空き家をリフォームして上手に活用しよう

空き家の数は、人口減少の加速に伴い、毎年増え続けています。そんな中、相続などで所有することになった空き家をリフォームして、さまざまな方法で活用する方が増えてきています。

この記事では、空き家をリフォームするメリット・デメリットをはじめ、空き家の活用方法、空き家のリフォーム費用についてご紹介します。

空き家のリフォームに利用できる補助制度空き家を0円でリフォームする方法についても触れているので、ぜひご覧ください。

空き家をリフォームするメリット・デメリット

空き家をリフォームする!と決める前に、まずは空き家をリフォームするメリット・デメリットについて把握しておきましょう。

【メリット】資産価値が上がる

築年数が古く、劣化のひどい物件は需要が少ないため、資産価値がほとんどありません。

空き家は、定期的に換気や温度調節が行われないため、湿気や寒暖差の影響により、住居よりも速いスピードで劣化していきます。

つまり、空き家を放置すればするほど、資産価値はどんどん減っていきます。

しかし、リフォームで設備やデザインを新しくしたり、建物の補強を行ったりと、建物としての使いやすさや見栄えなど付加価値をプラスすることで資産価値を上げることができます。

【メリット】倒壊や犯罪のリスク防止になる

空き家を放置していると、倒壊や犯罪のリスクが高まります。

空き家は、人が住んでおらず24時間人目につきにくいため、悪事を行うには格好の場所と言えます。

特に「長年放置されている」ことが一目で分かる状態の場合、不法投棄の場や犯罪者の住処などに悪用されやすくなります。

また、空き家を放置していると劣化が早まります。劣化が早まると、倒壊の危険性が高まります。万が一建物が倒壊した場合、周囲に損害を与えてしまうなど近隣に迷惑を掛けかねません。

空き家をリフォームをすることで、「この空き家はしっかり管理していますよ」ということが周囲に伝わるため、悪事が行いにくくなると言えます。

また、リフォームした後は、空き家のままにしておくのではなく、人気がある場所だと周りに認識させることが大切です。自分の住居として住む、賃貸として出すなど、うまく活用するようにしましょう。

【メリット】国や自治体から費用サポートを受けられる

日本では、人口減少に伴い空き家の増加が社会問題となっている背景があり、空き家対策に利用できるさまざまな補助制度を設けています。

自治体によって内容は異なりますが、空き家のリフォームならではの制度もあったりするので、上手く活用することでコストの負担を減らすことができます。

新築より費用を抑えられるケースが多い

空き家を解体して新築を建てるとなると、解体費用+新築費用が掛かります。リフォーム・リノベーションであれば、既存の柱や梁など構造体を活かせるので、建て替えよりも費用を抑えられるケースが多いです。

設備をクオリティの高いものに揃える、耐震補強をするなど工事内容によっては、新築より費用が上回るケースもあるため注意が必要です。

【メリット】活用方法が幅広くある

空き家の活用方法は、自分が住むための住居としてだけではありません。賃貸や売却など、色々な目的に合わせて活用することが可能です。

たとえば、部屋を増やしてシェアハウスにしたり、居間のスペースを広げて地域の交流場所にしたり。空き家の使い道はアイディア次第で無限にあります。

古材を生かせることも

最近人気の古民家カフェのように、既存の古くなった建材をそのまま生かすことで、新築では出せない味わいのある雰囲気を出すこともできます。

特に、無垢材や漆喰など天然素材は年月が経つごとに経年変化を楽しめるため、築年数が古いほど味わい深い表情を演出してくれます。

【デメリット】費用がかかる

空き家のリフォームには費用が掛かります。築年数が古く何年も放置されている空き家は老朽化が進み、建物の構造体が生かせない状態になっている可能性があります。

また、建物の耐震基準は1981年6月以降、旧耐震基準から新耐震基準へ変わっているため、それ以前に建てられた住宅の場合、地震に弱い傾向があります。

そういった場合、耐震補強など建物の構造自体に手を加える必要が出てくるため、老朽化が進んでいるほどリフォームの費用が掛かる可能性が高いです。

空き家をリフォームして活用する方法4つ

空き家をただ単にリフォームするのではなく、リフォームした空き家を活用することで色々なメリットが生まれます。つぎに、空き家の活用方法についてご紹介します。

空き家の活用方法は主に、「住む・売る・貸す・ビジネスとして利用する」という4つの選択肢があります。

1.住む

「今住んでいるところが賃貸」「地元に戻りたい」「いずれ住み慣れた実家に戻りたい」と考えている人には、自分で住む方法がオススメです。

元の所有者が住宅代金を完済していれば、毎月の家賃や住宅ローン返済をしなくて済みます。

また、自分の好きなタイミングで自由にリフォームできるので、予算と折り合いをつけながら、段階的に進めることができます。

2.売る

「空き家を手放したい」と考えている人には、空き家をリフォームして売ることをオススメします。

築年数の古い家は資産価値が年々落ちていくため、土地のみの価格で取引されるのが一般的ですが、リフォームで付加価値をプラスすることで、建物にも価値がつく場合があります。

