空き家を放置すると損する税制を紹介!制度の仕組みと対処法は?

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空き家を所有している経緯のほとんどは、親族からの相続です。
相続はしたけれど、自分は住む気がない。かといって、壊してしまうのも親に忍びない。

そしてなにより「放置しておいても特に損しないから」と考え、空き家を放置してしまう方は跡を絶ちません。

しかし、2015年に国土交通省が施行した「空き家対策特別措置法」により、常識は覆されました。
現在、危険な空き家を所有しているだけで損をする時代に突入したのです

いざと言う時、「知らなかった」は通用しません。
空き家の所有で損をしないために、税制の仕組みを詳しく見ていきましょう。

1 空き家放置に待ったをかける「空き家対策特別措置法」の存在

2015年。増加し続ける空き家問題に対し、国土交通省は「空き家対策特別措置法」を施行しました。

空家等に関する施策に関し、国による基本指針の策定、市町村(特別区を含む。第十条第二項を除き、以下同じ。)による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とする。

引用元:国土交通省 | 空家等対策の推進に関する特別措置法

法令を受けて市区町村は、地域の危険な空き家を「特定空家」に指定し、特定空家の所有者に対して環境の改善を要求したり、ペナルティを課す事になりました。

特定空家の所有者に課されるペナルティこそが、税金で損をしてしまう原因なのです。

空き家空き家を放置すると税金が上がる理由とは?「空き家対策特別措置法」について解説

2 【損する税制】固定資産税・都市計画税

では、特定空家に指定されたペナルティが税制にどう影響しているのかを見ていきましょう。
対象となる税金は固定資産税都市計画税です。

固定資産税

固定資産税は、建物や土地の所有者に必ず課せられる税金です。
税率は原則1.4%(不動産の評価額に対して)で、毎年1月1日時点で不動産を所有している方が対象になります。

当然、空き家を所有している場合も対象です。

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)現在の土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」といいます。)の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額をその固定資産の所在する市町村が課税する税金です。
ただし、東京都23区内においては、特例で都が課税をすることになっています。

引用元:東京都主税局 | 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

計算例【固定資産税】
3,000万円(不動産の評価額) × 1.4%(税率) = 42万円(固定資産税)

不動産の評価額が3,000万円の場合、何もしなくても年間42万円の固定資産税がかかることになります。

都市計画税

都市計画税は、主に地域の整備、開発に充てられる税金です。
税率は原則0.3%(不動産の評価額に対して)です。

計算例【都市計画税】
3,000万円(不動産の評価額) × 0.3%(税率) = 9万円(都市計画税)

ただし、固定資産税とは違い、納税対象者は「市街化区域」内に土地や建物を所有している方に限ります。

市街化区域とは?
都市計画区域のひとつです。
既に市街地を形成している地域と、おおむね10年以内に優先的に市街化を図るべきとされている地域が該当します。

ちなみに、自身の住んでいる地域の市街化区域は国土交通省ホームページから確認ができます。

ほぼ全ての住宅に適用される軽減措置

そして、固定資産税と都市計画税には軽減措置が存在します。
建物が建っている200㎡以下の土地に対しては、固定資産税は1/6都市計画税は1/3まで減額されます。
以下は、軽減措置適用後の計算例です。

計算例【固定資産税・軽減後】
3,000万円(不動産の評価額) × 1.4%(税率) = 42万円(本来の固定資産税)
42万円(本来の固定資産税) × 1/6(税率) = 7万円(軽減後の固定資産税)

軽減措置によって、固定資産税は年間で42万円から7万円の負担になりました
ほとんどの住宅が200㎡の敷地内に収まるので、ほぼ全ての住宅に適用されていると考えてください。

また、200㎡以上の土地も固定資産税は1/3まで、都市計画税は2/3まで減額されます。

『特定空家』に指定されると軽減措置が外される

しかし、特定空家に指定されると、固定資産税と都市計画税の軽減措置が外されてしまいます
空き家対策特別措置法におけるペナルティのひとつです。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成26年法律第127号)の規定に基づき、市町村長が特定空家等(注)の所有者等に対して周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告した場合は、当該特定空家等に係る敷地について固定資産税等の住宅用地特例(※)の対象から除外することとする。

引用元:国土交通省 | 空家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税等に関する所要の措置(固定資産税等)

軽減措置が外されると、先程の例で出した不動産の評価額が3,000万円の空き家を所有していた場合、7万円の支払いで済んでいた固定資産税が42万円まで膨れ上がります。
特定空家に指定されると、ただ所有しているだけで固定資産税が実質6倍になってしまうのです

では、どうすれば「特定空家」に指定されないのでしょうか。
続いては、特定空家とみなされない為の方法を解説していきます。

3 『特定空家』を回避するには

固定資産税などの免税対象外となるのは、厳密に言えば「空き家」ではありません。
対象はあくまで「特定空家」で、適切に管理されている空き家を所有している分には問題ないのです。

