空き家を放置するのはもったいない!予算をおさえて上手に活用する方法

放置された空き家の活用方法に悩む

近年、空き家増加は深刻な社会問題となっています。

2013年の調査では、全国に空き家はおよそ820万戸。
これは、割合にすると7~8軒に1軒は空き家という状態です。

空き家を放っておくと、老朽化による建物倒壊の危険性やゴミの不法投棄、ひいては不法侵入放火などの犯罪につながるリスクもはらんでいます。相続した空き家をお持ちの方は早めに対策を考えましょう。

もしも「思い入れのある家をそう簡単には手放せない」とお考えの方には、賃貸物件として空き家を活用するのをおすすめします。

今回は空き家を賃貸物件として出すことのメリットやデメリット、手続きの仕方、あるいは賃貸物件としての活用が難しかった場合におすすめの活用法についてご紹介します。

空き家対策特別措置法とは?

まずはじめに、空き家問題の深刻化により2015年に国が施行した法律についてご説明します。
少子高齢化や核家族化の影響で、先述した通り空き家の増加は大きな社会問題となっています。そこで、深刻な空き家問題を解消するために国が施行したのが「空き家対策特別措置法」です。
この法律が施行されたことにより、管理されておらず倒壊の恐れや近隣に悪影響を及ぼす危険性のある家「特定空き家」に指定され、指定された空き家の所有者は、固定資産税の優遇が受けられなくなる他、国から以下のような行政指導を受けることになりました。

空き家対策特別措置法

❝固定資産税の優遇❞とは?
不動産には固定資産税が課せられますが、「住居1戸の面積が200㎡までであれば、6分の1に減額される」という特例が設けられています。

特例の適用条件は「その敷地に住宅が建っていること」なので、更地にした場合もしくは「特定空き家」に指定された場合は一気に減額措置前の税額(つまり今までの6倍!)まで跳ね上がります。

ただし、あくまで土地の固定資産税が減額措置対象から外れるだけで、建物が無くなれば建物に課税される固定資産税はなくなります。つまり実際には今までの6倍には至らない場合が多いです。

すでに2018年10月の時点で空き家の数は846万戸に増えており、空き家率は過去最高の13.6%まで上昇しています。(高いところでは21.3%(山梨県)、20.3%(和歌山県))
もしこのまま増加の一途をたどった場合、2033年時点で空き家は2000万戸を超し、日本全体の空き家率はおよそ30%に到達します。実はこの空き家率は「財政破綻」と密接にリンクしており、この空き家率30%という数字は、デッドラインだと言われています。

空き家率30%はデッドライン?
北海道の夕張市が2007年に財政破綻しましたが、そのときの空き家率は33%でした。
さらに、すっかり廃墟と化してしまったアメリカのミシガン州デトロイト市が、2013年に財政破綻したときの空き家率もまた、30%にほど近い29.3%でした。

このような背景もあることから、多くの自治体ではこの空き家対策に積極的に取り組んでいます。

空き家は賃貸物件として活用するのがおすすめ

空き家はご両親など極々親しい人から相続したために、手放すのに躊躇してしまう方も多数います。

かと言ってご自身の現在の生活圏がかなり離れた所だったり、既に持ち家があったりすると、相続した家に引っ越すこともなかなか選択しづらいです。

賃貸物件として活用することで、空き家を維持しつつ収入を得ることができます。

空き家を賃貸物件にしたときのメリット・デメリット

空き家を賃貸物件として活用した際のメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

  • 家自体は残ったまま
  • 所有権は自分にある
  • 自分で日常的に管理する必要がなくなる
  • 家賃収入が得られる

家を取り壊すことなく所有権は自分にあるので、将来的に自分が住むことも可能です。
また、毎月家賃収入が得られ、固定資産税や、家の修繕が必要になった場合の費用を捻出することができます。

デメリット

  • 修繕やリフォームが必要になる
  • トラブル時に大家として対応しなくてはならない
  • 借り手がいなければ家賃収入0

借り手が見つかるよう、どこかしら修繕やリフォームを行う必要が出てくるので、費用がかかります。
借り手が見つかった後も、電気や水道などに何かしらの不備が出てくれば対応し、もし敷金で修理費が賄えなければ大家さんの自費になるかもしれません。
また、築年数が古かったり、立地が不便だったりすると、借り手が決まりづらいこともあります。

しかし昨今では古民家ブームの風潮がありますし、自分でDIYをしたい、古くて構わないから安い家がいい、定年して田舎で穏やかに暮らしたい、など様々なニーズが考えられるので、一概には言えません。

賃貸として出すには?