また、マイホームの選択肢として、中古住宅+リフォーム・リノベーションを考えている人もいるため、空き家の状態に合わせて部分的に修繕することで売却できる可能性は十分にあります。

しかし、土地を更地にしたほうが買い手はつきやすいため、売却するのであれば解体を視野に入れることも検討したほうがいいでしょう。

3.賃す

「すでに自分の住まいを構えているけど、空き家を手放したくない」という人にオススメなのが、人に貸す方法です。

民泊やアパート(シェアハウス)、駐車場など賃貸として出す方法は色々あり、賃料収入が見込めます。

賃貸の成約数を増やすためには、たとえばアパートであれば「ここに住みたい」と思ってもらえるような空間や設備を充実させるなど、ターゲットに合わせたリフォームをする必要があります。

4.ビジネスで利用する

自分のビジネスの場として、空き家を事務所や店舗として活用する方法もあります。シェア店舗として、自分が利用しない時間帯に人に貸して賃料収入を得ることも可能です。

シェア店舗とは?

一定の日時限定で借りて、自分の店舗としてサロンやレストランなどを営業できる貸店舗のこと。

空き家リフォーム費用の目安

空き家の使い道をイメージできたところで、空き家のリフォーム費用はどのくらい掛かるか確認しておきましょう。

部分的にリフォーム・リノベーションをする場合

壁や床の張り替え、トイレやお風呂など水回りの交換だけといった部分的なリフォームの場合、費用相場は数十万円~500万円ほど

リフォームの範囲が大きいほど、費用は大きくなります。

自分で住む場合は予算に合わせて自分好みにリフォームできますが、空き家を売る、または貸す場合は借り手・買い手の印象が大事になるため、劣化や古さが目立つ部分は新しく変えたほうが無難でしょう。

全体的にリフォーム・リノベーションをする場合

一戸建ての空き家を全体的にリフォーム・リノベーションする場合、費用相場は500万円~2,000万円ほどです。

建物のイメージをガラッと変える、耐震補強を行うなど、工事内容や建材・設備に何を使うかで変動します。

ある程度の費用が掛かるとは言え、既存の材料をなるべく生かし、設備のクオリティにあまりこだわらなければ、500万円以下でリフォームできるケースもあります。

リフォームのタイミングや掛かる費用は材料や設備によって異なるため、どの箇所にどのくらいの費用がかかるか把握しておくことが大切です。

リフォーム会社を紹介するサービスを運営されているリショップナビさんでは、部分別にリフォームのタイミング費用相場を細かく掲載されています。ぜひ参考にしてみてください。

参考 使えない空き家を抱えている方へ。空き家リフォームのススメONOYA

インスペクションで劣化状況を把握する

建物の構造体や配管など、目に見えない部分の劣化状況は自分で判断するのは難しいため、建築のプロにインスペクション(住宅診断)してもらうことをオススメします。

修繕すべき箇所やその時期、掛かる費用などを細かくアドバイスしてくれるため、目的に適した工事を実現できます。

インスペクションの費用相場は、5万~10万円ほどです。

空き家を0円でリフォームする方法

実は、空き家を0円でリフォームする方法があります。

具体的には、施工業者が所有者から空き家を借り上げ、無料で工事を行い、リフォームした空き家を賃貸して工事代を賄うというもの。

借り上げ期間や工事内容は施工業者によって異なるため、気になる方は一度相談してみてください。

空き家を0円でリフォームできる業者

トップライフ

空き家の対象は、一戸建てや分譲マンション、連棟住宅、テラスハウス、アパートなどで、借り上げ期間は3~10年(応相談)です。

参考 「空き家」の無料リフォーム株式会社トップライフ

カリアゲJAPAN

築30年以上の空き家や集合住宅の空室などが対象で、借り上げ期間は6年間です。

参考 カリアゲ カリアゲJAPAN

オーナーとなる空き家の所有者の費用負担は原則0円なので、「空き家のリフォームに費用はあまり掛けたくない」という方は、ぜひ検討してみてください。

空き家のリフォームに利用できる補助制度

国や自治体は、年々増加している空き家を減らしていくために様々な補助制度を設けています。

どれも住宅の質の向上や環境に配慮することを目的としているため、費用を抑えられるだけでなく建物にとっても有益な制度です。ぜひ上手に利用しましょう。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、住宅を長持ちさせ、住みやすい環境を作るため、国がリフォーム費の一部を助成してくれる制度で、工事費の3分の1を補助してくれます。