では、特定空家を回避する為にはどうすれば良いのか、一緒に考えてみましょう。

『特定空家』の定義を知ろう

まず、どんな空き家が特定空家に指定されるのか、国土交通省の4つの基準をもとに確認していきましょう。

1 そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

建物の倒壊、部材の飛散が危険視される場合は、特定空家に指定される可能性が高いです。
具体例として以下のような事例が挙げられます。

  • 基礎に不同沈下がある
  • 屋根が変形している
  • 柱が傾斜している
  • 擁壁表面に水がしみ出し、流出している

2 そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態

空き家の衛生環境が著しく悪くなっている場合は、ただちに改善が必要です。
具体例として、以下のような事例が挙げられます。

  • 排水等の流出による臭気の発生がある
  • 浄化槽等の放置、破損等による汚物の流出がある
  • ごみ等の放置、不法投棄による臭気の発生がある
  • 多数のねずみ、はえ、蚊等が発生している

3 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

周囲の景観に多大な影響を及ぼしている場合、特定空家の対象になってしまいます。
具体例として、以下のような事例が挙げられます。

  • 多数の窓ガラスが割れたまま放置されている
  • 立木等が建築物の全面を覆う程度まで繁茂している
  • 屋根、外壁等が汚物や落書き等で汚れたまま放置されている

4 その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

近隣の住民に被害が及んだ場合も、特定空家の対象になります。
具体例として、以下のような事例が挙げられます。

  • 動物のふん尿その他の汚物の放置により、臭気が発生している
  • シロアリが大量に発生し、近隣の家屋に飛来している
  • 立木の枝等が近隣の道路等にはみ出している
  • 門扉が施錠されていない、窓ガラスが割れている

以上が、国土交通省の定めた「特定空家」の基準です。

続いては、空き家を上記の基準のような状態にさせないための方法を見ていきましょう。

参考 住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 - 国土交通省住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 - 国土交通省

定期的なメンテナンスを行う

所有する空き家が、特定空家の基準に当てはまらないようにするためには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。

空き家のメンテナンスとは?
空き家を管理する場合、定期的なメンテナンスが必要です。
空き家は数ヶ月放っておくと、設備の劣化や害虫被害が発生し、衛生環境が劇的に悪化します。
頻度としては月に1回以上が理想です。

「メンテナンスと言われても、何をやったら良いか分からない」という方は、3大メンテナンスを意識して行うと、最低限の環境を保てるのでぜひ実践してみてください。

空き家の3大メンテナンス
換気 空き家内の空気は、極端に流れが悪くなっています。ただ玄関の扉を開けるのではなく、押入れやクローゼットなど、湿気が溜まりやすい場所もしっかり換気をしましょう。
通水 水道管は、あまりに使わないと錆びてしまいます。また、錆によって水道管が破裂する恐れもあるので、メンテナンスの際は必ず水道から水を流しましょう。1分程度流しっぱなしにして、水に錆や汚れが混じっていなければOKです。
掃除 室内の掃き掃除はもちろん、庭の手入れも重要です。雑草が生い茂っている状態では、害虫の住み家になってしまいますし、伸びすぎると近隣にまで迷惑がかかってしまいます。
管理サービスを使う最低限おさえておきたい空き家管理の方法と空き家管理代行サービスおすすめ3つ

空き家管理サービスを利用する

とはいえ、毎月空き家へ訪れるのが困難な方もいらっしゃると思います。
自分でメンテナンスができない方には、「空き家管理サービス」の利用もオススメです。

空き家管理サービスとは?
所有者の代わりに空き家管理を行ってくれるサービスです。
空き家の周囲を確認するものから、設備の点検、簡易的な清掃を行うものなど、サービス内容は会社によって様々です。

有名どころでは、NPO法人の空家・空地管理センターがおすすめです。

100円管理

しっかり管理

引用:NPO法人 | 空家・空地管理センター

空家・空地管理センターでは、「100円管理サービス」と「しっかり管理サービス」の2種類のプランがあり、なんと100円から依頼ができます。

また、2つのプランに加え、害虫駆除や敷地内の草刈りなど様々なオプションも依頼できるので、現在の空き家の状態に合わせて理想的な管理が望めるのが大きなメリットです。

詳しいプランの概要はこちらから

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解体工事も視野に入れる

空き家自体に寿命が来たら、思い切って解体工事も視野に入れてみましょう。
解体工事で土地を更地にすることで、不動産売買がしやすくなったり、新築を建てたり、駐車場を作ったりと、土地活用の選択肢が多くなります。

ですが、解体工事をした方が良いと言われても「解体工事のことなんて何も分からない」「何となく怖いイメージがある」といった方も多いと思います。

解体工事に不安を抱えている方は、ぜひ当協会が運営する〈解体無料見積ガイド〉にご連絡ください。

解体無料見積ガイド

解体無料見積ガイド〉では、厳しい審査基準を通過した優良解体業者さんのみを、ご連絡頂いたお客様のご要望に合わせてご紹介しています。

無料で同時3社見積りが取れる上に、解体業者さんへのキャンセル連絡も行っていますので、まずはお気軽にご連絡ください。

まとめ

空き家を放置すると、税制においても大きな損をしてしまいます。
自分の所有する空き家が「特定空家」に指定されないために、まずは適切な管理から始めてみましょう。

もし、空き家に関する税金について、何か分からない事がありましたら解体無料見積ガイドへご連絡ください。
お悩みの解決へ、お力添えをさせて頂きます。

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