2017年5月から施行された特別措置法の影響で特定空き家に指定されると固定資産税の軽減を受けられなくなります。
一部の不動産会社ではなかなか買い手がつかない土地でも空き家の解体工事をして更地にすれば買い手がつくようになる、とアドバイスしているところもありますが必ずうまくいくとは限りません。
更地にしても買い手がつかなければ固定資産税は高くなり、解体工事にかかった費用は無駄になってしまいます。
そこで今日は空き家ごと活用できる「空き家バンク制度」について紹介していきます。
このまま何もしないと固定資産税はどうなる?
特定空き家に指定されると固定資産税はどれくらい高くなるかご存知ですか?
500万円の土地を所有している場合の計算例
例えば500万円の土地を所有している場合、年間の固定資産税は1万1,667円ですが、特定空き家に指定されると4万9,000円まで高くなってしまいます。
固定資産税評価額 500万円 × 負担水準 0.7 × 標準税率 1.4% =4万9,000円
特定空き家に指定されるだけで固定資産税は約4.2倍まで高くなってしまいます。
しかも家屋部の固定資産税は土地とは別に徴収されます。
特定空き家に指定される前に対策をたてなければなりませんが、地方や田舎の物件では簡単に買い手がつきません。
更地にするにも解体工事の費用がかかるし解体工事をしても売れなかった時の事を考えるとリスクは大きいです。
地方では空き家の数が年々増加しており深刻な社会問題になっています。
そこで「空き家バンク」が地方の空き家問題の解決策として注目されています。費用を掛けずに空き家をそのまま活用できる画期的な制度です。
空き家バンクって何?
空き家バンクは自治体が運営するマッチングサービスで、地方で空き家をもつオーナーと、田舎で生活をしたい移住希望者を結びつける制度です。
田舎で子育てをしたいと考える家族や、老後を静かな地域で暮らしたいと考えている夫婦がいる一方で、地方では空き家の活用に困っている人がいます。
空き家バンクはこの両者を引き合わせてくれる理想的な仕組みです。
また、空き家バンクを管理している地方自治体にとっても人口増加が街の活性化に繋がり税収も増えるので、空き家を活用した空き家バンク制度は三者三様に大きなメリットがあるというわけです。
現在空き家バンクは750以上の自治体が非営利目的で取り組んでおり、今後の空き家問題の解決策として大きな注目を集めています。
空き家バンクでは何ができるの?
空き家バンクでは売却や賃貸を目的として空き家を登録する事ができます。
登録された空き家は自治体が運営するホームページに掲載され、一般から入居者を募る事ができます。
成約の割合は売買が7割、賃貸契約が3割と売買の方が多い印象です。
また、空き家バンクでは値段の交渉は、オーナー自身が直接行うケースが多く、売却価格や賃貸料金はオーナーが自由に決める事ができます。
空き家バンクの登録条件
空き家バンクに登録するには各自治体が定めている登録条件を満たさなければなりません。
例えば、能登市では、
などの条件全てを満たす必要があります。
登録に必要な条件は各自治体によって異なるので注意が必要です。
また、登録条件とは別に自治体の職員が立ち合い現地調査を行う場合がほとんどです。
あまりにも人が住める状態では無い場合や、倒壊の危険があると判断された場合は空き家バンクに登録できない場合があります。
とはいえ、多少古い建物や修繕が必要な空き家もリフォームを前提として登録されている空き家もあり、登録できるかどうかの基準は各自治体によって異なります。
空き家バンクの費用は?
空き家バンクを利用する費用はかかりません。
所定の手続きで自治体が指定した不動産業者を利用した場合は手数料が必要ですが、基本的には無料です。
むしろ自治体によっては修繕やリフォームの為に各種助成金が用意されています。
例えば、三豊市では空き家を貸し出せる状態にするためのリフォームにかかった費用のうち50%は補助金がでます。(100万円を上限とする)
また、会津坂下町では空き家バンクに登録する物件に残存する家財道具などの処分費用を20万円まで補助してくれます。
補助金制度を用意している自治体は非常に多いので必ず窓口で確認する事をお勧めします。
空き家バンクに登録されるまでの3ステップ
実際に空き家バンクに登録する手順を紹介します。
申請の手順は各自治体で多少異なりますが大まかに3つの手順があります。
1.申請書類の記入と必要書類の用意をして自治体の窓口に提出する。
↓
2.自治体の職員や協力業者が立ち合いのもと写真撮影や現地調査を行う。
↓
3.登録した空き家の情報が自治体の運営するサイトに掲載される。
もちろん手数料や掲載料はかかりません。
一度登録してしまえば2年間有効で2年後は再登録も可能になっています。
申請用紙の記入例
ほとんどの自治体で「登録申請書」と「登録カード」の2枚だけで申請できます。
申請用紙の形式や呼び方は各自治体で異なりますが、記入する内容はほとんど同じで内容も難しくありません。
秋田市の申請書の記入例
今回は秋田市の空き家バンクの登録申請書と登録カードの記入例を紹介します。
https://blog.kaitai-guide.net/blog/wp-content/uploads/2017/02/akiyabank8_1.pdf
一枚目目の登録申請書は所有者の住所と名前と押印が必要です。
管理しているのが息子でも所有者は親なんて場合があります。謄本に記載されている名前を確認して記入して下さい。
https://blog.kaitai-guide.net/blog/wp-content/uploads/2017/02/akiyabank8_2.pdf
2枚目の登録カードの方は建物の細かい情報を記入するようになっています。
秋田市の場合間取りや正確な数字がわからなければ空欄のまま提出しても後で協力業者が測量してくれます。
また、希望価格の欄も周囲の相場や協力業者のアドバイスを参考に決めたいという時は未記入のままでも申請可能です。
ただ、主要施設等への距離や間取りの部分は実際のホームページに記載されたときに入居希望者が重要視する部分なのでしっかり記入した方がよさそうです。
ちなみに秋田市の空き家バンクの申請書はホームページからダウンロードしましたが、他の自治体でもホームページからダウンロードできる場合がほとんどです。
事前に記入してから窓口に行くとスムーズに登録できますね。
そのほか登録に必要な物
空き家バンクに登録をするには登録申請書と登録カードの他に建物に関する書類を用意する必要があります。
例えば以下のような書類があります。
必要な書類は各自治体によって異なるので事前に確認が必要です。
登記謄本と建物の図面だけで良い自治体もあれば課税証明書や土地の公図、身分証等複数必要な自治体もあります。
空き家バンクの登録にはそれぞれの自治体の案内に従って準備して下さい。
まとめ
空き家バンクの登録は各自治体によって条件も登録方法も異なります。また、空き家バンク制度は自治体によって運営自体されていない場合もあります。
登録したくて持っている空き家の住所で空き家バンク制度が運営されてなければ登録はできません。
近くの空き家バンクの情報はネットでも集める事ができるので、まずは「空き家バンク」のキーワードと持っている空き家の住所で検索してみて下さい。