空き家放置はリスクだらけ!早期解体が「賢い選択」の理由とは?

空き家解体をする最大のメリットは、家を管理する手間から解放されることです。空き家を所有していると、建物や庭の管理を定期的に行う必要があり、放置してしまうと近隣住民や役所から苦情が来てしまいます。

平成26年に制定された「空家等対策特別措置法」では、適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定し、改善の勧告や命令ができるようになりました。

所有者の承諾を得ずに建物を解体し、その費用を請求される可能性もあります。つまり、現在、空き家を所有しているというとは大きなリスクを背負っていることになるのです。ここでは、特定空家に指定される前に早期解体の利点をご紹介したいと思います。

倒壊してからでは遅い!所有者が背負うリスク

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現在、所有している物件がどのような状態なのか所有者の方はしっかり把握していますか?「特にメンテナンスをしなくても大丈夫だろう」と安易に考えていると、後々取り返しの付かない事態につながりかねません。

近隣の方から苦情が寄せられていたり、行政から勧告などが届いている場合は早急に対処しなければなりません。ここで、所有している空き家が周囲に被害を与えた場合、どのようなリスクが生じるのかみていきましょう。

損害賠償請求

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建物の所有者は、建物が倒壊・一部損傷したことにより第三者に損害を与えた場合には損害賠償義務を負うことになります。この建物所有者の損害賠償義務は、所有者に過失が認められなくても負担しなければならない責任であり、建物を放置し、建物の朽廃により発生した損害については逃れることはできません。

物件を所有する場合、何らかの保険に加入することと思います。そして、各種保険は第三者の損害賠償についてもカバーしているのが一般的です。

賠償が付帯されている理由は、建物の所有者は、所有者であるという理由だけで当該建物から発生した第三者の損害を賠償するという重い責任を負っているからなのです。

近隣住民が持つ賠償請求権


所有権には第三者からの侵害や侵害のおそれを排除するための権利が認められています。これを妨害排除請求権妨害予防請求権といいます。

例えば、所有する空き家が倒壊して隣家が損傷した場合には倒壊した近隣住民から家屋の排除をを求められることがあります。空き家が倒壊するまでに至っていないものの、倒壊して隣家が損傷する可能性がある場合には倒壊を防止する措置をとらなければなりません。

空き家の所有者が隣家の方の請求に応じない場合には裁判ということになり、判決が下されても放置した場合には代替執行という形で隣家の方が所有者に代わって空き家の撤去や空き家が倒壊を防止する工事を行うことになります。隣家の方が、このような工事を行った場合、費用を負担するのは空き家の所有者であり、費用が割高であるというような異議を唱えることは一切できません。

空き家を放置しているということは、このようなリスクを含んでいる可能性があることを十分に認識しておかなければならないのです。

行政による代執行

空き家を解体する最大のメリットは、空き家を管理する手間から解放されることです。

空き家を所有していると、建物や庭の管理を定期的に行う必要があり、放置してしまうと近隣住民や役所から苦情が来てしまいます。

平成26年に制定された「空家等対策特別措置法」では、状態の悪い空き家を「特定空き家」に指定し、改善の勧告や命令ができるだけでなく、罰金刑や行政代執行などが行われる可能性があります。

実例から見る空き家の実情

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ここでは空き家に関係する、具体的な事例を見ていきましょう。

近隣住民から苦情殺到!東京都による代執行

東京都大田区の住宅地に、コンクリートの基礎部分が残る空き地がありました。そこには木造2階建ての無人アパートが建っており、床面積は187平方メートルで築46年です。

トタン屋根ははがれ、隣家の敷地や道路に落ちている状態です。テレビやソファーなど粗大ゴミも散乱。区に2006年頃から「危ないので何とかして欲しい」と住民の苦情が寄せられるようになり、台風前にはアパートの屋根が飛散する可能性があることから消防署が屋根の一部を撤去する状態でした。

区は十数回にわたって所有者に撤去を呼びかけ、説得を試みました。しかし、所有者が応じることはなく、罰則はないものの所有者に代わって危険な空き家を解体できる「空き家条例」を制定します。その後、委員会の審議を経てその物件は代執行により解体されました。

近隣住民からは安堵の声が寄せられ、「火事なんか起こればたまったもんじゃない。みんなほっとしている」という意見もあったほどです。区には空き家に関する苦情が160件以上を寄せられており、担当者は「所有者にペナルティーを科すことで、行政の指導力が上がる」と話しています。

参照:朝日新聞 DEGITAL

空き家がもたらす地域への悪影響とは

山梨県では住宅数39万8300戸に対して空き家は8万900戸と、空き家率は20%を超えています。

和歌山県では18%弱です。空き家は地方だけの問題ではなくなり、東京都23区内の某区の持ち家マンションの空室率は34%、3件に1件が空き家の計算になります。また、老朽化が原因で倒壊の恐れがある建物が1700件以上ある区もあります。