まずは不動産会社に相談しましょう。
よほど不動産の知識があるか、かなり信頼度の高い人に貸す場合以外は、個人契約よりもプロである不動産屋さんに相談してください。信用のおける人でも、お互いにしっかりと契約内容を把握して、書面に残しておくことが大切です。

不動産会社と話し合って賃貸の契約形態を決め、貸す前に家を修繕するかどうかの判断をします。
家賃の設定についても不動産会社に査定してもらいましょう。戸建てを賃貸にするためのノウハウや、入居者の審査などをしっかりと行う不動産会社を選ぶのがポイントです。まずは家屋のある地域の不動産会社のホームページを確認してみましょう。

賃貸契約は、普通借家契約と定期借家契約があります。前者だと、居住者から申し出がない限り退去させるのが難しくなるので、将来自分が住むことを考えているのなら、定期借家契約にしましょう。

普通借家契約 定期借家契約
用途 事業用でも居住用でも可 同左
契約方法 口頭でも書面でも可 書面のみ
契約期間の制限 1年以上~上限なし 制限なし
更新の有無 原則更新される 原則無し
賃借人からの解約の申し入れ 期間の定めが無い場合はいつでも可能 居住用かつ面積が200㎡未満の建物である限り、やむを得ない事情がある場合は中途解約規定がなくても可能
賃貸人からの解約の申し入れ 正当事由が必要
※賃借人に不利な特約は無効
同左

賃貸がだめなら更地にして活用しよう

建物の痛みや劣化が著しく、一部修繕やリフォームでは済まない物件も多いです。
思い入れのある家を解体するのは簡単ではないと思いますし、解体工事について未知だからどう手配を進めたらいいか分からないなど、不安な気持ちも大きいと思います。
でも、そのまま放置してると特定空き家に指定される危険性があるのなら、解体するという選択がおすすめです。

空き家を解体したときのメリット・デメリット

空き家を解体することにした際のメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

  • トラブルの原因の大半が無くなる
  • 管理する必要がなくなる
  • 更地の方がスムーズに売却できる

解体して更地にすれば、解体費用はかかりますが、それ以降の管理コストはかからなくなります。また、空き家を放置しているためにあった様々な不安要素が全て無くなります。
解体後は、もしも都心部ならアパートやマンションを建ててもいいかもしれませんし、店舗に土地を貸して、月々の賃料を貰うという活用法もあります。
もしくは土地を売却するという方法もあります。

建物を解体せずに古家付きの土地として売却できれば、解体費用がかからないので、コストを抑えることができますが
老朽化した家が建っている土地よりは、更地の方がより早く高い価格で売却することができます。

デメリット

  • 更地にすると固定資産税が今までの約6倍になる
  • 工事費がかかる

先述した通り、固定資産税が減額されなくなります。
さらに、建物の解体にはどうしても費用がかかります。30坪の木造家屋であれば、100万円前後かかるのが普通です。
解体業者を比較すると費用が何十万単位で違ってくることもありますので、良心的な価格設定をしていて、かつ丁寧に工事をしてくれる解体業者を見極めましょう。
当協会が運営する解体無料見積ガイドでは、お客様から評価の高い、信頼できる解体業者を無料サービスで3社紹介しています。

補助金制度

解体工事にはかなり費用がかかってくるんだなぁ、とお思いの方もいらっしゃると思います。
でも、実は空き家対策を推進するために各自治体では様々な補助金・助成金制度を設けています。

例えば荒川区では危険な老朽空家住宅の除却に要する費用の2分の1の額を助成してくれます。(ただし、1件につき上限は50万円)
また、杉並区では特定空き家等に指定された建物を解体する際に、150万円を上限に解体費用の80%を助成してくれます。

空き家の解体工事に関する補助金制度が多いですが、自治体によっては修繕費用を援助してくれるところもあります。
所有する空き家のある地域の補助金制度をホームページで確認してみましょう。

まとめ

今回の記事では相続した空き家の活用法についてご紹介しました。
活用法はいくつかありますが、もしも修繕して借り手が見つかりそうであれば、賃貸物件としての活用をまずは考えてみるのがおすすめです。
建物の老朽化がかなり進んでいる、あるいは立地などの関係で借り手を探すのが難しそうだと判断した場合は、建物を解体して土地を活用していくことを考えていきましょう。

ご自分だけではなかなか判断しづらいと思います。
まずは不動産会社に相談し、ご自身に最適な活用法を見極めていきましょう。