一戸あたりの助成上限額は最大300万円です。

利用するには、耐震性の確保や省エネ対策などが必要です。

施工業者が申請する制度なので、利用実績のある施工業者に相談すれば、どのような工事をすべきかアドバイスしてくれるでしょう。

問い合わせ先

長期優良住宅化リフォーム推進事業評価室事務局

TEL:03-5805-0522

受付 平日の月・木・金10:00~16:00(12:00~13:00除く)

高機能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業(断熱リノベ)

高機能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業(断熱リノベ)とは、住宅の省エネを促進し、エネルギーの消費効率を図ることを目的とした助成制度です。

利用するには、指定された高機能建材を用い、一定の断熱改修率を満たす必要があります。

一戸あたりの助成上限額は120万円、集合住宅の場合は一戸ごとに15万円となります。

問い合わせ先

一般社団法人 環境共創イニシアチブ 断熱リノベ担当

TEL:03-5565-4860

受付 平日10:00~17:00

ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)支援事業

ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)支援事業は、ZEHという太陽光パネルを利用した発電エネルギーで消費エネルギーをまかなう住宅を対象とした助成制度です。

一戸あたりの助成上限額は60万円で、所定の要件を満たす蓄電システムを導入する場合は加算されます。

ZEHの建築には高い技術が求められるため、ZEH実績の豊富な施工会社だと安心して頼れるでしょう。

なお、ZEHについて詳しくまとめた記事がありますので、併せてご参考ください。

参考 新築するならZEH(ゼッチ)にすべき?|メリットや注意点を知ろうコノイエ

問い合わせ先

ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)支援事業

TEL:03-5565-4081

受付 平日10:00~17:00

自治体による補助制度

自治体によっては、空き家のリフォームに関する補助制度を独自で設けている場合もあります。実施されている補助制度については各自治体のホームページにて確認することが可能です。

たとえば山形県酒田市では、住宅の質の向上を図るために住宅リフォーム工事費用の補助制度・酒田市住宅リフォーム総合支援事業を設けており、一戸あたりの補助金額は工事費用の2割以内、最大24万円です。

県外からの移住世帯や酒田産木材を使用する場合は、上限額が増額します。

ご自身の地域に補助制度があるか、ぜひチェックしてみてくださいね。

空き家のリフォームを前向きに検討されている方へ

「空き家のリフォームを前向きに検討したいけど、どこに相談すればいいの?」と悩まれる方は多いかと思います。

そこで、そんな方に向けて空き家のリフォームに対応できる建築のプロをご紹介します。

実績や経験のあるプロに任せることで、自分では考えつかないアイディアで空き家を活用できるかもしれません。

andfujiizaki一級建築士事務所

東京で注文住宅の設計を手掛ける傍ら、新潟県佐渡島で地域活性化のために、空き家を改修し宿泊施設を運営する活動をされています。

自然の中に身を置くことを「心地いい」と感じるように、家の中にもそういった感覚があるような家づくりを大切にされています。

参考 andfujiizaki一級建築士事務所コノイエ

大畠稜司建築設計事務所

新築戸建ての住宅設計をメインに、空き店舗や空き家、古民家の再活用にも対応されています。

見栄えのいいデザインだけでなく、建築のプロである自分がリアルに住みたいと思えるようなお家をしっかり提案することを大切にされています。

参考 大畠稜司建築設計事務所コノイエ

黒木実建築研究室

建物の企画や設計をメインに、リノベーションに力を入れて空き家を減らすなど、地域の環境を改善するための活動に注力されています。

建築家といえば奇抜な設計といったイメージがありますが、住む人が気持ちよくいられる、使いこなせる家にすることを大切にされています。

参考 黒木実建築研究室コノイエ

空き家のリフォームについてのまとめ

倒壊や犯罪など空き家のリスクを避けるためには、空き家をただ単にリフォームするだけでなく、リフォームをした後にどう活用するかが大切です。

空き家の活用方法でリフォームの仕方や費用は変わるため、まずは、空き家をどう使いたいのかを考えてみてください。

空き家の使い道が決まったら、目的に沿ってどこをリフォームすべきか明確にしてから費用を算出してみましょう。

空き家のリフォームだからこそ利用できる補助制度もあるので、事前に利用条件や募集要項など確認してから工事を行うようにしてくださいね。