現状、空き家を抱えて処分に困っている所有者は多います。空き家は、いわゆる「外部不経済」をもたらします。国土交通省の「土地問題に関する国民の意識調査」によると、日頃身近に感じる土地問題の筆頭に「空き家・空き地や閉鎖された店舗などが目立つこと」が挙げられています(41.4%)。

放置された空き家は、「治安の低下」や「犯罪の発生」を誘発します。「防災機能低下」、雑草が生い茂ったり、病害虫の発生することで起こる「公衆衛生の低下」、さらには「景観の悪化」や「地域イメージの低下」など、周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼす要因が潜んでいます。

そして、こうした外部不経済は、結果として「住宅価値の低下」と「街の価値の低下」につながり、経済・社会問題を生み出すことになるのです。

参照:YOMIURI ONLINE

近隣住民もお手上げ。いわく付き空き家物件


Aさんは数年前に土地を購入。その後、二世帯住宅を建てました。

2mほど離れた場所に隣家があり、Aさんが引っ越してきた当初、そこにはおばあさんが一人で暮らしていました。しかし、2年ほど前に亡くなって以来、空き家になりました。隣家はとても古く、かやぶき屋根に後からトタンを乗せたようなボロボロの家です。

Aさんとしては、倒壊する前に早く取り壊してほしいのですが、いわく付きの土地らしく、ずるずると話は先延ばしにされています。
その理由としては…

・土地の所有者が何人もいる(何筆もある)
・建物の所有者(おばあさんの息子)は他県におり、借金でこの土地を失った。そのため解体費用は出せない。

このようなケースの場合、トラブルの原因は土地の所有者と建物の所有者が別々だということです。建物は借金の担保に差し押さえられ、土地の所有者は複数いるため全員の合意が得られない。

ここでまず、優先すべきなのは倒壊の恐れがあること、倒壊した場合の被害をリスクを排除ることです。倒壊してしまった場合、近隣に被害を及ぼすだけでなく、土地・物件所有者の負担が更に増える事にもなります。

人命に関わる事態になれば、取り返しのつかない事になりますので、隣家との人間関係が悪化することも止むを得ません。具体的な方法としては管轄の法務局で土地及び建物の登記簿謄本を取得し、土地所有者全員に内容証明を送るのが最善といえるでしょう。

残念ながら、こういうケースでは役所は対応してくれません。空家で防犯上の問題等もあるのであれば、所有者の所在が判明した段階で警察に相談する程度です。空き家がもたらす被害は、近隣住民への精神的苦痛も与えることにもなるので、改めて所有者の空き家への理解が問われています。

参照:yahoo知恵袋

避けられない解体費用!早めの解体がお薦め

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空き家が老朽化物件であり、なおかつ倒壊の恐れがあるものは遅かれ早かれ「解体」という選択肢は避けられません。

そのような状況で、所有者がとるべき行動は早期解体の一言に尽きます。解体を早めに済ませれば、放置状態で抱えるリスクが解消されます。ケースによっては土地の価格の下落を防ぎ、土地売却に有利に働く可能性もあるのです。

更地で売却時にお得!解体費用を抑えるポイント

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不動産を売却する際、建物を解体しておくことはメリットに繋がります。一般的に老朽化した建物が建っている土地より更地の方がより早く、より高く価格で売却することができるためです。

不動産の購入を検討している側にとって、老朽化した空き家がそのままだと、解体にかかる費用や時間、手間を費やすことになります。

そのため、更地で販売されている土地よりも、「古家付」といって、老朽化した建物が残ったままの状態で売られている土地の方が、売却までに時間を要し、価格も低くなってしまうのです。

行政の空き家対策と解体費用の支援

老朽化した空き家に潜む危険の防止と空き家や敷地の資産活用を促すために政府は新たな法律を制定し、平成27年2月26日から「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。

この法律は、国が基本方針を打ち出し、自治体が必要な施策を行うためのガイドラインでもあり、なおかつ自治体による措置の根拠法にもなっています。

したがって、今後は空き家対策特別措置法によって、空き家は地域の自治体により整備される可能性が高くなりました。

法律で定義される特定空家等とは

空き家対策特別措置法では、空き家全体を「空家等」と定義し、その中でも早急に対策が必要な空き家を「特定空家等」に分類しています。

空家等については、その実態を管理し、有効活用をするための対策計画の対象となる空き家ですが、特定空家等は行政として是正措置を講じる対象になっています。

特定空家等とは、空き家対策特別措置法第2条で次のように定義されています。

Ⅰ そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
Ⅱ 著しく衛生上有害となるおそれがある状態
Ⅲ 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
Ⅳ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

