなられた方のご遺族と、
法律施行前に亡くなられた方のご遺族が対象となります。

石綿健康被害救済制度は、認定申請を環境再生保全機構に提出し、環境大臣に認定されることで受けることができます。
まずはフリーダイヤルに相談してみるとよいでしょう。

まとめ

今回は、アスベストが人体に及ぼす被害について、具体的にご紹介いたしました。
アスベスト問題は決して過去のことなどではなく、現在にもアスベストによる病と闘っている人はいますし、あなた自身の身体に影響をもたらすことがあるかもしれません。

もしもあなたのお住まいの家などにアスベスト含有のおそれがあった場合、すぐに地域の自治体に相談し、含有調査・除去作業を行いましょう。
もしかしたら、その行動が多くの人の命を救うことになるかもしれません。

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