上記に挙げた定義は抽象的なので、以下のHPでは具体的な事例が紹介されていますので、参考になさってみて下さい。

「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針 国土交通省

空家等への措置は3つ

空き家対策特別措置法で、空き家対策として規定された措置には3つあります。

特定空家等は空家等に含まれるので、特定空家等はすべての措置を受ける対象です。

①特定空家等に対する措置(第14条)
②空家等に対する財政上の措置(第15条第1項)
③空家等に対する税制上の措置(第15条第2項)

①の特定空家等に対する措置は、自治体から対策を迫られた空き家の所有者が対策に応じないとき、自治体が強制的に解体などをして、所有者に費用請求する措置です。

②の財政上の措置は、空き家対策をする自治体への財源を国が支援することを盛り込んでおり、最終的には空き家の所有者への補助・助成にも流れるはずです。

③の税制上の措置は、空き家対策による税制上の措置を自治体に認めるもので、特定空家等への固定資産税の特例を廃止する根拠になっています。

自治体による解体費用の補助

間違いやすいのですが、解体費用の補助金交付は、空き家対策特別措置法以前から行われており、空き家再生等推進事業という名目で国が補助をしています。

つまり、国と自治体が補助金を出しあって、解体費用の負担を軽減している代わりに、自治体に予算枠を設け、予算を使い切ると申請が締め切られる仕組みになっているのです。

解体費用の補助は、多くの自治体で行われているので、自分の所有する空き家の地域で、補助事業が行われていないか確認してみましょう。

補助金の金額は自治体の予算次第ですが、30万円~100万円程度までが多いようです。なお、空き家対策特別措置法の施行によって、財政的な支援基盤を得た自治体がさらに空き家対策に予算を投じると予測されるため、補助金には注視が必要です。

行政による助成金の活用も

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空き家の解体を積極的に行う方はまだ少数派です。そのため、空き家対策の一環として空き家の解体に補助金を出している自治体もあります。

首都圏では住宅の解体費用は100~200万円程度かかる場合が多いですが、最大でその半額を補助する制度もあります。空き家の解体を検討する際は、利用できる制度が無いか、その空き家が所在する役所で事前に確認してみてください。

勘違いされやすいのですが、解体費用の補助金交付は、空き家対策特別措置法以前から行われており、空き家再生等推進事業という名目で国が補助をしています。

つまり、国と自治体が補助金を出しあって、解体費用の負担を軽減している代わりに、自治体に予算枠があり予算枠を使い切ると申請が締め切られます。

解体費用の補助は、多くの自治体で行われているので、自分の所有する空き家の地域で、補助事業が行われていないか確認してみましょう。補助金の金額は自治体の予算次第ですが、30万円~100万円程度までが多いようです。なお、空き家対策特別措置法の施行によって財政的な支援基盤を得た自治体が、さらに空き家対策に予算を投じると予測されるため補助金には注目です。

一時的補償だけでは済まない?空き家放置がもたらす代償

となりますが賠償しなければならない対象はこれだけではありません。入院をした場合には1日あたり1,500円程度の入院雑費、入院の場合1日あたり6,000円、通院の場合1日あたり3,000円程度の付添看護費用、将来にわたって付添看護が必要な場合にはそれも加わり、通院や入院で休業を余儀なくされた場合には休業損害、入通院されたことの慰謝料なが対象となります。

第三者に怪我を負わせた場合の損害賠償は、交通事故や労働災害の場合と同様に考えることなり、自動車を運転する者や使用者が保険に加入する理由は、第三者に危害を加えた場合には多額の賠償義務を負わせるからです。

このように考えると、空き家を放置することの法的リスクの高さを実感できるのではないかと思います。

不法投棄など対象になりやすい

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デメリットになっている、空き家の持つ潜在的な負の要素を考えてみます。

老朽化した空き家では倒壊の危険が、誰も関心を示さなければ犯罪の温床や失火の原因になります。

また、換気や手入れを行わないと害虫や害獣被害が発生します。その他にも、不法投棄による悪臭、地域の景観に悪影響を与えるケースがあり、近隣トラブルの原因の元になります。
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こうした負の要素は、所有者よりもむしろ、近所住民に被害をもたらします。建物によって死角になり、他人の所有物なので気が付いても入れないからです。

まとめ

相続などで物件を所有することになった際、その物件が老朽化している、もしくは倒壊の恐れがある場合は「解体」の可能性は非常に高くなります。仮に倒壊してしまうと、その補償は想像以上に大きな負担になります。

こういったリスクを防ぐためにも実例を踏まえて空き家状況を把握し、効果的な対策を講じることが大切です。

解体に伴うリスクを気にしすぎて後回しにすることで、結果的に所有者の負担は増え、取り返しのつかないことになりかねません。情報を上手に活用し、賢い土地活用をしていきたいものです。

ご不明な点は「あんしん解体業者認定協会」へ

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